防災井戸の整備について 2025年6月議会 一般質問
もくじ
はじめに
今年〔2025〕の3月議会で、私は当町の「地域防災計画」に関わって、避難所のあり方、災害時のトイレについて質問しました。
そのときにも述べましたが、「尊厳ある生活を営む権利」「支援を受ける権利」を保障すること、「災害(や紛争)による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽す」*1)ことが求められており、中央防災会議の「能登半島地震報告書」を踏まえた対応が必要です。
今回は、防災井戸について質問します。飲料水はもちろんのこと、洗濯やトイレなどに使う生活用水も、私たちの暮らしにとって、なくてはならないものです。
ふだんは飲料水も生活用水も上水道によって供給されています。しかし、大きな災害が起これば、水道は断水し、たちまち生活に困ることになります。
こういった事態に備え、近隣の被災者へ生活用水を提供していただく井戸を一般に「防災井戸」と呼んでいます。当町では「災害時協力井戸」、当町の公衆衛生推進協議会(公衛協)では「災害時共助利用井戸」という名称です。他にも「震災対策用井戸」、「井戸水提供の家」「災害用井戸」などさまざまな呼び方がありますが、ここでは「防災井戸」を使います。
1.上水道の再開には時間がかかる
上水道の復旧は3週間以上
私たちの生活を支えるライフラインとして、上水道、下水道、電力、通信、ガスがあります。これらのライフラインのなかで、水道は最も復旧に時間がかかります。
内閣府が2019年に公表した「南海トラフ巨大地震の被害想定について(施設等の被害)」*2)では、山陽地方(岡山県、広島県、山口県)の場合、最悪のケースで比較すると、下水道、電力、都市ガスはほぼ1週間以内に復旧するのに対して、上水道は約3週間かかるという見通しです。
上水道復旧のプロセス
日本水道協会は、内閣府が発表した被害想定*3)などに基づき、 被害の状況を時系列で説明しています。
① 地震直後の状況
・管路、浄水場等の被災や運転停止により、揺れの強いエリア及び津波浸水エリアを中心に断水が発生する。
・津波により浸水した浄水場では、運転を停止する。
・被災していない浄水場でも、停電の影響を受け、非常用発電機の燃料が無くなった段階で運転停止となる。
・避難所等では、備蓄により飲用水は確保されるが、給水車による給水は限定的である。
② 1 日後の状況
・停電エリアで非常用発電機の燃料切れとなる浄水場が発生する。
・管路被害等の復旧は限定的である。
・被災した浄水場の復旧はなされない。
③ 3 日後の状況
・管路の復旧は、ほとんど進展しない。
・停電により運転を停止していた浄水場は、非常用発電機の燃料を確保し、運転を再開する。
④ 1 週間後の状況
・管路の復旧が進み、断水が解消されていく。
⑤ 1 ヶ月後の状況
・管路の復旧は概ね完了する。
・被害が大きい浄水場を除き、ほとんどの浄水場が運転できる状態に復旧する。
・全体では約 9 割以上の断水が解消される。
こういう過程を経て全体が復旧するまでほぼ1か月かかるというのが日本水道協会による復旧想定です。
先ほど紹介した今年3月の中央防災会議による被害想定では、山陽3県は、被災直後が約6割、1日後が5割断水し、1週間後が16%、1か月後はほぼ断水が解消するという見通しです。
また、2013年に広島県が発表した被害想定では、1日後までが4割、1週間後が3割強、1か月後が1割強、断水するとなっています*4)。
能登半島地震などの大地震の場合
実際に起きた能登半島地震の場合はどうだったでしょうか。石川県七尾市の場合、停電は9日でほぼ解消しました。それに対して、上水道は断水戸数が半分になるのに約2か月、断水が解消するのに4か月かかっています。
阪神淡路大震災(1995年)は約3か月、新潟県中越地震(2004年)は約1か月、東日本大震災(2011年)は約5か月、熊本地震(2016年)が約3か月半、北海道胆振(いぶり)東部地震(2018年)が約1か月、かかっています。
南海トラフ巨大地震の被害想定は復旧まで約1か月ですが、過去の例からみて、3か月から半年かかることもありうるわけです。
水道の耐震化の進捗状況
府中町の上水道は、広島市水道局から供給されていますが、2022年度末時点で、配水池の耐震化率は85.8%、水道管の耐震化率は29.5%です。7割の水道管はまだ耐震化されていません。
2018年に策定された「広島市水道施設耐震化計画」には、「管路の更新は、2014~2017 年度では、年間平均 26 km 実施してきましたが、今後は年間平均40kmを目標に段階的にペースアップすることで 、 より一層の管路の耐震化を推進していきます」とあります。
広島市水道局の管路の総延長は4,817kmで、耐震化率約3割ですから、あと7割・3,372kmの管路を耐震管に取り替えないといけません。仮に広島市の計画である年平均40kmですと、全ての管路を耐震化するのに80年以上かかります。
上水道は、他のインフラよりも地震に弱く、断水が長期化する恐れがある。管路=水道管を耐震化すれば、被害は少なく、復旧も早まりますが、遅遅として進んでいないのが実態です。
*1)『スフィアハンドブック 人道憲章と人道支援における最低基準』2018年版、4頁。
*2)内閣府政策統括官(防災担当)「南海トラフ巨大地震の被害想定について(施設等の被害)」2019年6月。
*3)「南海トラフ巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定の公表について(2012 年)」、「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)について(2013年)」、「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ最終報告(2014 年)」
*4)「広島県地震被害調査報告書」2013年。
2.代替水源としての地下水、そして井戸
生活用水の確保
中央防災会議「能登半島地震報告書」は、「避難生活における生活環境の確保」の課題の1つに生活用水の確保を挙げています。
「水道が大きく被害を受け、生活用水の確保が困難となるなか、特に断水が長期化した場合の洗濯の想定準備が不十分で、洗濯機会の確保に課題があった」*5)。
飲料水については、プッシュ型で70万本を届けたと同報告書に書かれているとおり、なんとかなった。しかし、生活用水――食器洗いや洗濯、身体を拭いたり洗ったり、また、下水が使えるようになればトイレを流したりするための水が圧倒的に足らなかったわけです。
風呂に入ることもままならない
「今回の災害では、水道が大きく被害を受け、生活用水の確保が困難となるなか、特に断水が長期化した場合の風呂の準備が不十分で、入浴機会の確保に課題があった」としています。
仮設風呂などで対応しましたが、風呂おけがあっても水がなければ使うことができません。衛生上、同じ水を何日も使うわけにはいかない。生活用水を確保することが必要です。
そこから、報告書は「実施すべき取組」として防災井戸の設置などによる生活用水の確保を挙げています。
「自治体に対し、被災時において断水の長期化が生じることも想定し、防災井戸の設置等、災害時においても継続的に取水可能な分散型の生活用水の確保について促すべきである。防災井戸については、自治体が作成している防災マップ等に記載し公表するなど、住民への周知を図るよう、自治体を促すべきである」。
「地域で独自に設置している簡易水道や井戸の復旧について、柔軟な支援の検討が必要との意見があった」*6)。
地下水活用は喫緊の課題
能登半島地震では、水道施設の甚大な被災、断水の長期化により、水源をいかに確保するのかが大きな課題となりました。そこで注目されているのが地下水の利用です。
今年3月、内閣官房水循環政策本部事務局と国土交通省水管理・国土保全局水資源部が共同で「災害時地下水利用ガイドライン~災害用井戸・湧水の活用に向けて~」(以下、「利用ガイドライン」と略記)を公表しました。
「利用ガイドライン」は地下水の活用について次のように位置づけています。
「近年、災害が激甚化・頻発化しており、災害時における水源の確保は、大規模地震発生の蓋然性の高い地域や半島地域等、地下水活用が有用と思われる地域をはじめとする、全国の自治体に共通する喫緊の課題です」*7)。
「全国の自治体に共通する喫緊の課題」、急いで取り組まなければならない課題だと述べています。しかし、実効的な取り組みが進んでいない自治体も多いことから、災害時における地下水の利用を促すために、このガイドラインが策定されました。
「利用ガイドライン」は、地下水利用に際して検討・把握すべき事項として、取組みの進め方、効果的な配置場所、既設井戸・湧水等の把握、新設井戸の建設、井戸工事の流れ、活用可能な国庫補助制度について述べています。
南海トラフ巨大地震が想定されている今、この「利用ガイドライン」に沿った取り組みが当町でも必要です。「利用ガイドライン」は、生活用水の確保のために上水道の代替水源として地下水を活用すべきだとし、次のように述べています。
・災害時に水道の断水が長期化する場合は、井戸水・湧水等の地下水利用が有効である。
・災害時には、各種備蓄、給水車による支援や支援物資等により、飲用水が確保できることが想定される。
・その一方で、災害後の避難生活において必要不可欠な洗濯や風呂、トイレ等の生活用水の確保が困難であることが想定され、その必要量は避難生活の長期化に対応して、段階的に増加していくこととなる。
・令和6年能登半島地震では、停電の復旧期間に比べ、断水の解消まで相当な期間を要した。
・災害時における水源の確保は、南海トラフ地震等大規模災害の蓋然性の高い地域や半島や離島をはじめとする全国の自治体に共通する喫緊の課題であり、代替水源を検討しておくことが重要である。
・なお、災害時に代替水源として地下水を利用するためには、平常時から地下水位を観測し、地下水の実態を把握する地下水マネジメントの取組が必要である。
・また、災害用井戸は、災害が発生した際に円滑に利用できるよう、普段使いの井戸をそのまま活用することが望ましい*8)。
*5)中央防災会議「能登半島地震報告書」(2024年)、88頁。
*6)同上、89頁。
*7)「利用ガイドライン」。
*8)「利用ガイドライン」9頁。
以上の点を踏まえ、井戸などによる生活用水の確保に関わって、4点質問します。
既設井戸の把握
第1に、既設井戸の把握についてです。町として登録されている防災井戸は、現在17あります。
昨年、公衛協が公表した「府中町災害時共助利用井戸マップには町に登録されている防災井戸を含め29の井戸が紹介されていますが、マップへ記載されることを望まなかった方も含めると、公衛協として30の井戸を確認されていると伺いました。町に登録されている方を含め全部で47の井戸の所有者の方が防災井戸としての協力を約束してくれています。
井戸が減っているなか、50軒近くの方が災害時に近隣の皆さんに生活用水を提供すると表明していただいていることは大変素晴らしいと思いました。それとともに人口52,000人、24,000世帯の府中町で町内全域が被災した場合、50程度ではとても足りないのではないかと思います。
災害後に必要とされる水の量は、発災から3日までが 1人あたり1日3リットルで、これは生命維持のため最小限必要な水で飲料水です。
4 日目ぐらいから10日までが 1人あたり1日20リットルになる。炊事や洗濯などが始まるからです。11 日から21日ぐらいまでは 1人あたり1日 100リットルに増える。炊事、洗濯に加え風呂などに必要な水量です。22 日から28日は 1人あたり1日 250リットルとなり、ほぼふだん通りの生活に必要な水量となります*9)。
上水道の復旧が長引けば長引くほど、必要な生活用水は増えていくわけです。人口と世帯数を現状の井戸の数、50で割れば、井戸1つあたり約1,000人、約500世帯となります。それぞれの井戸は長蛇の列になるでしょう。
①そこで伺います。現在登録されている防災井戸は50ほどです。町として、これで十分だとお考えですか、それとも足りないとお考えですか。
*9)「利用ガイドライン」14頁。
防災井戸への助成
第二に、防災井戸への助成です。当町は、登録されている井戸に対しての助成制度はないと思います。しかし、登録されている防災井戸に対して助成している自治体があります。
第1に、水質検査についての費用に対して、徳島県上板町(かみいたちょう)が助成しています(上限1万1千円)。検査は義務づけられていませんが、所有者が検査を希望して実施すれば助成するというものです。
第2に、防災井戸として指定された井戸を所有・管理している方に対して東京都武蔵野市は、井戸1件につき、年間9,000円を助成しています。防災井戸を所有・管理している人全員に毎年支払うかたちです。
第3に、井戸本体の修繕、井戸ポンプの修繕、手動式ポンプの設置、 井戸の利便性向上に必要な周辺整備に対して、呉市は経費の2分の1以内(上限50,000円)を補助しています。
井戸の維持・管理にお金がかかるわけですから、所有者の善意に頼っているだけではいけないのではないか。何らかの形で維持・管理に対して助成することが必要だと思います。
②そこで伺います。防災井戸の所有・管理者に対して助成をするお考えはありますか。
適地の選定
第3に井戸を掘るのに適した地域の選定です。
公衛協が作った「災害時共助利用井戸マップ」を見ますと、開発された団地を除くとだいたい井戸があることが分かります。井戸のある周辺は掘れば水が出るでしょう。
当町には、瀬戸ハイム・清水ヶ丘・桜ヶ丘・城ヶ丘・柳ヶ丘など丘に造成した団地があり、清水ヶ丘、桜ヶ丘を除くと防災井戸はありません。団地は開発時に上水道を敷設するので、井戸を掘る必要がなかったのでしょう。しかし、上水道が災害時に断水すると困ったことになります。
丘陵地は井戸を掘るのが難しいのでしょうか。掘削業者のホームページには次のようにありました。
「全ての高台で井戸掘りができない訳ではありません。高い山の中腹でも条件が揃えば井戸を活用することができるように、高台でも井戸を活用している方は大勢いらっしゃいます。しかし、地下水のある層は高台ほど深く、海側ほど浅いという傾向があるため、深く掘り進めなければならないことが多いですね。また、地下水は高台から海側に向かってどんどん流れていくため、不透水層(地下水を通しにくい、または通さない地層のこと)の上に溜まっている地下水は少ない傾向にあります。溜まっている水が少ないため、高台の井戸では水位が低く水量も少ないことも予想されます」*10)。
難しい点もあるが、水が出ないわけではない、ということです。
丘の上こそ災害時に井戸が必要です。井戸がなければ、平地部にある井戸に行って水を汲むことになります。
「利用ガイドライン」は、「災害用井戸の配置を考える場合、人口分布や高齢者の居住率、企業や工場の立地、自治体の給水地点など留意すべき事項は多岐にわたるが、何を重視するかは地域によって様々である」としたうえで、次のように述べています。
「避難所等の防災拠点施設との位置関係や、住民が無理なく手で水を運べる距離(約500m)を考慮して、災害用井戸の配置を検討することも有効である*11)」
内閣官房水循環政策本部事務局「災害用井戸制度導入ガイドライン」――これはまだ素案で確定はしていないようですが――、この「導入ガイドライン」には、「なお、災害発生からの日数により、被災地の状況が変化し、必要な水量等も変化するため、水の入手に課題のある地区を検討した上で、災害用井戸を設置すれば効果的である*12)」ということをつけ加えています。
公衛協のマップをみれば、団地を除けばたいていのところに井戸があることが分かります。あとは人口・世帯数に沿ったかたちで井戸を増やせばよいのではないでしょうか。また、既設の井戸がない地域は、地質調査などを実施し、相応しい場所を見つけて井戸を掘ることが必要となります。
③そこで伺います。防災井戸のない地域で、井戸整備のための調査をするお考えはありますか。
*10)「高台で井戸掘りは可能?メリットと注意点」井戸生活HP
*11)「利用ガイドライン」14頁。
*12)「導入ガイドライン」3-1
公共施設・公有地への井戸の新設
第4に、公共施設・公共用地へ井戸を新設することについてです。
防災井戸を増やすために、手始めにすることは町の施設、町の管理する公園などに井戸をつくることです。
愛知県の北西部にある扶桑町(ふそうちょう)*13)は、昨年(2024年)、町内4か所に防災井戸を設置しました。駐車場の一角、宅地のなかの空き地などにつくったようです。
防災井戸が50では足りないわけですから、まず、町の公共施設に防災井戸を設置する。役場庁舎、くすのきプラザ、公民館2つ、交流センター2つ、福寿館、そして小中学校7校に防災井戸を設置する。
これで14は確保できます。つぎに町内に大小あわせて55の公園があり、井戸設置が困難なところを除き、地域的なバランスを考えて順次掘ってゆく。そうすれば、防災井戸は三ケタになります。
高齢者施設や保育園、こども園、幼稚園は民間施設ですが、助成をして井戸を掘っていただく。東京都葛飾区では、高齢者施設や保育所などの福祉施設等が、新たに井戸を設置し、災害時には井戸水を区民にも供給できるようにした場合に、井戸の設置にかかる工事費用を助成しています。井戸1基当たり、経費の10分の9で、上限が飲料水用井戸の場合、600万円、生活用水井戸だと300万円です。
④そこで伺います。まず公共施設、公園など公有地で防災井戸を設置して、その数を増やすべきだと考えますが、町としての考えをお聞かせください。
以上、4点質問いたします。
*13)人口約3万5千人、面積11.19平方km。
《答弁》
危機管理監
まず、1つ目の「現在登録されている防災井戸は、町として十分と考えているか、それとも足りないと考えているか」についてです。
本町におきましては、現在、
・町と「災害時における井戸水の協力に関する協定書」を締結している井戸17か所と、府中町公衆衛生推進協議会の調査により、災害時の井戸水使用について協力を得られている井戸30か所、 あわせて47か所の井戸を『防災井戸』として確認しているところです。
全町域が被災した場合、特に、災害発生から数日後には、生活用水の需要が急激に増加するため、防災井戸だけではなく、より多くの手段による生活用水の確保が必要になると考えております。
次に2つ目の「防災井戸の所有・管理者に対して助成は考えているのか」についてです。
当町と災害時の協力協定を締結している井戸につきましては、登録されている井戸に対する助成はありませんが、災害発生時に井戸を使用したことにより生じた負担については協議し決定することとしております。
一方、協定締結井戸以外につきましては、こうした取扱いを定めていないため、今後、災害発生時の利用により生じた負担について、対応を取り決めていく必要があると考えております。
3つ目の「井戸整備のための調査をする考え」についてと、4つ目の「公共施設、公園など公有地で防災井戸を設置して、その数を増やすべきだと考えるが、町としての考えは」につきましては、合わせてお答えします。
町全域の災害対応力を高めていくためには、防災井戸だけではなく、様々な防災施設の可能性を検討していく必要があると考えております。
現時点で、井戸整備のみについての調査は予定しておりませんが、
例えば、ご提案の公共施設、公園などの公有地における、平常時・災害時を問わずに活用できる施設の整備など防災施設全般について、その必要性・可能性を検討する中で、防災井戸についても含めて検討してまいりたいと考えております。
《2回目》
「公共施設、公園など公有地で防災井戸を設置すること」についてですが、「公共施設、公園などの公有地における、平常時・災害時を問わずに活用できる施設の整備など防災施設全般について、その必要性・可能性を検討する中で、防災井戸についても含めて検討」するとのことでした。ぜひ進めて頂きたいと思います。
再質問を3ついたします。
1問目で、私は「現在登録されている防災井戸は50ほどで、それで足りるのか」と問うたのですが、答弁は「防災井戸だけではなく、より多くの手段による生活用水の確保が必要になる」という答弁でした。防災井戸についてはこの程度あればよく、あとは『より多くの手段』によって確保する」というふうに理解したんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
また「より多くの手段」とは具体的にどういうものを差すのでしょうか。
2問目の防災井戸の所有・管理者に対して助成」についてですが、私が紹介したような助成をする考えはない、というのが町の判断でしょうか。
以上、3点伺います。
《答弁》
危機管理課長
まず、1つ目の「防災井戸についてはこの程度でよく、あとは「より多くの手段」によって確保することでよいか」についてと、2つ目の「「より多くの手段」とは具体的にどのようなものか」につきましては、合わせて答弁いたします。
現状の防災井戸50か所程度で災害時に町全体の生活用水が確保できるではなく、災害時には防災井戸を含めたより多くの手段にて生活用水を確保することが必要です。
より多くの手段とは、飲料水兼用型耐震防火水槽による生活用水の確保、企業や商業施設からの協力による生活用水の確保、近隣自治体への支援要請による生活用水の確保などが考えられます。
3つ目の「防災井戸の所有・管理者に対して助成をする考えはない、というのが町の判断か」につきましては、繰り返しとなりますが、井戸に対する助成はありませんが、災害発生時の利用により生じた負担について、対応を取り決めていく必要があると考えております。
《3回目》
救援は来ないことを前提に
南海トラフ巨大地震が今後30年以内に起きる確率は80%程度だとされています。今日かも知れない、1年後かも知れない、10年、20年後かも知れない。確率80%ですから30年経っても起きない可能性も20%あるわけです。それでもドリームジャンボ宝くじ1等当選の確率0.00001%であり、7等(300円)でも当選確率は10%でしかないことを考えますと80%というのは相当高い確率だといえます。
そして、南海トラフ巨大地震の特徴は揺れが強く、被災範囲が広いことです。静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となり、隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。
広域にわたって強い地震が起こるわけですから、構えとしては「救援が来ない」「非常に遅れる」ということを前提に考えるべきです。
井戸を生活用水の確保の柱に
そこで2回目の答弁についてですが「災害時には防災井戸を含めたより多くの手段によって生活用水を確保することが必要」であり、「飲料水兼用型耐震防火水槽による生活用水の確保、企業や商業施設からの協力による生活用水の確保、近隣自治体への支援要請によって生活用水の確保する」というお答えでした。府中町だけが被災する状況であれば近隣自治体へからの支援はあるわけですが、いま述べたように南海トラフ巨大地震が起きたときは周辺自治体全て被災するわけです。とても支援要請できません。
それ以外の耐震防火水槽、企業・商業施設からの確保などは出来るところからどんどん進めていただきたいと思います。
しかし、井戸が一番手軽で、新たに掘るとしてもそれほど経費はかかりません。私は、井戸による地下水の利用を災害時における生活用水確保の柱にすべきだと考えます。
維持・管理に対する助成を
井戸への助成についての答弁は1度目と同じで、「災害発生時の利用により生じた負担について、対応を取り決めていく」ということでした。災害が起きるまでは助成しないということです。
南海トラフ巨大地震が起きる可能性は30年以内に80%というざっくりとした予測です。災害が発生するまでずっと井戸を維持してもらって、災害が起きたら生じた負担を払うというのは現実的ではありません。いつ来るか分からない災害に備えて井戸を維持・管理し続けることに経費がかかるわけです。災害時には水を汲むだけですから、費用はほとんど発生しないでしょう。
現在約50ある井戸は、家の建替えなど、さまざまな事情で減っていくことが予想されます。できるだけ長く維持していただくための手立てが必要です。せっかく「災害時に利用していただいて構いません」と応じてくれたのに「いざというときはよろしくお願いします。災害が起きたら手当てします」ではまずいのでないか。他の自治体がやっているような、水質検査に対する助成、防災井戸の維持管理に対する助成、井戸の修繕などに助成すべきだということを改めて述べておきます。
国の助成制度・地方債制度の活用
1回目の質問で紹介したとおり、政府は災害時の代替水源として災害用井戸・湧水の活用を自治体に求めています。
「利用ガイドライン」には、自治体向けの補助制度として「防災・安全交付金 都市防災総合推進事業」「社会資本整備総合交付金 都市公園事業」「災害時拠点強靱化緊急促進事業」「一時避難所整備緊急促進事業」「学校施設環境改善交付金 防災機能強化事業」の5つを挙げ、その活用を促しています。
また、活用できる地方債制度として「緊急防災・減災事業」を挙げています。指定避難所への井戸の設置に対して使える地方債です。充当率100%、交付税措置70%ですから町の支出は3割で済みます。
これらの補助制度、地方債制度を使って、防災井戸の活用に積極的に取り組んでいただきたい。
雨水の地下浸透もあわせて
現在登録されている約50の井戸をはじめ、井戸の整備、地下水の活用を進めていくためには、地下水を枯らすことなく、豊かにしていくことが必要です。
そのためには、森林整備と雨水を地下に積極的に浸透させることが必要です。この点については昨年(2024年)の3月議会において『府中町第2次環境基本計画(改定版)』について質問した際に述べましたので、ここでは繰り返しませんが、地下水の活用と地下水の涵養を両輪として取り組むことが重要だということを改めて強調しておきます。
危機管理とは
「危機」という言葉は、悪いことになりそうだが「まだ起きていない」状況を言います。
そういう、まだ起こっていない不測の事態に対して事前に準備し、被害を最小限に食い止めるための対策を立てることが危機管理です。
町にはさまざまな部署がありますが、他はすべて、今ある問題、今起きていることに対処・対応しています。消防も危機管理課と同様に不測の事態に備えていますが、こちらは毎日、救急車の出動があり、危機は毎日現実になっているわけです。
危機管理課が担当している災害は、毎日あるわけでもないし、大きな災害も毎年起きるわけではありません。他の部署が「過去」と「現在」に対応しているのに対して、危機管理課は「未来」への対応をしています。
人員体制の充実を
私たちは、どうしても「まだ起きていない」ことよりも「いまある問題」「いま起きていること」に目がゆき、優先しがちです。しかし、災害がひとたび起きれば、それに対する備え、危機管理が問われることになる。自然災害は、地震、豪雨、暴風、洪水、高潮、津波など多岐にわたります。そして、これらのなかのどのような災害がいつ来るか分からない。危機管理は、危機が現実となるかどうか見通せないなかで、その危機に対策をとるという困難な仕事です。
このような危機管理課の特殊性を考えてみますと、当町の人員体制は弱いのではないでしょうか。以前、危機管理課は部並みの位置づけであり危機管理監がいるだと聞いたことがあります。しかし、危機管理監と課長を除いた職員はわずか4人で係と同じぐらいです。職員の皆さんは、頑張られていると思いますが、管理職含めて6人ではさまざな危機に対して十分な備えをすることは難しいのではないかと思います。
他の部署も人員は足りていないと思いますが、南海トラフ巨大地震をはじめとする災害、不測の事態に対して事前に備え、被害を最小限に食い止めるためには危機管理課の体制強化が必要だと考えます。
危機管理課の人員増・体制強化を要望して私の質問を終わります。
(以上)














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