人の優しさを罪にする共謀罪(3) 調査対象は全国民

安倍首相はじめ、「組織的犯罪集団が対象」「一般の人は関係ない」と繰り返しています。たいていの人が、殺人、麻薬、人身売買など関係ありませんので「共謀罪」は「自分には関係ないこと」と思ってしまう。しかし、「組織的犯罪集団」とは何か、「一般の人」とは何か、特定することは難しい。国会でも岸田外相がテロ組織の定義を聞かれると「定義はない」と答え安倍首相も「麻薬密売組織」について聞かれましたが答えは同じです。

大切なのは自分がどう思っているのかということではなく、警察や検察といった捜査機関がどう判断するかなんです。

戦争法反対、9条改憲に反対するデモ、集会に顔をだした、たまたま通りかかったということでも、騒乱罪、組織的威力業務妨害罪の「共謀」に加わったのではないかと被疑者にできる。そもそも、「組織的犯罪集団」に該当するかどうかは広く網を張り、密告や盗聴によって調べるしかない。

すべての人が被疑者=調査対象なんです。「一般の人」かどうかは調べてみて分かる。レジュメ作成中に竹内彰志さんのツイッターが飛び込んできました。一般人が捜査対象になるんですね。そして捜査令状もなく(=裁判所の関与がなく)いろいろ調べる。このときに活躍するのがマイナンバーです。

マイナンバーの究極の目的

マイナンバーの当面の目的は「公正な給付と負担の確保」の名の下に国が国民の監視・管理を強め、所得だけではなく資産を調査し、税金や社会保険料を確実に徴収するとともに「過剰・不正」な社会保障の給付を受けていないかをチェックすることだとされています。これだけでも恐ろしいんですが、究極の目的は、マイナンバーをさまざまな情報に結びつけて、個人情報を丸裸にすることです。

財布のなかにあるカードを出してみました。免許証、セブンイレブンのnanaco、Tポイントカード、家電のEDIONカード、ゆめかカード、ゆうちょ、健康保険証、JR・私鉄に乗るPASMO、広島市内の電車バスのパスピー、薬局ウォンツ……。きりがありませんね。これらのカードには、5***-*3**-06**-*6**とか番号があります。番号で管理しているわけです。それらの番号を「マイナンバー」にくっつけて行くんです。
いまは、それぞれの会社、管理者にしか、各々の番号にある情報を見ることはできません。それを全国民一人にひとつの番号「マイナンバー」に寄せていけば、魔法のカギになる。政府(官邸?)や警察にあるコンピューターにマイナンバーを入れれば、ぜんぶ分かっちゃうということになるんですね。
バイクに現金でガソリンをいれるんですが、「*ポイントカードはお持ちでないですか」とスタンドの人が聞いてくる。「ああ、ポイントがつくのか」と思ったのですが、いつどこでガソリンを注いだのかが当然分かる。イコカやパスモを使えば、どこからどこへ乗ったのかという情報が分かります。ネットでの買い物なども繋ぐことができます。何を読み、何を買い、何を食べ、どこへ行ったのか。ぜんぶ分かっちゃうんですね。

フェイスブックで、誰かが私の写っている写真をアップすると自動的に「二見伸吾」というタグがつく。顔の特徴はしっかり押さえられている。防犯カメラはいまのところネットワーク化されていませんが、技術的にはすぐにできます。高速道路でスピード違反を捕まえるためのオービスのカメラも連携できる。私たちの居所はたちどころに分かる。今は、警察がそれぞれの防犯カメラの管理者にお願いしてみせてもらっているのですが、共謀罪を「改正」して、いずれはオンライン化するでしょう。

警察は労せずして、調べたいことがたちどころに分かるようになる。半分冗談ですが「もう地下活動もできない」なんて言ったりしています。どこかに隠れることなど不可能。抵抗運動もできません。

ゆくゆくは、このようにマイナンバーを使って国民を監視下に置こうとしているわけです。

 

人の優しさを罪にする共謀罪(1)

人の優しさを罪にする共謀罪(2)

人の優しさを罪にする共謀罪(4)

人の優しさを罪にする共謀罪(5)

 

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