府中町財政は豊かなのか?

よく他市町の議員などから「府中町はマツダ(の本社)があって財政が豊かでしょう」と言われます。

グラフをご覧下さい。


まず第一に言えるのは、企業(法人)の払う町民税よりも町民のみなさん(個人)の払う町民税の方がはるかに多いということです。

2009年~14年はおよそ6倍から9倍です。

この10年間では2016年が一番、法人町民税が多かったのですが、それでも個人町民税の方が1.7倍です。

第二に、マツダからの法人町民税はどのくらいなのか?

個別企業の税額は分かりません。しかし、2009年~14年、そして17年がマツダを除く税収と推定され、だいたい4億円から6億円といったところです。

どーんと増えているときがマツダからの税収があった年です。この10年間では、2008年、2015年、2016年がそれです。

マツダからの税収は、時々入るのです。

2008年が約7億円、2015年が約6億円、2016年が約13億円(いずれも推定)。もちろん、時々であっても、これだけの税収が入るのですから、それ自体は歓迎すべきことでしょう。

第三に、財政運営の難しさがあります。

毎年決まった額があれば、それをあてにしてさまざまなことに使えます。

しかし、ある年度に13億円入っても翌年はゼロということになる場合がある(2017年)。

地方交付税は標準財政規模に基づき、前年度の税収が多ければ減額されます。2016年の普通交付税は6億6千万円でしたが17年は3億3千万円へと減っています。

税収も減り、交付金も減らされる。その分を財政調整基金(貯金)の取崩しと減収補填債(*)という借金で穴埋めしなければならないのです。

使い方も難しい。初当選間もない頃、「マツダからの税収を使って国保、1世帯当たり1万円(町全体で7000万円)軽減すべし」と主張しましたが、「一時的に入った税収で恒常的な施策は出来ない」と言われてしまう。

このように「マツダによる税収があってよかった」とは単純にはならないのです。

なぜ、マツダの法人町民税は、時々しか入らないのでしょうか? トヨタが5年間法人税を払わなかったという話は有名ですが、おそらくマツダも同じことをしているのだと思います。

法人住民税は、法人税額を基礎として算定され、法人税は「所得」に法人税率を乗じて計算されます。「所得」は「益金」(≒利益)から 「損金」(費用のうち、法人税を計算する際にかかる税金を減らせるもの)を引いたものです。この「所得」をゼロにすることができれば法人税もゼロとなる。法人住民税は企業の規模による均等割りがあり、マツダの場合は300万円です。

この均等割だけの年がおそらく6年続いたことになります。利益をあげても「所得」を少なくし、課税されないようにする。

そして政府の用意した大企業向けの補助金や減税メニューを活用し、上手に組み合わせて「節税」しているのです。

脱税ではなく、マツダが悪いわけではありません。

大企業の要望を受入れ、優遇税制を作ってきた自民党政治に大きな問題があります。

 

 


(*)地方税の収入額が標準税収入額を下回る場合、その減収を補うために発行される地方債。地方財政法第5条に規定する建設地方債として発行されるものと、建設地方債を発行してもなお適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足を生ずると認められる場合に、地方財政法第5条の特例として発行される特例分がある。

 

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