●研究者をこころざす 法政大学(1)

「生徒会長は現役合格できず浪人になる」。それが我が校の言い伝えでした。これを覆してやろう。苦手な英語を克服するため1時間以上かけて横浜の予備校に週1回でしたが通いました。体育祭と文化祭が隔年なのですが、3年の時は体育祭。生徒会長として全力で取り組み、体育祭が終わると、すぐさま受験体制へ。3ヶ月間は猛勉強してなんとか第一志望の法政大学経済学部に入学しました。法政大学は、久留間鮫造をはじめ宇佐美誠次朗、上杉捨彦、土屋保男、大谷禎之介といった素晴らしいマルクス主義経済学者がいたからです。

たくさんの本から影響を受けましたが、中村政則先生の『労働者と農民』(小学館)と芝田進午先生の『人間性と人格の理論』(青木書店)、この2冊との出会いはわたしの人生を大きく変えるものでした。二冊とも大学の先輩から読むことを勧められたものです。

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『労働者と農民』は明治から大正にかけての民衆の歴史です。資本主義と地主制によって苦しめられている労働者と農民がどのようにして、たたかうようになっていくのか。史実に即して具体的に分かりました。「自分もこういう仕事がしたい」。それまで、中学か高校の社会科教師になって生徒会顧問をするというのが夢でした。しかし、このような本が書ける研究者になりたいと考えるようになったのです。

『人間性と人格の理論』はマルクスの『資本論』を下敷きにしながら、資本主義社会のもとで人間性と人格がいかに歪められるのか、そしてそれを乗り越えて、人間性と人格を高め、社会を変革する道筋をあきらかにした著作です。

イタリアの革命家、グラムシの文献について芝田先生に手紙を書いて質問しました。しばらくして、ていねいな返事が来たのです。手紙とともに芝田先生が新聞や雑誌に書かれたもののコピーがどっさり同封されていました。そして、広島大学で教えているが、週末は東京にいるので連絡のうえ遊びにいらっしゃいとまで書いてある。名も知らぬ一学生にここまでしてくれるのかと感激しましたね。送られたコピーも繰り返し読みました。

そして、新宿戸山のお宅にも伺い、先生の主宰する「日曜セミナー」や水道橋の労音会館での「社会科学研究セミナー」に顔をだすようになったのです。

Shin-Go物語(4) 学園民主化をめざして 法政大学その2