「国土強靱化」路線で府中町は「強靱」な町となるのか? 2021年3月議会一般質問

2.国土強靱化とは何か

国土強靱化基本法と基本計画

2011年の東日本大震災から2年後の13年、国土強靱化基本法(「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」)が制定されました。

国土強靱化とは「強靱な国土、経済社会システムとは、私たちの国土や経済、暮らしが、災害や事故などにより致命的な被害を負わない強さと、速やかに回復するしなやかさをもつこと」*1だとされています。

この国土強靱化基本法に基づき、2014年に「国土強靱化基本計画」が策定されました(2018年改訂)。内容を検討しますと、国土強靱化に本当につながるのか疑わしい点があります。

前提になっているのは、人口減少と財政難です。この2つを口実に、様々なハードルが設けられ、強靱化を阻んでいるのです*2。計画は多岐にわたっていますので、ここでは公共施設に関わるものについてのみ指摘します。

基本法および基本計画の公共施設に対する基本的な考え方は「効率的な施策の推進」です。

第1に、人口が減り、「国民の需要が変化」する。これまでと同じ規模、数の施設はいらなくなるということです。第2に「気候変動等による気象の変化」によって災害はますます増える。第3に公共施設の老朽化が進む。第4に強靱化するには時間がかかるので、どういう順序で進めたら被害が少なくなるのかを考える。第5に、以上のような点を勘案して、財政資金を重点的に使う。

この「基本的な考えかた」の上に、①「既存の社会資本」の有効活用、「施設等の効率的かつ効果的な維持管理」という長寿命化計画、②「PPP/PFI による民間資金の積極的な活用」、③「土地の合理的利用を促進」という立地適正化計画、という3つのハードルのいずれかを越えて国土強靱化を図れと言っているわけです。


*1)パンフレット「国土強靱化とは?」3頁、内閣官房国土強靱化推進室

*2)この2つの前提は、政府のあらゆる計画・方針に共通し、すべてはそこから導き出されます。

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