「選挙に行こう!」 第2章 社会保障改悪の40年

保健所は半減

保健所はこの30年で半減しました。1996年には全国で845カ所ありましたが2021年度は470カ所です。 1994年に保健所法を地域保健法に「改正」。10万人に1カ所とされていた保健所所管区域の見直しが行われ、「二次医療圏」*4)(全国335、2020年)に対応すればよいことになりました。保健所の広域化です。広島県は1969年には保健所が25ありましたが、現在は二次医療圏に対応して7にまで減らされています。


*4)地域医療計画の基本単位。一体の区域として病院等における入院に係る医療を提供することが相当である単位。

憲法25条第2項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と述べています。

保健所はこの憲法が定めた「公衆衛生」を担う公的機関です。しかし、社会保障費削減の一環として保健所もリストラ(=統廃合)が進められてきました。公的責任による感染症対策は軽視され、保健所の機能が大きく低下したところに、新型コロナの感染拡大が起きたのです。

読売新聞は、第3波のとき、「感染爆発、保健所業務『もう限界』…人手不足で経路調査追いつかず」という記事を掲載しました(2021/1/14)。

検査数も感染者数も爆発的に増えているのに、もう限界」。県草加保健所の長棟美幸所長は、職場の危機的な状況をそう訴える。……濃厚接触者の特定などの業務に加え、入院先が見つからずに、自宅療養や待機をしている感染者も増えているため、健康観察の業務も急増した。同保健所の職員は約40人。県を通じて看護師などを数人派遣してもらっているが、当日中に業務が終わらず、翌朝の始発で帰宅する職員も出始めた。住民からの相談電話も相次ぎ、すぐに応対しないと「対応が遅い」などと苦情を受けることも少なくない。目に涙を浮かべ、「過労死でもしないと、現場の苦労は分かってもらえない」と話すなど、職員は精神的にも限界を迎えている。 長棟所長は「このままでは、救える命も救えなくなる」と懸念している。

 40年にわたる社会保障改悪の積み重ねが、新型コロナという新しい感染症に対応できなかった最大の要因であり、日本の社会保障・医療政策の矛盾と破綻が誰の目にも明らかになったのです。

 

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