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2017-05-05

人の優しさを罪にする共謀罪(1) 共謀罪は刑法の原則を崩す

 

はじめに

政府与党は、「共謀罪」法案を5月中旬に衆議院を通過させ、今国会で成立させるつもりです。今年は憲法施行70周年ですが、安倍首相は5月3日の憲法記念日に「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言し、戦争のできる国へと日本を変えようとしてます。共謀罪は「戦争のできる国」に必要不可欠な法律で、話し合って助けあうという人間の基本的なあり方を「罪」とします。人の優しさを罪にするのが共謀罪なのです。今日はこのことについてお話させていただきます。

(1)共謀罪は刑法の原則を崩す

あちこちで「共謀罪」はよく分からないという声を聞きます。確かに分かりにくい。なぜなら私たちの常識にはないものだからです。

刑法の基本的な考え方から考えていくと「共謀罪」の本質がみえます。刑法なんか知らない?いえいえ、大丈夫。ごく簡単なことです。それは「実際に起きた犯罪を処罰する」。「なんだあ、そんなことか」と思うでしょう。刑法の教科書をみると「犯罪」とみなされるためには2つの要件がいると書いてあります。

犯罪の2要件

①処罰に値するだけの利益の侵害が発生したこと   (事実)

②行為者に、その行為につき非難が可能であること (責任)

①は「盗んだ」「殺した」「ケガをさせた」「騙した」「脅した」などの事実がいるということ。②の「非難が可能」というのは、責任(能力)があるかどうかということ。原則として過失の場合は、「罪を犯す意思がない行為」として罰せず(刑法38条Ⅰ項)、心神喪失者、14歳未満の行為いずれも、責任能力なしとして罰せられません。

共謀罪は、この犯罪の成立要件のうち①を不要にし、「利益の侵害」が発生しなくても罪にしてしまう。「動かぬ証拠」もいりません。刑法には「証拠捜査主義」という考え方があります。自白の偏重を避け、あらゆる証拠を適正に収集し、その合理的総合力により、捜査を完結させること。一言でいえば、証拠によって事実を明らかにすることです。

捜査当局が「話しあったかどうか」について「証拠」をつかもうとすれば、その方法は、密告と盗聴 うその自白の強要、そしてでっち上げです。ですから共謀罪はこの「証拠捜査主義」も否定することになる。安倍政権は日本国憲法の原理原則を壊すことと刑法の原則を崩すことをセットで推し進めているのです。

 

人の優しさを罪にする共謀罪(2)

人の優しさを罪にする共謀罪(3)

人の優しさを罪にする共謀罪(4)

人の優しさを罪にする共謀罪(5)

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