平成30(2018)年度一般会計予算に反対
もくじ
第5号議案「平成30年度府中町一般会計予算」に反対の立場から討論をおこないます。
▼評価する事業
今回、新規事業として評価したいのは、新生児聴覚検査の費用助成、「ネウボラふちゅう」として産前産後ケアや相談支援を拡充すること、病児・病後児事業における送迎サービス、救急車3台に病院と繋がる画像伝送装置を配備すること、府中南小学校区放課後児童クラブ(留守家庭子ども会)の新たな施設建設などです。
新規ではありませんが、中学校にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを引き続き配置すること、おたふくかぜや成人風しんの予防接種対象者への助成・啓発、小学校教育支援事業の一環として、夏休み中、教育支援員を図書館に配置して児童の主体的に学ぶ姿勢を引き出し、学習習慣の定着をめざすことなども評価したいと思います。
▼日本経済は緩やかな回復基調にあるのか
政府は月例経済報告で2012年12月から昨年末まで実に61か月、日本経済は「緩やかな回復基調が続いている」と判断し、今年1月には「緩やかに回復している」と上方修正しました。5年にわたる回復基調が続いて、いよいよ今年「緩やかに回復」したというのです。
「緩やかな回復基調」と「緩やかな回復」がどう違うかよく分かりませんが、庶民の暮らしは少しも良くなっていないことは日々実感していることで、そのことは政府統計からも読み取れます。
まず国内総生産(GDP)ですが、昨年10~12月期の国民所得統計によりますとGDPは8四半期連続のプラスではあるものの、その伸びはわずかで10~12月期の伸びが1年間続いても経済成長は0.5%にしかなりません。個人消費は0.5%の増となりましたが、依然低い伸び率です。民間住宅は前期比2.7%の減と2期連続のマイナス、公共事業など公的固定資本形成も0.5%の減となり、大企業の大もうけを背景にした民間企業設備は0.7%増、財貨やサービスの輸出は2.4%の増となりましたが、輸入も増えたため外需全体ではマイナスです。
実質賃金はどうでしょう。厚生労働省の毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上)では、昨年12月の実質賃金が1年前に比べ0・5%減少、年間を通してみても前年に比べ0・2%減少と、2年ぶりにマイナスになりました。実質賃金は2012年末に安倍政権が復活して以来、16年を除いてマイナスが続いています。
家計の消費はどうか。総務省が発表した昨年12月の家計調査報告(2人以上の世帯、年間はまだ発表されていない)によっても、消費支出は3カ月ぶりに実質0・1%の減少です。
消費支出全体に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28.0%と3割近くになっています。「エンゲル係数」は近年上昇が続いており、多くの世帯にとって食べること自体が精いっぱいになっています。所得が伸び悩み、生活が苦しくなっている証拠です。
このように政府統計をみても、「経済全体は引き続き緩やかな回復基調」などといえない状況です。
▼町民の暮らしを守る防波堤の役割を
このような大変な状況のなかで、町は町民の暮らしを守る防波堤としての役割を今こそ果たすべきときです。
平成30年度一般会計予算とともに、県単位化にともなう制度変更による国民健康保険の負担増、介護保険料の値上げ、職員の退職手当の引き下げという議案がだされています。そのいずれも町独自のものではありませんが、この3つの議案にいまの日本の政治のあり方が象徴的にあらわれています。社会保障は負担増が押し付けられ、所得は引き下げられる。入るものは減らされ、出るものは増えていく。
こういう暮らしに打撃を与える施策が国や県から押しつけられてくるなかで、暮らしを守る防波堤として町の施策が重要です。そういう政策がないとはいいませんが、極めて弱い。とりわけ、高齢者、子どもとその親を経済的に支える援助策がみあたりません。
▼向洋駅周辺区画整理事業
向洋駅周辺区画整理事業については、昨年、「事業そのもに反対ではありませんが、危惧を表明しておきたい」と発言し、「早期の事業完了に向けて有効な手だてをとることを望みます」と要望いたしました。
先日、進捗状況について事務所長に伺いましたところ、平成30年度末の整備予定で画地面積ベースで54%、線路部分も含めると75%以上進んでいることになるとのことでした。移転補償ベースで73%、事業費ベースで68%。事業費は177億円という総予算を大きく変更することがなく完了できる見通しだそうです。
「広島市東部地区連続立体交差事業」(JR高架化事業)と当町の区画整理事業は密接不可分の関係にあります。2月7日、広島県と広島市、海田町と当町は市が先月提案した高架区間を延ばして新たに2カ所の踏切をなくすという修正案に合意しました。しかし、安芸区船越地区住民との合意はまだできておらず、確実にスタートがきれるかどうか不確定な部分があります。
そうではあっても、これから3年間、区画整理事業を高架化事業とかかわりなく進捗させることができると所長に伺いました。
2002年に下りた高架化事業の認可はすでに切れ、新たに申請しなければなりません。そして、認可が下り着工できるまで3年程度かかると言われています。事業主体は広島市と広島県ですので、町としてはなかなか難しい面があると思いますが、区画整理事業のすみやかな終結に向けて、引き続き努力をお願いしたいと思います。
最後に、町民の暮らしに心をよせ、さらに町民の暮らし守るための予算にすべきであることを訴え、反対討論といたします。
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