府中町のまちづくりと立地適正化計画 2021年6月議会一般質問

3.自然災害への対応を理由に「防災移転」

災害ハザードエリアからの移転を促進

二見議員 第三に「グランドデザイン2050」が想定するもう一つの危機、巨大災害への対応について伺います。

昨年2月「頻発・激甚化する自然災害に対応するとともに、まちなかにおけるにぎわいを創出するため、安全で魅力的なまちづくりの推進を図る」ことを目的として都市再生特別措置法や都市計画法が改正されました。

自然災害への対応としてもコンパクトシティ=市街地の縮小を進めなさいというものです。

災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制、災害ハザードエリアからの移転の促進がその柱です。

府中町内にも災害ハザードエリア――急傾斜値崩壊危険区域や浸水想定区域などがあり、そこに住む人たちは移転するよう促されるわけです。

災害レッドゾーンにおける自己業務用施設(店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場等)の開発を原則禁止し 、 市街化調整区域の浸水ハザードエリア等における住宅等の開発許可を厳格化しました。

居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発に対する勧告・公表、市町村による災害ハザードエリアからの円滑な移転を支援するための計画を作成します。

災害レッドゾーンとは、災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域をさします。

これまでも、分譲住宅、賃貸住宅の建設や貸しビル、貸しオフィス、貸店舗の建設が禁止されてきました。

今回の改正は、それに加えて、自社ビルや自社オフィス・自社店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場、倉庫など幅広く建設が禁止されています。

土砂災害警戒区域、浸水想定区域といった災害イエローゾーンについても、「総合的に判断し、適切でないと判断される場合は、原則として居住誘導区域に含まないこととすべき」だと国交省は言っています。要するに、災害が起きそうな地域は捨てろということです。

新たな開発が禁止されるとともに、災害ハザードエリアからの移転が促進されることになります。立地適正化計画に基づき、「防災移転計画(居住誘導区域等権利設定等促進計画)」を市町村は作らなければなりません。

地域まるごとの集団移転

防災移転とは、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進するため、それぞれの地域で合意をつくり、「地域まるごとの集団移転を行」うというものです。

「災害ハザードエリアからの住宅又は施設の移転に対して、市町村が主体となって移転者等のコーディネートを行い、移転に関する具体的な計画を作成し、手続きの代行等を行う」こととされています。

具体的な計画――「移転促進区域の設定、住宅団地の整備、移転者に対する助成等について定めた「集団移転促進事業計画」も作る必要があります。この事業計画に基づいて居住誘導区域へ集団移転する場合には、

 ①移転先の団地の用地取得・造成に関する費用、

 ②移転者の住宅建設・土地購入に対する補助に要する経費(住宅ローンの利子相当額)、

 ③ 住宅団地に係る道路、飲用水供給施設、集会施設等の公共施設の整備に要する経費、

 ④移転促進区域内の土地の買取に要する経費、(やむを得ない場合を除き、移転促進区域内のすべての住宅の用に供する土地を買い取る場合に限る)

 ⑤移転者の住居の移転経費(引っ越し費用等)に対する補助に要する経費、

 それぞれ4分の3が国庫補助金としてして支給され、地方財政措置とあわせて94%が国費で賄われます。財政的には手厚い措置がされていますが、問題は、地域で合意をつくり、「地域まるごとの集団移転を行」うことができるか、です。

家族の年齢構成や所得、現役か年金生活かなど、住民の暮らしぶりはさまざまで、いろいろな事情がそれぞれある。地域まるごとの合意は相当難しいのではないかと思います。

そしてもう一つの問題は、移転先です。ハザードエリアに住む人たちが移転する、まとまった土地は狭い府中町にはありません。

そこで、伺います。

③立地適正化計画において、土砂災害特別警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域は居住誘導区域に含まない、土砂災害警戒区域や浸水想定区域は原則として居住誘導区域に含まないとされます。

町内にも該当する区域があると思いますが、これらの区域に住む町民はいったいどうなるのでしょうか。

建設部長 都市再生特別措置法第81条第19項の規定に基づき、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)や急傾斜地崩壊対策危険区域、地すべり防止区域は原則居住誘導区域に含まないとされる予定です。このため、これに該当する区域については、立地適正化計画の策定時においては居住誘導区域から除外されることとなります。

しかしながら、府中町が立地適正化計画を策定する場合、町の既成市街地の大半が人口密集区域となっており、国の示す災害ハザードのある区域から居住誘導区域への移転は難しいと考えております。

そのため、長期的には既成市街地の災害危険区域については、災害対策工事などにより、災害ハザードが解消した場合、居住誘導区域への編入が可能なとなるよう、また、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や浸水想定区域については、町の既成市街地の広範囲を占めており、また、町の対策工事等により解消されるものではないため、居住誘導区域に含めた上で、防災指針等により、総合的な安全対策を進めていく方向で国、県と協議・調整を図りたいと考えています。

議員ご指摘の「これらの区域に住む住民はどうなるのか」についてですが、本計画は、長期的な時間軸で将来を見据えた計画であり、短期的な誘導を促すものではございません。また、道路や水路などのインフラや、下水などのライフラインの維持を含め、町が行っているサービスは行政の責務として行われます。

最後に、立地適正化計画の策定については、令和4(2022)年度から策定に取り掛かる予定でございますが、「コンパクトシティ」プラス「ネットワーク」に併せて「防災」についても強化するよう検討し、町の将来像をしっかり見据えた「安心安全で便利なまちづくり」を構築、そして継続していけるよう、計画策定に取り組んでいきたいと考えております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください