令和4(2022)年度決算についての意見表明

2023/09/20

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第41号議案「令和4(2022)年度府中町歳入歳出決算の認定について」に賛成の立場から討論いたします。

2022年度の一般会計決算額は歳入191億1,247万円、歳出187億4,822万円で、形式収支が約4億円の黒字、翌年度へ繰り越す分を差し引いた実質収支が約3億5千万円の黒字となりました。

経常収支比率は高いものの、財政力指数、実質公債費比率、将来負担率をみますと堅実な財政運営がなされていると評価できます。

1.歳入

住民に寄り添った徴税が不納欠損を減らす

まず、歳入の収納状況ですが、一般会計の町税収納率(現年課税分)は99.6%で、引き続き高い水準です。税務課および債権管理課が減免制度の活用や軽減措置などの手続きを積極的に紹介し、差押えはできるだけ避け、自主納付してもらうように努めてきた成果だといえます。

その努力は、不納欠損の減少にも繋がりました。

一般会計の不納欠損は、今年度(2022)643万円です。

過去の不納欠損を調べてみますと、2014年度3,249万円、2015年度1,785万円、2016年度1,768万円、2017年度2,358万円、2018年度1,532万円、2019年度1,199万円、2020年度1,248万円、2021年度1,019万円でした。

かつて3千万円台もあった不納欠損を着実に減らし続けて、今年度は3ケタになりました。特別会計や下水道事業会計の不納欠損も減っています。厳しい取り立てという「北風」でなく、住民に寄り添った徴税という「太陽」の力で高い収納率を達成し、不納欠損も減らしていることを高く評価したいと思います。

黒字だが不安定

一般会計決算は、前年度比で町税が2億9千万円増の74億8千万円、普通交付税が3億7千万円増の20億円、国庫支出金が11億円減の43億7千万円、町債が20億円減の12億円となりました。歳入総額は217億円から26億円減って191億円です。

歳入が大幅に減ったように見えますが、国庫支出金11億円と府中公民館等改築事業債10億円が減ったことによるもので、実質的には昨年度とさほど変わりありません。

実質収支は、2020年度、3億858万円、2021年度2億9,398万円に続き今年度(2022)は3億5,067万円の黒字となりました。

この3年は好調だと言っていいでしょう。しかし、2017年度4億8千万円、2018年度1億5千万円、2019年度8千万円、財政調整積立基金を取り崩しています。

2017年度の監査委員による「決算の概要及び審査意見(総括)」は、法人町民税が約12億5千万円(67.1%)減少していることをあげ、「自動車関連企業を中心とする製造業の動向が法人町民税の税収に大きく影響し、当町の特徴を顕著に現す」と指摘しています。2017年度は、財源不足を財政調整積立基金の取り崩しと減収補填債4億円で手当しましたが、それがなければ赤字だったわけです。

このように当町の財政は変動が激しく、その点が今後も心配です。

2.歳出の評価と要望

つぎに歳出です。2018年度、2019年度に170億円台だった歳出は、2020年度224億円、2021年度214億円と増え、今年度(2022)は187億円と減っています。歳出も大幅に減ったように見えますが、国の新型コロナ感染症に対する施策(約18億円・全額国費)が減ったことによるものです。コロナ関連の支出を除けば、ここ5年間の歳出はさほど変化がないと言えます。

 具体的な個々の事業について10点ほど指摘します。

総務企画部

①行政のデジタル化

1番目に「総合行政情報システム構築事業」ですが、紙のデータをデジタルデータへと変換するAI-OCRが4課4業務、定型業務をパソコンやサーバ上にあるソフトウェア型のロボットが代行・業務自動化するRPA(Robotic Process Automation)が5課6業務、AI議事録が9課14業務に導入されました。

導入したばかりであり、使いこなすのにはまだ時間が必要なようです。OCRは私も使っていますが、思わぬ誤変換があり、点検作業に時間がかかると思います。AI議事録に使われる音声変換ソフトも以前よりは精度が上がっていますが、会議は原稿を読むわけではありませんので、不明瞭な発言であったり、早口だったりすると正確に文字変換できないことも多いようです。

操作に慣れ、機械の精度も上がれば、業務量の削減に繋がると思います。短期間での成果を求めるのではなく、中長期的な観点に立ってじっくり進めていただきたいと思います。

行政のデジタル化を進めていく上で最も効果的なのは、職員の皆さんが使っているパソコン・端末を新しくすることです。いま使っているパソコンは立ち上がりが遅く、反応も鈍い。これでは業務に支障を来しているのではないか、職員全体では相当な時間のロスを生んでいるのではないか。そう危惧していたのですが、2023年度末には新しい端末に買い換えると聞きました。

パソコンは、ハードの性能が上がると、ソフトが高機能で重たいものにバージョンアップする。そうするとまた新しいハードを購入しなければならなくなるというイタチごっこ。機械としては動いても作業能率が落ちるので、短い期間で買い換えざるをえない状況が続いています。

パソコン・端末の買い換えはお金もかかりますが、作業能率が落ちる前に買い換えるようにしていただきたいと思います。

教育委員会

②学校給食に対する助成

2番目に「学校給食費補助事業」です。現在、保護者が負担する給食の食材費は1食あたり小学校280円、中学校310円ですが、2022年度はコロナ交付金を使って、それぞれ、15円、16円を補助し、保護者の負担が増えないようにしました。大変よい措置だったと思います。

2023年度は、補助額を、1食当たり小学校20円、中学校22円に増やしました。食材費の高騰は今後も続くと言われており、今回のような補助がなければ、保護者負担が増えることになります。

全国的な物価高騰ですので、国が対策を立て国庫補助すべきです。

しかし、そうならない場合には、町民の暮らしを守る砦(とりで)として、引き続き助成することを要望します。

③専門職を正規に 図書館司書・学芸員

3番目に、図書館司書の正規化と学芸員の正規採用です。

図書館司書

当町の図書館司書の有資格者は、町立図書館に3人、小学校に2人、中学校に1人の計7人ですが、いずれも非正規=会計年度任用職員です。

全国的に、専門性の高い図書館司書がなぜ非正規なのか大きな問題になっています。全国の図書館司書は、1987年には正規が9割で非正規が1割でした。現在では正規が2割で非正規が8割となり、当町は100%非正規です。

日本図書館協会(JLA)は、今年(2023)5月31日、「非正規職員の待遇改善を求める要望書」を全国の自治体に送付しました。要望書は「図書館職員の専門性の観点からの賃金や労働条件の改善」や、「会計年度任用職員の雇用更新時には職員の培ってきた知識や経験にもとづいた公募によらない任用」などを求めています。

図書館司書の仕事というと貸し出し業務を思い浮かべるかもしれませんが、それは司書の仕事の一部でしかありません。本を選ぶ、買う、分類・整理する、利用者の質問に答える「レファレンス(reference)」など、仕事内容は多岐にわたります。

レファレンスとは、「参考」「参照」という意味ですが、図書館職員が、利用者の疑問や相談を解決するため、参考となる資料を探しだし案内するサービスです。図書館司書の調べる力のすごさは、しばしばテレビやネットなどで話題になっています。出版社やタイトルも分からない本を僅かな情報で探す。『ゴリラ爺さん』(ゴリオ爺さん)、カフカの『変態』(変身)、『とんでもなくクリスタル』(なんとなくクリスタル)、など覚え違いのタイトルから、探している本を見つけ出しています。

国立国会図書館が全国の図書館と協同で構築している「レファレンス協同データベース」というホームページがあります。全国857の図書館に寄せられた質問と回答が掲載されていますが、これが面白い。

 ・ 「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」という歌は太田道灌が詠んだものですか。
 ・広島が原爆にあったとき岡山県はどんな救護をしたのか。
・広島に原爆を投下したB29はなぜ「エノラ・ゲイ」と呼ばれるのか。
・西国街道の起点と終点を現在の地名で知りたい。

多種多様な質問に対して、文献を探して答える。ネット上には不確かで怪しげな情報も多いのですが、図書館のレファレンスは複数の文献を参照し、裏づけのある回答をしています。このように私たちが何かを調べようとするとき、図書館司書は強い味方なのです。

学校教育の中でも「調べる力」「調べ学習」が強調されています。

もちろん、社会教育にとっても重要です。文科省生涯学習審議会の公立図書館についての報告は、「図書館は、生涯学習の振興を図る上で、住民の身近にあって学習活動を支援する極めて重要な社会教育施設」だと位置づけ、豊かな図書館サービスを実現するためには、専門的職員の適切な配置や施設設備の充実が必要」だと述べています。

やはり図書館司書は正規(常勤職)で処遇し、もっともっと活躍してもらうべきではないでしょうか。

正規の学芸員配置を

 学芸員ですが、昨年(2022)の6月議会で「持続可能な歴史民俗資料館のあり方」について質問し、学芸員を正規(常勤職)で採用することを求めました。

博物館法第4条は、「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる」と規定し、「博物館に、専門的職員として学芸員を置く」と定めています。

当町の歴史民俗資料館は博物館法の定める博物館ではありませんが、「つくったらそれでおしまい」という資料館にしないためには、学芸員の配置がどうしても必要です。

私の質問に対しての答弁も「下岡田官衙遺跡は、埋蔵文化財として国史跡指定を受けており、埋蔵文化財の保存活用や歴史民俗資料館の展示物の管理などの業務を行うためには、埋蔵文化財業務に精通した職員の配属が必要」「学芸員の配置については必要であると認識」しているというものでした。

ではなぜ学芸員を採用しないのか。理由として、専門職としてのキャリア形成が難しいということが言われています。

一般の職員は3年から5年という短期間で様々な部門に異動し、キャリア形成していく。全般に通暁するゼネラリストとして育成されるわけです。しかし、学芸員を採用した場合、 学芸員が必要な職場は当町には教育委員会にしかなく、専門と全く違った仕事をさせるわけにもいかず、キャリア形成ができないというものです。

そもそも、町の仕事は実に多種多様な、専門性の高い業務の集まりです。

ですから、キャリア形成のあり方も、職場横断的なゼネラリスト形成に拘らず、各部門に精通したスペシャリストを養成した方がよいのではないかと常々考えています。

とりわけ、学芸員というような職種に就く人は、例えば古代史が専門なら、古代史を一生研究したいわけです。他の仕事はしたくない。ゼネラリスト養成型のキャリア形成はノー・サンキューなのです。専門職としてのキャリア形成は、人事交流や他の博物館での研修などで補うことは可能だと思います。

図書館司書の正規職員化と学芸員の正規採用をぜひ検討していただきたい。

福祉保健部

④重層的支援体制整備事業

4番目に、「重層的支援体制準備事業」です。厚労省のホームページによりますと、「重層的支援体制」は全ての人を対象とし、「人びとの生活そのものや生活を送る中で直面する困難・生きづらさの多様性・複雑性に」着目して、「どのような困難や生きづらさでも支援」できるようにするというものです。

現在は、①介護、②障害、③子育て、④生活困窮、⑤自殺対策・精神保健について、それぞれ相談体制があり、必要な連携も行っています。

これを「包括的相談支援事業」として、より緊密に連携し、抱えている困難が複合化、複雑化している場合は「多機関協働事業」によって総合的な支援の計画をつくり、実行していくことになります。

①包括的相談支援事業、②多機関協働事業、③継続的支援事業、④参加支援事業、⑤地域づくり事業という5つの事業が相互に重なり合いながら、町全体の体制として本人に寄り添い、伴走する支援体制を構築していく。

この大がかりな構想を実現するには全体をコーディネートできる職員配置が必要です。この点を十分考慮に入れて、計画通り2025年度中の整備ができるように頑張っていただきたいと思います。

⑤子どもの医療費助成の拡充

5番目に、子どもの医療費助成の拡充ですが、7年前の議員当選以後、予算・決算の審議や一般質問で、「入院だけでなく通院も中学校卒業まで助成すべきだ」と発言してきました。2024年1月から通院も中学校卒業まで助成することが決まり、大変よかったと思います。

次は、所得制限と一部負担金をなくすようにしていただきたい。

昨年度の決算討論で紹介しましたが所得制限は大変不評です。税金を多く払っているのに給付がないのでは、税金を払う意味がない。

社会保障は、所得に応じて課税し、公平・無差別平等に給付することが原則です。岡山県で所得制限のある市町村は一つもありません。一部負担金があるのは岡山市と赤磐市だけですが、赤磐市は医療費助成が18歳までとなっていて中学生は一部負担金がありません。

ちなみに、岡山県の通院の助成状況ですが、27市町村のなかで、岡山市が小6まで、倉敷市、津山市、玉野市、笠岡市、総社市が中3まで、あとの21市町村は18歳まで医療費を助成しています。

広島県と岡山県の助成状況は隣の県とは思えないほど差がついていますが、広島県は一貫して子どもの医療費助成に否定的です。

中学校卒業までの通院医療費の助成がこれから始まろうというときに、すぐさま18歳までにしろとは言いません。その前に所得制限と一部負担金をなくし、町内に住むすべての乳幼児、児童生徒の保護者がお金の心配なく、子どもに医療を受けさせられるようにすべきです。

⑥予防的支援構築事業

6番目に、子どもの育ちに関係するさまざまな情報をもとにAI(人工知能)を活用してリスクを予測しようとする「予防的支援構築事業」についてです。

三重県の児童相談所がAIによる虐待の判断によって一時保護が見送られ、4歳の娘が母親に殺されてしまうという痛ましい事件が起きました。

当町もAIによるリスク予測の試行的運用、検証を進めていますが、当町の場合は、仮に5人のチームでリスク予測に取り組んでいるとすると、6人目のメンバーとしてのAIの判断を参考にするという立場で臨んでいると伺いました。決してAIの判断を鵜呑みにしない。これは大切なことだと思います。

三重県の場合は「保護率39%、再発率13%」という数字が「頬や耳にあざがある」という事実より重視され、保護を見送る根拠となりました。その三重県もAIによる判定は「あくまで参考値で、判断は人間がしている」と取材に答えています。

地元紙「伊勢新聞」は次のように児童相談所の対応を伝えています。

今回の事案で県がAIを使ったのは「三女の両頬と両耳にあざがある」との通告を受けた昨年2月。児童相談所の職員がシステムに情報を入力したところ、AIは(解決までの)所要期間を「半年から一年以内」と試算した。
ただ、実際の対応には一年以上を要した。三女が死亡したのは通告から1年3カ月以上が過ぎた今年5月26日。この間、県は三女を一時保護せずに見守りで対応すると決めたが、母子に会っていなかった。

遅くても1年以内に解決する必要があるとAIは判定したわけです。しかし、母子に会うことすらなく1年3か月が経って、子どもは母親に殺されてしまった。

なぜ、児相の職員は会わなかったのか。原因として考えられるのは人手不足です。忙しく、「保護率39%、再発率13%」という数字から後回しになったのではないか。

全国の児童相談所が対応する児童虐待は年々増え、令和2(2020)年度には20万件を超えました。政府は児童福祉司や児童心理司を増やしていますが虐待の急増に追いついていません。

そういうなかで、児童相談所職員の負担軽減、経験の浅い職員へのサポートとしてAIの活用が打ち出されているわけです。

三重県の事件の場合、「保護率39%、再発率13%」という数値は尊重され、1年以内に対処し解決しなければならないという判断は、結果的に無視されてしまった。

一時保護がなくても、1年以内に何らかの対応があれば、子どもは死なずに済んだかもしれないのです。

AIは、リスク予測をすることはできても、その後の対応はできません。AIが活用できるようになるためにも、人員体制の強化が必要なのだということを三重県の事件は教えていると思います。

⑦不妊治療費助成

7番目に不妊治療に対する助成です。国の制度が変わり、令和4(2022)年4月から、体外受精や顕微授精などの特定不妊治療が保険適用されるようになりました。

適用前は人工授精で1~3万円、体外受精で20~70万円の窓口負担がありました。それが他の診療と同じ3割負担になりました。高額療養費制度も使えますので、経済的な負担は大幅に軽減されることになったわけです。

当町では、2016年度から特定不妊治療に要する費用を助成してきましたが、2022年の保険適用に伴い、広島県の実施する助成に加え、①不妊検査・一般不妊治療費に対しては引き続き助成し、②保険適用となった特定不妊治療については助成をやめ、③保険適用の対象外である「先進治療」および「審議中の技術」による治療について、町独自で新たに助成することになりました。

不妊治療は、治療や通院にかかる身体の負担と精神的な負担が伴います。たくさんの検査があり、1か月に3~4回の受診が必要です。ホルモン検査のための採血や卵管造影検査など痛みをともなる検査や処置があります。排卵誘発剤やホルモン剤による副作用もある。

精神的には、①生理のたびに不合格判定を下されている気持ちになる、②妊娠するかどうか分からない治療にお金や時間をかけているのではという不安、③ホルモンの影響で落ち込みやすい、④治療が長期化して来ると抑うつになりやすい、⑤「不妊治療をしている」と職場で明かすことができず、仕事の調整が困難、といった負担があります。

当町の支援制度はこういった身体的・精神的負担を抱える方に、経済的な負担を少しでも軽くしようというものです。

不妊治療をしてもお子さんに恵まれない場合もあります。不妊治療による助成で「子どもが何人生まれたのか」を詮索することは、妊娠されなかった方を深く傷つける行為で、厳に慎まなければなりません。

なお、今年度(2022)ではありませんが、2023年度より、妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」に対しても検査と治療にかかる費用を一人あたり年間30万円まで助成する事業を当町は開始しました。子どもを持ちたいと思う女性とパートナーに対する支援として不妊治療費助成とあわせ、評価したいと思います。

⑧若者応援金

8番目に「若者応援金事業」です。

2020年度の「学びの継続支援給付金」を拡充させた「若者応援金」が2021年12月議会で予算化されました。学生だけでなく、雇用、収入、生活、精神面などで新型コロナの影響を受けている19歳、20歳の若者に対して1人3万円を支給するものです。支給件数は970件で、「学びの継続支援給付金」の20倍近く増えました。

私は、この事業を昨年度(2021)決算に対する討論で高く評価しましたが、残念ながら2021年度限りとなってしまいました。新型コロナによる生活への影響は、若者たちにも引き続きあるわけですから、「若者応援」の施策を検討していただきたい。

生活環境部

⑨府中の森づくり事業

9番目に「府中の森づくり事業」です。

豪雨災害に対する有効な手立ては、森林整備です。昔から「治水は治山にあり」「川を治める根本は上流の森林造成にあり」と言われています。

西日本豪雨災害後の一般質問で、私は次のように述べました。

「2007年度から町は『府中の森づくり事業』に取り組んできました。2008年度から2017年度までの10年間で約22haが除伐、間伐されました。整備が必要な町有林(人工林)は87haですので、進捗率は25%にすぎません。このテンポでは、あと40年以上かかってようやく一巡することになります」。

災害後はやむを得ないことですが復旧が優先され、2021年度にようやく1.3ha間伐されました。このままでは、整備が進まないうちに再び災害が起きかねません。森林整備のテンポを上げていくことが必要です。

このたび、「森林整備計画」が策定され、令和5年度より3カ年で約50haを整備すると伺い、ほっとしています。

町有林面積225haのおよそ4分の1にあたり、このテンポで進めば、十数年で町有林の整備が終わります。3カ年計画で整備する町有林は、崩落しやすい箇所を含むエリアを優先したと聞きました。豪雨災害に強い府中町に大きく前進すると思います。3カ年で着実に整備が進むことを期待するとともに、その後もテンポが落ちたり、「3年で終わり」ということがないようにしていただきたい。

消防本部

⑩救急救命士の養成

最後、10番目ですが、救急救命士の養成についてです。

救急救命士は、急病やけが人が発生した場所から医療機関に搬送するまでの間に、傷病者を観察し必要な処置を施す病院前救護(pre-hospital care)を担う医療国家資格で、1991年に制度化されました。

救急救命士が行う救急救命処置は、気管挿管や静脈路確保(点滴)、薬剤(アドレナリンやブドウ糖)の投与、分娩介助、バイタルサイン測定、心肺蘇生などで、緊急時に必要な処置を専門的に行います。

『令和2年版消防白書』には、「消防庁では、救急業務の高度化に伴い、全ての救急隊に救急救命士が少なくとも1人配置される体制を目標に、救急救命士の養成と運用体制の整備を推進している」とあります。

この間、当町では毎年1人救急救命士が養成され、現在、救急車に乗る救急隊3人のうち救急救命士が1人ないし2人の体制だと伺いました。

人の命にかかわる緊張感のある場面で仕事をする救急救命士には、強い精神力、冷静な判断力、医療に関する専門知識や技術、高いコミュニケーション能力が必要だと言われています。

救急救命士一人ひとりがそういう能力を高めていくとともに、救急車に乗る救急隊全員(3人)が救急救命士となり、チームワークで救急業務に当たることは町民の命を守る上で大切なことです。今後も計画的に養成し、救急救命士3人体制が早く実現するよう努力していただきたいと思います。

以上の点に留意し、今後の予算編成や行財政執行に生かしていただくことを要望し、賛成討論といたします。

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