府中町のまちづくりと立地適正化計画 2021年6月議会一般質問

5.立地適正化計画で府中町は住みよいまちになるか?

二見議員 2006年、コンパクトシティの考え方に基づいて「まちづくり3法」が改正され、2007年2月、青森市と富山市の「中心市街地活性化基本計画」が認定され、国の支援のもとコンパクトシティ化が進められてきました。

今回調べて初めて知ったのですが、かつて富山県には婦中町(ふちゅうまち)という自治体がありました。合併前の人口は36,148人(2004年)で面積68k㎡。富山市などとの合併の是非を問う、投票方式による婦中町の町民意向調査は反対が賛成を上回りました*1が、投票結果にあらわれた民意は尊重されず、2005年、富山市に合併されました。

この婦中町には、富山県東部で最大級のショッピングモール「フューチャーシティ・ファボーレ」があり、宅地の売れ行きは好調で「ほぼすべての区画が売約済み」だと記事にありました*2。旧婦中町地区の今年3月の人口は41,327人で、人口も増えており、名前以外にもいろいろわが町府中町とよく似ています。

しかし、宅地が売れ、人口が増えているこの一帯――婦中町地域の全てではないようですが――は「居住推進地区」(居住誘導区域)には指定されていないのです。
ここから、二つのことがいえると思います。

一つは、自治体の思惑通りには進まず、誘導区域に人はそれほど移住しないということです。富山市は中心市街地に移転を誘導する「まちなか居住推進事業」を進めてきました。中核市であり、人口約42万人、16万世帯の富山市で、「まちなか居住推進事業」の実績は2005年7月~2018年3月で合計 1,074件 2,685戸にすぎません*3。

もう一つは、婦中町のような人口が増える地域でも居住誘導区域に指定されないことがあり、指定されなければ、さまざまな補助金・助成の対象になりません。大型ショッピングモールの撤退などがありますと急速にまちが寂れていく可能性もあるということです。広域の立地適正化計画にはそういう危険がつきまといます。

「都市機能誘導区域」「居住誘導区域」は優遇され、そこから外れた地域は、さまざまな便益を受けられないというまことに不公平な事態を引き起こすことになるでしょう。

そこで、最後に伺います。

⑤「立地適正化計画」は、以上申し述べましたように、さまざまな問題があります。問題点をクリアして住みやすい府中町をつくることはできるのでしょうか。

都市整備課長 本町の最上位計画であり、まちづくりの指針である「第4次総合計画」に示す「誰もが住んでよかった、住んでみたい」と思われるまちづくりを目指し、これまで継続して、「集約型都市」の形成と、令和元年11月に策定した「府中町地域公共交通網形成計画」に基づき、「公共交通ネットワーク」についても取り組んで参りました。

立地適正化計画の策定については、既に「コンパクトシティ」を形成している本町では課題もございますが、県・国としっかり協議、調整していき、議員ご指摘のとおり、将来も継続して「住みやすい府中町」をつくるためにも、「総合計画」と今年3月に策定した「国土強靭化地域計画」を軸として、「立地適正化計画」により、まちづくりに資する事業をマネジメントし、町の特色である「商工住のバランスを保ち、次世代へ元気をつなげるひととまち」を構築して参りたいと考えております。


*1)「婦中町は有効投票1万4389票のうち、反対8526票(得票率59・3パーセント)、賛成5097票(同35・4パーセント)、どちらとも言えない766票(同5・3パーセント)で、反対が賛成に3429票の大差をつけた。反対票数は全有権者の4分の1以上、賛成との得票率の差が10ポイントを超える23・9ポイントとなり、町が結果を尊重する基準を上回った。/合併賛成を表明していた大島婦中町長は9日午前の記者会見で、町議会と協議していく考えをしめしたが、議会内の賛否は賛成10、反対9と、賛成派が上回る形で拮抗しており、結論が出るまでには曲折も予想される」(「北日本新聞」2004年8月9日付夕刊)

*2)庄司里紗「コンパクトシティはなぜ失敗するのか 富山、青森から見る住居の自由」Yahooニュース、2016年11月8日。

同記事は次のように書いている。「夕方5時。訪れたモールの屋内駐車場はほぼ満車。モール内は子連れの女性や学生、お年寄りのグループなど多彩な人々で賑わっていた。そして、目の前を走る国道の向かいには新興住宅地が広がる。大きな戸建てが軒を連ねる敷地内の道路では、走り回る子どもたちの喚声が響き、子育て世代の多さがうかがえた」

*3)「まちなか居住推進事業」は、市民向けの支援として、① 戸建て住宅または共同住宅の購入費【50万円/戸】、②都心地区への転居による家賃助成【1万円/月(3年間)】、③リフォーム補助【30万円/戸】を用意しているが、この程度の補助金をもらうよりも郊外の安い土地に家を建てたり、安い家賃のところに住む方がいいと住民は判断しているのではないだろうか。

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