toggle
2023-12-14

役場庁舎の建替えについて 2023年12月議会 一般質問

以下の原稿は、府中町議会の公式記録ではありません。また、年号については西暦に統一しています。

印刷用PDF

 

はじめに

私は昨年9月の一般質問で、「人は石垣、人は城」という武田信玄の言葉を引き、働きやすい人的配置と処遇の改善が何よりも大切だと主張しました。このことを前提にしつつ、今日は役場庁舎という「城」の問題について質問いたします。

庁舎内を歩くと仕事がしにくそうだなと感じることがよくあります。

まず狭い。特に2階が狭い。会議室や打ち合わせスペースが足りていない。OA(オフィスオートメーション)に対応していない。DX(デジタルトランスフォーメーション)どころではないだろう、などと思うわけです。

現在の庁舎は1984年に完成し、来年で築40年となります。新建築基準法(1981年)以後に建築されていますので耐震基準は満たしている。また、町内には役場庁舎より古い施設が多く、優先順位は高くありません。2020年9月に改訂された、当町の公共施設の「維持保全計画」において、役場庁舎の改修優先順は改修対象施設74のうち44位となっています。

2022年3月に改訂された「府中町公共施設等総合管理計画」を見ますと、役場本庁舎は建替えでなく長寿命化の方針のようです。

このたび、海田町役場庁舎が建替えられ、見に行きましたけれども、明るく、仕事がしやすそうだと感じられる庁舎でした。当町の庁舎がこのままでいいのだろうかと改めて思ったわけです。

全国各地で進む庁舎建替え

庁舎を建替える自治体は新庁舎建設についての「基本構想」「基本計画」といった文書を作成しています。インターネット上にたくさんあり、そのなかから海田町、それ以外にアトランダムに選んだ11自治体の「計画」を読んでみました。建替え理由で最も多いのは老朽化と耐震性能の不足ですが、建替える理由はそれだけではありません。

共通して重視されていることを私なりに整理すると次の4点になります。第1に、災害に強く、防災拠点となる庁舎、第2に誰もが利用しやすい庁舎、第3に職員が働きやすい庁舎、第4に環境にやさしい庁舎、です。

躯体、構造体としては問題がなくても、40年という月日の経過のなかで庁舎に求められる新たな機能、時代の要請に応える庁舎のあり方が問われていると思いました。

1.災害に強く、防災拠点となる庁舎

それでは1番目に「災害に強く、防災拠点となる庁舎」について伺います。

豪雨、高潮、津波による越水

まず心配なのは豪雨や高潮、津波などによって河川の越水が起こり庁舎が浸水する危険性があることです。
ハザードマップによりますと庁舎周辺の洪水の想定最大規模は1m~3mで、高潮の場合は3m~5m。高潮は台風に伴う風が原因で起こる「吹き寄せ効果」と、台風が接近して気圧が低くなって起こる「吸い上げ効果」などで、海面が上昇する現象です。

今年2月に修正された「府中町地域防災計画(付属資料)」にある「広島県津波想定図」(広島県危機管理課作成)によると、役場周辺には津波は届かないということになっています。しかし、図に付けられている「留意事項」には、最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合を想定しているものの「これよりも大きな津波が発生する可能性」もありうると書かれています。

庁舎の1階は建設部と町民生活部で、災害対応で最前線に立つ部署です。高潮になれば2階も浸水する危険性がありますが、2階は住民課と福祉保健部があり、住民生活に直結しています。

浸水して書類がダメになったり、パソコンが壊れてしまったら災害対応に支障をきたすのではないでしょうか。

その点を考慮して、海田町の新しい庁舎は1階には窓口や執務スペースを設けていません。
 
南海トラフ地震
 
もう1つは、大きな地震によって庁舎が倒壊したり、ピサの斜塔のように傾いてしまう危険性です。

南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に70%から80%の確率で起きるといわれています。広島県内の沿岸部には軟弱な地盤が多く、地震の揺れが増幅しやすく、河川沿いの低地や旧河道の地域でも液状化の可能性があると広島大学大学院の三浦弘之准教授が指摘しています。

三浦准教授が県のデータをもとに作成した「地盤の揺れやすさ分布」図を見ますと役場庁舎を含め、町域の4分の1近くが「地盤が最も揺れやすい地域」となっています。

三浦准教授は、「広島市の中心部のように、江戸時代に埋め立てられた地盤が広く分布している地域や、大きな川沿いの地域では非常に地盤が軟らかい状態になっていて、地震の時に非常に揺れが増幅される、揺れが大きくなりやすいという特徴があります」と述べています。

役場庁舎の建っている場所も河川敷であり、通常の耐震基準をクリアしいても液状化によって庁舎が傾く可能性があるのです。

(三浦弘之「地震被害予測手法と都市の地震対策」2020年 12 月 16 日 広島大学防災・減災研究センター 2 周年記念オープンディスカッション)

構造体の耐震安全性

国土交通省は2013年に「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」(以下、「計画基準」と略記)を制定しました。

計画基準は、官庁施設の耐震安全性について「官庁施設の有する機能、官庁施設が被害を受けた場合の社会的影響及び官庁施設が立地する地域的条件を考慮し」、「特に、災害対策の指揮及び情報伝達、救護、消火活動等の災害応急対策活動に必要な官庁施設」は「他の官庁施設に比べ、大地震動に対しても耐震性能に余裕を持たせることを目標とする」と述べています。通常の建築物と同じ基準ではダメだということです。

「計画基準」は、大地震動に対する構造体の耐震安全性の目標として次のように述べています

「大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られるものとする。対象施設は、災害応急対策活動に必要な官庁施設及び危険物を貯蔵又は使用する官庁施設のうち、特に重要な官庁施設」

基礎自治体=市区町村は「災害対策の指揮及び情報伝達、救護、消火活動等の災害応急対策活動に必要な官庁施設」に当然該当すると思いましたが、この「計画基準」がいう「官庁施設」とは「国の行政機関」だけのようです。「災害対策の指揮及び情報伝達、救護、消火活動等」をするのは基礎自治体であるのに、「計画基準」の対象でないのは納得がゆきません。

そういうなかで、海田町や岡山市、東京都江戸川区、大阪府岸和田市など、この基準を援用して国の行政機関の拠点庁舎と同様の、構造体はⅠ類、天井や照明など建築非構造部材はA類、配管など建築設備は甲類と、最も高い水準の耐震安全性を持つようにしています。

建築基準法における通常の1.5倍の地震力に耐える建物にし、「大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保」できるようにするということです。

防災拠点たりうるのか

「府中町地域防災計画 (基本編)」は、「災害対策本部の設置場所は、庁舎4階大会議室」に置くと定めており、役場庁舎は災害時に司令塔の役割を果たすことが求められていますが、庁舎が浸水したり、大地震で傾くようなことになれば、代替施設に本部を設置せざるをえなくなるでしょう。役場庁舎内に設置するよりも不便になり、不都合が生じることは容易に想像できます。

 そこで伺います。

質問1. 現在の庁舎では、豪雨による河川越水や南海トラフ地震のような大地震が起きた場合、役場機能が著しく損なわれる危険性があるのではないでしょうか。町の見解をお聞かせください。

総務企画部長 「地域防災計画」では、役場庁舎を、大規模災害時における災害対策活動拠点と位置づけています。災害対策本部の設置場所は、4階大会議室と定めており、2018年7月豪雨の際も、その後の大雨・台風等の際も、同場所にて本部を設置し、逐次本部員会議を開催しています。

役場庁舎は新耐震基準で整備されており、杭基礎にて強固な地盤に支えられているものの、昨今の自然災害は、想像を超えたものとなっていますので、役場機能が著しく損なわれることはありません、と断言するのは難しいところです。

しかし、2017年度には、設備能力の向上を目的としたエレベーターの耐震改修、また、2019年度には、継続的な災害対応体制構築を目的とした非常用自家発電設備の更新などを行っており、着々と防災機能の強化を図っています。

第4次総合計画の改訂において、「災害に強いまちづくり」を基本施策に格上げするとともに、「国土強靭化地域計画」では、「必要不可欠な行政機能は確保する」とした「事前に備えるべき目標」を掲げており、役場庁舎が防災拠点足りうるよう、引き続き策を講じてまいりたいと考えます。

2.誰もが利用しやすい庁舎

二見議員 2番目に、「誰もが利用しやすい庁舎」について伺います。

現在の庁舎でも一部実現しているものもありますが、①トイレなどのバリアフリー化とユニバーサルデザインの採用、②プライバシーが守られる窓口、③無料公衆無線LAN(Wi-fi)が必要だと考えます。

①バリアフリー・ユニバーサルデザイン

まず、バリアフリー化とユニバーサルデザインの採用です。

バリアフリーとは、高齢者や障害者などが生活していく上で障壁(バリア)となるものを除去(フリー)するという意味です。ユニバーサルデザイン(UD)は障害を取り除くという意味のバリアフリーを含みつつ、より積極的に「すべての人のための」、「みんなにやさしい」、「誰にとっても使いよい」デザインという意味です。

政府公報オンラインには「現在では、障害のある人や高齢者だけでなく、あらゆる人の社会参加を困難にしているすべての分野でのバリア(障壁)の除去という意味で用いられています」とあり、バリアフリーという言葉もユニバーサルデザインに近い意味で使われるようになっています。ですからバリアフリーかユニバーサルデザインか切り分けるのは難しく、ここではバリアフリーという言葉を使います。

バリアフリートイレ

バリアフリーにはさまざまな課題がありますが、最も求められているのはトイレです。

バリアフリートイレ(高齢者障害者等用便房)は、多目的ないし多機能トイレとも呼ばれています。車椅子使用者が利用できる広さや手すりなどに加えて、おむつ替えシート、ベビーチェアなどを備えて、車椅子使用者だけでなく、高齢者、障害者、子ども連れなど多様な人が利用可能としたトイレのことです。

2020年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下、バリアフリー法)、その翌年に「高齢者・障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(以下、「建築設計標準」)が改正されました。

バリアフリー法に基づく基準には「建築物移動等円滑化基準(=義務基準)」と「建築物移動等円滑化誘導基準(=誘導基準)」があります。「義務基準」は、高齢者や障害者が円滑に利用するために守るべき「最低限の基準」であり、「誘導基準」は守ることが「望ましい基準」とされています。

トイレについての「義務基準」は建物に1以上ですが、「誘導基準」では各階に原則2%とされており、最低でも各階に1つ以上バリアフリートイレが必要です。バリアフリー法を推進する立場にある町の庁舎が最低限の基準をクリアしてよしとするわけにはゆきません。

機能の分散化

バリアフリートイレの機能分散化も求められています。

「建築設計標準」は、車椅子使用者用トイレを男女が共用できる位置に1つ以上設けることに加え、オストメイト用設備を有するトイレ、乳幼児用設備を有するトイレ等の個別のニーズに対応したトイレを男女それぞれのトイレ又は男女が共用できる位置に分散配置する工夫など、「個別機能を備えたトイレ」を適切に設けて機能分散することを基本的な考え方としています。

車椅子使用者用トイレは2m四方のスペースが必要とされ、大型ベッド(ユニバーサルシート)の設置も求めています。大人も横になれる大きさで、障害者・障害児のおむつ交換などに利用されます。

オストメイト用は、1m×1.8mあるいは1.6m×1.4m程度の広さを要し、腰掛便座のほかに汚物流しが付いています。

乳幼児用設備のあるトイレは、1m×2.2mあるいは1.6m×1.4m程度の広さを要し、腰掛便座に乳幼児用の椅子、おむつ交換台、着替え台があり、ベビーカーが入らなければなりません。

さらに「建築設計標準」は、子どもが使いやすい「低リップ小便器」を設置することや、洗浄ボタンは手かざしセンサー方式だけでなく、操作しやすい押しボタン式、靴べら式などを併設すること、洗面台には、杖を使う人が倒れないように手すりを設けること、トイレの近くに介助者が待つことができるベンチなどを設けること、などを詳細に規定し、高齢者や障害者にとって使い勝手のよい、障壁のないトイレ及び建築物が目指されています。

女性トイレを増やす

トイレの男女の面積にも配慮する必要があります。

公共施設のトイレの面積は男女で同じところがほとんどで、女性トイレはすべて個室ですから数が少ない。しかも女性の個室トイレの平均利用時間は、男性の小便器を利用時間の2.5倍といわれています。公共施設などで女性トイレにだけ行列ができるのは当然です。

当町の場合は男性トイレの方が広く、各フロア男性トイレ小便器3、個室2(和・洋各1)に対し、女性トイレは個室2(和・洋各1)しかありません。

国交省は2017年に出した「女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する取りまとめ」において女性トイレの行列の原因は「利用者数に見合った個室便房数となっていない」ことを挙げ、「個室便房の数を増やすことが最も効果的」と明記しています。

この「取りまとめ」に沿った対応が必要です。女性トイレの面積を広くとり、個室の数を増やさなければなりません。

授乳室、キッズスペース、公共サインも必要不可欠ですが、2019年に2階フロアを改装して設置済みです。庁舎が狭いので精一杯工夫されたのだと思いました。

新たな「建築設計標準」に沿って整備すべきものとして、出入口のアプローチ、廊下の幅、スロープ、手すり、エレベーター、車椅子対応のカウンターなどがあり、バリアフリー化の課題は少なくありません。

(国土交通省「ハート♡のあるビルをつくろう」)

②プライバシーが守られる窓口

第2にプライバシーの守られる窓口です。仕切りのあるカウンターや個室の相談室を増やして、個人情報やプライバシーの保護に配慮しなければなりません。

この件について、大阪社会保障推進協議会事務局長の寺内順子さんが次のようにFacebookに投稿していました。

 生活困窮者支援窓口、福祉事務所、ひとり親支援窓口などさまざまな困りごとの相談窓口をオープンスペースに置かないこと。
最悪はオープンカウンターで住民がカウンターに誰がいるのかを確認できるような形です。「私は困窮しています」「私は生活保護の相談に来ています」「私はひとり親です」と、誰が知り合いに表明したいでしょうか。小規模自治体であればあるほど、知り合いが役所にいる可能性が高いのです。
 この(2023年)8月に児童扶養手当現況届の手続きをしたあるシンママさん――シングルマザーのことです――が、「今年、色んな人が通る廊下のようなところで手続きをしなければならず辛かった」とラインで書いていました。役所によると、衝立を置いていたということですが、個室とオープンスペースでの衝立の仕切りでは当事者にとって大きな違いです。

このように寺内さんは書いていますが、困った時に役場を訪れた人が辛い思い、悲しい思いにならない配慮が必要です。

③無料公衆無線LAN (Wi-fi)

第3に無線公衆LANの設置ですが、来庁者の利便性の向上及び災害時における災害情報の収集手段の確保を目的として設置する自治体が増えています。

総務省が委託した2022年度調査によると、導入率は90%でした。1,742自治体中回答したのは721団体、回答率41.4%でしたので、実際には90%ではないでしょうが、役場庁舎に公衆無線LANを設置することは当たり前になっています。

ネットで検索したところ広島県内では半数近く、23市町中11市町(広島市の市・区役所、呉市、三原市、尾道市、三次市、庄原市、東広島市、安芸太田町、北広島町、大崎上島町、神石高原町)の庁舎で公衆無線LANが利用できるようです。

福山市や海田町など、庁舎にはないが他の公共施設に無線LANを設置している自治体もあります。本題である庁舎問題から外れますが、当町でもくすのきプラザ(図書館を含む)、公民館、交流センター、児童センターへの無線LAN設置を検討すべきだと思います。

そこで伺います。

質問2. 誰もが利用しやすい庁舎にするためには、①トイレなどのバリアフリー化・ユニバーサルデザインの採用、②プライバシーが守られる窓口、③無料公衆無線LAN(Wi-fi)が必要だと考えます。

現在の庁舎のままで実現できるものもありますが、庁舎建替えにあわせて実施した方がよいものもあると思います。

これら3つの課題についてそれぞれどのようにお考えですか。

総務企画部長 まず①「バリアフリー化とユニバーサルデザイン」についてですが、議員おっしゃいますような、全フロアにおけるトイレの面積や個数の拡大、また、多機能化については、現状難しいところです。

しかし、令和2年度には、手洗い場蛇口の感知センサー改修、令和3年度には、照明の感知センサー改修、令和4年度には、全男性トイレへのサニタリーボックスの設置など、より快適な利用へ向け、可能な範囲で機能の向上を図っており、引き続き適時適切に対応したいと考えます。

続いて②「プライバシーが守られる窓口」についてですが、相談室として、1階に1室、2階に3室、4階に3室整備するとともに、部署によってはカウンターに仕切り板を設けるなど、相談者のプライバシーが守られるよう配慮しています。

個人情報に対する配意は、公務に課せられた重要な責務ですので、相談者のご反応、ご批判に応じ、可能な範囲で対応したいと考えます。

続いて③「公衆無線LAN」についてですが、「後期実施計画」においては、社会機能維持の観点からテレワークや庁舎内モバイルワークなど、公務上のデジタル化を中心に計上しており、公共施設のインターネット環境整備については、ニーズやセキュリティ面、費用面など、引き続き研究したいと考えます。

3.職員が働きやすい庁舎

二見議員 3番目に、「職員が働きやすい庁舎」について伺います。

役場庁舎は、町民のみなさんがさまざまな手続きや相談などをする場所であるとともに、町民の福祉の増進と町の健全な発展を進めるために民主的、総合的、能率的に職員が事務を執る場所=職場です。

民主的とは、町民の声をよく聞き、議会・議員と意見交換し、職員どうしでもよく話し合うことだと思います。そして総合的、能率的に事務を進めていくことが求められています。庁舎のあり方は、この事務の進め方に影響を与えます。

働きにくい職場環境は、仕事の遅れや質の低下につながり、働きやすい職場環境は仕事の能率を上げ、よりよい仕事という結果をもたらします。ですから働きやすい職場をつくることは、職員のためであるとともに町民のためにもなるわけです。

一般的に、働きやすいオフィスの条件として、①スムーズな動線が確保されている、②円滑なコミュニケーションの場がある、③精神的な余裕をもたらす距離・空間がある、④気軽に立ち話ができるスペースやメンバーが集まりやすいミーティングスペースなどが設置されている、ことなどが挙げられています。

当町の現在の庁舎について、具体的に問題点を指摘したいと思います。

①職員1人あたりの面積が少なすぎる

まず、フロアごとの職員の人数ですが、今年4月1日現在の職員配置図で数えてみましたところ、建設部と町民生活部のある1階が64人、福祉保険部と住民課、会計室のある2階が95人、財務部、総務企画部、行政委員会総合事務局がある3階が45人、税務課、債権管理課、危機管理監、情報管理課のある4階が39人、議会及び議会事務局のある5階が4人です。

庁舎には会議室など執務する部屋以外の場所もありますので単純な比較はできませんが、やはり2階が過密になっています。

町民のみなさんが手続きする際、できるだけ2階で済むようにと利便性を考えて配置換えをしたことによるものですが、背中合わせの椅子の間を通ることが難しい。通る人も、座って仕事をしている人も相当ストレスがあるのではないかと思います。先ほど紹介した働きやすいオフィスの条件の1番目は「スムーズな動線が確保されている」ことでしたが、2階はこれがないに等しいわけです。

②デジタル化への対応

次にデジタル化への対応です。現在の庁舎をつくった1984年はようやくパソコンが出始めた頃で、まだ大変高価でした。1人にパソコン1台というようなことは考えようもなかった時代です。90年代後半になり、OA(オフィス オートメーション)化が進められると床は配線だらけになり、躓きや断線・レイアウト変更時の手間など多くの問題が発生しました。

当町の庁舎も床のあちこちに配線が通り、タコ足になったコンセントは足を引っかけないようにとゴミ箱を被せるといったありさまです。

このような危険や不便さを解消するため考え出されたのがOAフロアです。床を2重にして床下に空間を設けてケーブルやコンセントなどを納めます。2007年にできた「くすのきプラザ」の中にある教育委員会は、OAフロアになっています。新築でなくてもOAフロアにすることができますが、床の厚さの分、天井が低くなり、圧迫感や窮屈さを感じるといった問題があります。

(足を引っかけないようにと、コンセントに被せられたゴミバケツ)

③会議室・打ち合わせのスペース、倉庫の不足

第3に、会議室やちょっとした打ち合わせのスペースも足りません。議会の委員会室、来客に対応するカウンターなどで代用し、打ち合わせは階段の近くや消防庁舎との渡り廊下などでしているのを見かけます。働きやすいオフィスの2番目に挙げられた「円滑なコミュニケーションの場」も極めて不十分だといるでしょう

期日前投票所や給付金の申請など臨時的な行政事務のために使えるスペースも十分ではありません。倉庫も十分ではないようで、消防庁舎との渡り廊下が常時倉庫代わりとして使われています。

④食堂、カフェ

第4に、食堂やカフェもありません。役場の近くには食堂がありませんので、スーパーやコンビニ、配達弁当などを利用している人が多いように感じられます。1時間で大型ショッピングモールまで行って食べて帰ってくる人もいると聞き、驚きました。

社員食堂には、①社員の健康を増進する、②コミュニケーションの活性化をもたらす、③社員のモチベーションがアップする、④福利厚生として会社のブランディングの1つとなる、といったメリットがあるといわれています。

リクルートの調査によりますと、社員食堂を使いたい理由、トップ3は、①安い、②外に出るのが面倒、③短時間で済む。社食を使いたくない理由のトップ3は、①おいしくない、②高い、③種類が少ない、でした。

「社員食堂に期待すること」の1位は「旬の食材や季節感のあるメニュー」(26.9%)、2位は「栄養のバランスに配慮したメニュー」(20.2%)、3位は「ビュッフェ形式の導入」(19.6%)、4位は「サラダバーの導入」(17.4%)です。食堂があればよいということではなく、こういったニーズを捉えた食堂が求められているのでしょう。

県内の市町がどうなっているのか、全部は調べがつきませんでしたが、食堂があるのは広島市役所と区役所、東広島市だけのようです。

東広島市の谷晴美市議によると「食堂の事業者が次々替わり、今の業者は有名シェフがジビエ料理を提案したり工夫しています。1階には障害者がつくったパンや弁当を販売するあおぞらカフェがあります」ということでした。

庁舎の建替えに合わせてつくられたあおぞらカフェは「東広島市内の就労を希望する障がい者が一般就労に向けて体験実習をし、接客等を通し意欲向上と積極性・社会性を身に着けることを目的とし設置されました」。焼きたてパンと挽きたてコーヒー、ゆっくりくつろげるカフェスペースが好評です。

かつてあったけれども廃止したのが、三原市、呉市、廿日市市、北広島町です。

三原市の寺田元子議員によると「三原市は新庁舎検討委員会で検討はしましたが、まわりの飲食店を圧迫することや職員アンケートでも要望が少ないことから入れませんでした。現在は弁当業者が曜日ごとに入れ替わりで庁舎内指定場所で販売しています」ということでした。

また、廿日市市の大畑美紀議員によると「7階にレストラン、1階に喫茶店がありましたが、売上不振で事業者(東洋観光)が撤退。近くにスーパー、コンビニなどができ、利用が減ったことが原因」ということでした。

県内市町の職員食堂は廃止される傾向にあり、職員食堂受難の時代のようです。新庁舎を建設する場合には職員のみなさんの希望などを調査し、食堂設置についても検討してみてください。

そこで伺います。

質問3. 当町の庁舎は狭く、デジタル化に対応できていない、会議室・打ち合わせのスペースが少ない、倉庫・書庫の不足などの問題があります。食堂、カフェなど望むべくもないという状況です。

職務の効率と職員のモチベーションを下げているのではないかと心配していますが、町としての見解をお聞かせください。

総務企画部長 40年前に今現在の行政需要や職員数を想像するのは難しかったであろうことから、執務室が手狭であるとともに、会議室や書庫等のスペースが十分でないこと、また、食堂等の厚生施設もないことは、議員ご指摘のとおりです。

しかし、職員も、物理的な問題はいかんともし難いことは承知しており、それぞれの職場で工夫を凝らし、業務に臨んでいるものと認識しています。

一例として、従前から、管理職員の業績評価に係る業績目標の1つに、「執務環境の改善」を掲げることを義務化しており、それぞれの職場においてできうる、自主的な環境改善に取組みんでいます。

また、産業医や職員団体を構成員とした、「安全衛生委員会」における職場巡視も、定期的に実施しており、当該委員会から指摘を受けた項目・箇所については、可能な範囲で改善策を講じ、環境改善に努めています。

さらに今年度から、「文書管理・電子決裁システム」を導入しており、紙媒体の書類は次第に減少していくことから、環境改善の一端に資するものと考えます。

4.環境にやさしい庁舎

①省エネ化・ZEB化

二見議員 第4に環境への配慮のある、環境にやさしい庁舎です。温室効果ガスの削減、「脱炭素社会の実現」に向けた取組みは待ったなしです。役場は環境に最大限配慮し、地球温暖化対策を牽引しなければなりません。

当町は今年3月「2050年までの温室効果ガス排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティの実現を目指すことを宣言しました。

先月には2030年度までの当町の事務事業に係る地球温暖化対策について定めた「府中町第4次地球温暖化対策実行計画【事務事業編】」(以下「実行計画」を策定しています。公共施設の省エネルギー性能の向上策として照明のLED化、建築物の省エネ化・ZEB(ゼブ)化が、再生可能エネルギー導入策として太陽光発電が、基本方針に掲げられています。

ZEBとは、Net Zero Energy Buildingの略称です。ビルとして消費するエネルギーを減らす「省エネ」と、太陽光発電などによってエネルギーをつくる「創エネ」で、エネルギー消費量を正味(Net)ゼロにすることが目指されています。「省エネ」技術は、エネルギーを無駄なく効率的に使うアクティブ技術と必要なエネルギーを減らすパッシブ技術に分けることができます。

ZEBを実現する場合には、①パッシブ(passive)技術によってエネルギーの需要を減らし、②どうしても必要となる需要についてはアクティブ(active)技術によってエネルギーを無駄なく使用し、③そのエネルギーを創エネ技術によって賄うといったステップで検討することが重要だとされます。

パッシブ技術としては、高性能断熱材の使用、断熱性能の高いガラス窓、庇やブラインド、ルーバーなどで日射を遮ったり調整すること、自然採光などが挙げられています。アクティブ技術としては高効率空調、LED照明などが挙げられています。

(「ZEBを実現するための技術」環境省ホームページ

②環境配慮型庁舎

参照した自治体の「新庁舎建設基本構想(計画)」のなかには、環境配慮型庁舎(グリーン庁舎)の実現を目指すと書かれているものもあります。

1998年に国土交通省が、環境保全の模範となる官庁施設の計画・設計の指針として「環境配慮型官庁施設計画指針(以下、「計画指針」)を制定し、庁舎の環境負荷の低減を目指してきました。「計画指針」は、官庁施設の新築及び改修時に実施する環境対策として、①環境負荷低減に配慮した官庁施設の整備、②再生可能エネルギーの導入・利活用拡大、③木材利用の推進、④雨水利用の推進、などを掲げています。ZEBと重複する内容を含んでいます。

現在の庁舎は執務スペースが南東側と北西側に分かれており、南東側は夏は暑く、北西側は冬は寒い、北西側は西日がきつい、1階は年中を通じて暗く、「地下ではないか」といった声さえ聞こえます。省エネ化・ZEB(ゼブ)化技術によって環境配慮型庁舎にすれば、これらの問題を解決することができます。

③木材の利用促進

2010年「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定され、2021年に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」となりました。
法の対象が公共建築物から建築物一般に拡大しましたが、第5条で、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、……整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならない」とあるとおり、公共建築物における木材利用の重要性が下がったわけではありません。

当町も2013年「府中町公共建築物等木材利用促進方針」を策定し、公共建築物の木造化と内装の木質化を促進することを掲げています。

現状では、町の木造の公共建築物はゼロです。「促進方針」以後建てられた公共建築物の「内装の木質化」も進んでいるとはいい難い現状です。

木造庁舎のほとんどは1階建てないし2階建てですが、山口県長門市の本庁舎は木造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた5階建て耐火木造庁舎です。木造庁舎も不可能ではありません。

愛媛県西予(せいよ)市の庁舎は鉄筋コンクリート造と鉄骨造による6階建てで、内装にふんだんに木を使っており、「木の庁舎」と呼ばれています。構造は鉄筋コンクリートであっても、木をふんだんに使うことはできるということです。

当町の策定した「地球温暖化対策実行計画」において照明のLED化、建築物の省エネ化・ZEB化、太陽光発電の導入がうたわれています。「府中町公共建築物等木材利用促進方針」には、公共建築物の木造化や内装等の木質化が目指されています。

そこで伺います。

質問4.温室効果ガスの削減、「脱炭素社会の実現」に向けた取組みは待ったなしです。庁舎の省エネ化・ZEB化や内装の木質化をどのように進めていくお考えでしょうか。

総務企画部長 町は、今年3月、「ゼロカーボンシティ宣言」を行うとともに、10月には、町の事務事業に係る地球温暖化対策を進めるため、「第4次地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」を策定しました。

当該計画において、「公共施設照明のLED化」を掲げており、令和12年度までのLED化率100%を成果指標としていますので、役場庁舎も検討を行います。

また、「建築物の省エネ化・ZEB化」を掲げており、公共施設の新築や建替え時は、用途・規模などに応じた省エネルギー対策を徹底し、最大限ZEB化を目指すこととしていますので、仮に役場庁舎について検討する場合は、木質化も含め、当該計画に沿って取組みむことになろうと考えます。

議員お示しの4つの視点は賛同いたしますが、役場庁舎に関し今後検討する際には、新たな行政需要も生じているものと思われますので、時代の趨勢を見極めながら、対応してまいります。


(愛媛県西予市「木の庁舎」 東畑建築事務所ホームページより)

5.新しき酒は新しき皮袋に

①10年はかかる

二見議員 答弁を伺いまして、制約があるなかを努力と工夫でなんとか凌いでいる、頑張っていることがよく分かりました。

今回の質問は、庁舎にはどういう機能が必要なのかという点に絞りましたが、検討すべき重要事項はまだあります。

1つは事業費と財源の問題であり、もう1つは建設用地をどこにするのかという問題です。これらについても簡単に答を出すことはできないでしょう。本庁舎に隣接する消防署・消防本部(1975年建築)の建替えをどうするのかという課題もあります。

検討開始から基本計画の策定、さらなる具体的な計画、庁舎建設、そして利用開始まで長い期間が必要です。参照した自治体の例を見ますと、基本計画から新庁舎利用開始まで5年から8年程度を見込んでいます。基本計画制定までの期間もありますから、検討開始から利用開始まで10年は必要です。

海田町は、庁舎建替え準備会を設置したのが1998年で、そこから20年近くかかって2017年に「基本構想」「基本計画」ができた。そして完成が今年(2023年)です。検討開始から四半世紀かかっているわけです。

当町も、いますぐ検討を始めたとしても新庁舎ができ、利用できるようになるのは2030年代になるでしょう。できるだけ早く検討を始めるべきです。
 

②新しき酒は新しき皮袋に

1回目の質問で述べましたように、2020年代という今日の地点にたって庁舎のあり方を考えた場合、①災害に強く、防災拠点となる庁舎、②誰もが利用しやすい庁舎、③職員が働きやすい庁舎、④環境にやさしい庁舎の4つの条件をクリアする必要があります。

公衆無線LANのように現在の庁舎のまま、できることもあるでしょう。しかし、狭さはなんともし難い。他の課題も今の庁舎のまま改良を加えるより、建替えとあわせて整備する方がより充実した機能を持つことができると思います。

ですから長寿命化ではなく庁舎建替えについて検討を開始すべきです。「新しき酒は新しき皮袋に盛れ」ということわざがあります。「新約聖書(マタイによる福音書9章17節)」にある言葉で、こう書かれています。

誰も、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。

もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちするであろう。

以上で終わります。

 

 

 

 

 

 

 

ふたみ伸吾 ほっとらいん

ふたみ伸吾にメッセージを送る

生活相談、町政への要望、ふたみ伸吾への激励など、メッセージをこころよりお待ちしています。

     

    関連記事

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください