決算審査特別委員会「現地踏査」

12月16日(金)午後、決算審査特別委員会の「現地踏査」がありました。平成27年度予算で執行された「モノ」「コト」を現地に見に行きます。

今回、踏査したのは①「広島都市圏消防救急デジタル無線」、②災害時用マンホールトイレ、③みくまり峡「森づくり事業」、④防災倉庫の4箇所です。

1.広島都市圏消防救急デジタル無線

広島市、大竹市、廿日市市、江田島市、府中町という4市1町が共同して消防本部の通信ネットワークをつくりました。デジタル無線によって「災害現場で活動中の消防隊や車両間での無線通信に加えて、災害現場から離れた車両などと基地局折り返し通信により広範囲なエリアでの無線通信が行える」(パンフレット)そうです。

また、デジタル化によって通信内容を暗号化し、傍受を防ぐことができます。「傷病者や災害住所といった個人情報をや消防活動上の重要情報など」(同)が漏れないようにできるとのこと。

役場隣の消防署にあるのは下のような無線機です。


呉娑々宇山(ごさそうやま)など4箇所に多重無線ネットワークの中継局があり、2箇所に光回線ネットワークの中継局があります。各消防本部はこの2つのネットワークによって繋がれているのです。

府中町単独で整備すると3億円かかるそうですが、共同化によって1億円に抑えることができた、との説明を受けました。平成27年度の事業費は2990万7千円です。

2.災害時用マンホールトイレ

災害時に困ることの一つはトイレです。災害用のトイレには、携帯トイレ・簡易トイレ、マンホールトイレ、仮設トイレの3タイプがありますが、マンホールトイレには次のような特徴があります。

① 備蓄が容易で、日常使用しているトイレに近い環境を迅速に確保できる。
② し尿を下水道管路に流下させることができるため衛生的であり、臭気、し尿抜き取りが軽減される。
③ 入口の段差を最小限にすることができるため、要配慮者が使用しやすい。

国交省は以上の理由から、マンホールトイレの普及を推進し、来るべき災害に対して快適なトイレ環境を確保しようとしています。
府中中央小学校にトイレ用のマンホールが5つ設置されています。職員の方の足下の穴がトイレ用のマンホールです。

マンホール(manhole)というのは、もともと作業する人が入る穴という意味。ですから、このような小さな穴はマンホールとは言わないのでしょうが、まあ人体の中から出てくるものを落とすわけですから、「人」のための穴ということで間違ってはいないのかもしれません。

中央小には1350人が避難してくる計画で、トイレは250人に1つ。1日1500人が利用可能です。中央小の場合、工事費は設計・施工あわせて約500万円で国の補助が二分の一出ます。

平成28,29年度で他の小学校4校と中学校2校、そして「くすのきプラザ」「空城山公園」「揚倉山運動公園」、全部で10か所にマンホールトイレを整備する計画です。

3.府中の森づくり事業

府中町の面積は1,045haで、森林面積は435ha。その半分(225ha)が町有林で、人工林が87haを占めています。人工林は定期的な間伐をしないと過密になり、木が育ちません。
「手入れ(せずに)放置されると、藪のような状態になり、つる性植物などにより、木の成長が阻害され、日光が差し込まないため、林床植生が減少し、土石流の発生、山腹崩壊や風倒被害を受けやすくなる」(町生活環境部資料)。

平成26年8月20日に起きた広島豪雨災害。最も被害の激しかった安佐南区八木の現場を見ましたが、間伐がされておらず、幹が細く、木が育っていません(下の写真)。

もし、きちんとした整備がなされていれば、土石流による被害は最小限に食い止められていたのではないでしょうか。

天然林ときちんと整備された森林は、保水力があり、「緑のダム」と呼ばれています(下の図)。

降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和し、雨の降らない時の川の流量を維持する機能を持っています。さらに、多種多様な鳥、昆虫など生き物を育む機能、森林が二酸化炭素を吸収することによる地球温暖化防止の機能もあります。

町では中国自然遊歩道を軸に毎年間伐を実施し、みくまり峡森林公園内の遊歩道の整備をしています。町有の人工林87haのうち、当面20haを整備する計画ですが、平成27年度は7.55haの整備が済みました。

みくまり峡で間伐がされた林を見ましたが、とても美しく整備がされています(下の写真)。

平成20年度から整備が始まっていますが、町有林だけでもまだ緒についたばかりです(累計面積9.58ha)。間伐の済んだ林の近くには、安佐南八木地区と同じようなひょろよろの木ばかりのところがたくさんあります(下の写真)。



森林整備は「オアシス都市」を標榜する府中町にとって要となる施策の一つであり、防災上も重要な役割を果たします。

テンポをあげて整備することが求められます。

4.防災倉庫

防災用備蓄倉庫は、本町2丁目、歴史民俗資料館の北側にあります。

テントのようなものに職員の方が座っていますが、これがマンホールトイレです。

マンホールの上にこれを設置します。
毛布645枚、アルファ化米(注)5700食、飲料ペットボトル5760本を防災備蓄倉庫に保管・管理しています(11月末現在)。

(注)米を炊いた後に乾燥させた加工米。保存食・非常食として用いられる。


 

大規模災害時にはこれらの備蓄ではまかないきれないことが予測されますが、民間企業と災害協定を締結し、優先的に食糧、飲料水、生活物資などの提供を受けることになっています。

災害の規模は事前に想定できず、町民すべてにゆきわたるように備蓄すると莫大な量となってしまいます。

飲料水やアルファ化米には消費期限もあります。どの程度の備蓄があればいいのかということはなかなか難しいですね。

東北大震災のように広範囲に被害が及んだとき、交通手段が遮断されたときどうするのかについて、よく検討する必要があります。

4か所(4事業)いずれも有意義な施策です。

百聞は一見にしかず。随行し、説明をしていただいた職員のみなさん、ありがとうございました。

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