コロナに乗じて改憲を進めることは許されない 【朝の定例宣伝359回】

(国民投票法改正案の質疑を行った衆院憲法審査会:4月22日)

ご町内のみなさん

日本国憲法は1947年5月3日の施行から74年が経ちました。

新型コロナ感染の急拡大に歯止めがかからず、各地で医療崩壊が始まっています。これは憲法に問題があるからでしょうか。日本国憲法の精神に基づく対策を怠ってきた政治の責任であり、菅政権による人災にほかなりません。
 
みなさん
菅政権は、コロナに乗じて憲法を変える企てを進めようとしています。

自民、公明、維新は、今日6日にも、衆院憲法審査会で、国民投票法改定案を採決しようとしています。

立憲民主党は、修正案が受け入れられれば法案の採決に応じ、賛成すると自民党に伝え、自民党は「立憲案を丸のみし、円満に採決する」方針です。

修正案は、CM規制や外国人寄付規制について、改正案の付則に「改正法施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と明記する内容ですが、付則にはなんの拘束力もありません。

「2018年から9国会にわたって採決が先延ばしされてきた改正案は、6日の衆院憲法審査会で修正、可決された後、近く衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった」と時事通信は伝えています。

野党第1党の立憲民主党が、自公政権に手を貸すようなことではいけません。これでは自民党の思うつぼです。

みなさん
国民投票法の改定案の狙いはどこにあるでしょうか。菅総理自身が3月の自民党大会で「憲法改正にむけた第一歩」だと次のようにあけすけに狙いを述べています。

「憲法改正はわが党の党是であります。その手続きを定める国民投票改正案については与野党で、今国会においてなんらかの結論を得ることで合意をしています。まずは第一歩として改正案の成立を目指していきたいと思います」。

憲法改定にむけた「地ならし」こそが、国民投票法改定の狙いなのであります。

それでは、自民党が狙う「憲法改正」とは何でしょうか。

菅総理は、「産経新聞」のインタビューで、自民党の改憲4項目をたたき台に議論を進めてもらうと宣言しています。

みなさん
改憲4項目とは、自衛隊の明記、緊急事態条項、参議院の合区解消、教育の無償化・充実強化、の4つですが、後の2つは憲法とは関係ありません。前の2つを目立たなくさせるためのものです。改憲のねらいは前の2つ、自衛隊の明記と緊急事態条項にあります。

自衛隊を明記するとどうなるか。今までは書いていないことによって歯止めがかかっていました。憲法は武器をもつこと、武力による威嚇と行使を禁じているからです。ですから一度も海外で戦争したことがありません。この歯止めが外れることになります。

すでに自民党は敵基地攻撃能力をもつことを考えています。

ハト派と言われてきた岸田文雄前政調会長ですが3月27日、日本を標的とした弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有に向け、議論を加速するよう政府に求める考えを示しました。広島市内で記者団に「自民党内は(保有を)考えるべきだという意見が大勢だ」と述べたのです。

敵基地を攻撃するのは紛れもない戦争です。

今の憲法の下でも敵基地攻撃能力を持つことができると言っているですから、自衛隊が憲法に明記されたら、大手を振って敵の基地を攻撃できる武器を持ち、相手を叩くこと、すなわち戦争に踏み出すことになるでしょう。

4月16日の日米首脳会談では、「対中国」を念頭に日米軍事同盟の「一層の強化」が確認されました。米軍は既に、九州沖から琉球諸島、南シナ海にいたる「第1列島線」に、日米一体のミサイル攻撃網を想定していることが判明しました。アメリカと中国の軍事対立、軍事衝突に巻き込まれる危険性が増しています。

みなさん
緊急事態条項はどうでしょうか。いま東京などに出されている緊急事態宣言のようなものと考えたら大間違いです。

緊急事態宣言は国民に協力を求めるものです。これに対して緊急事態条項は、強制を伴う命令、従うことが義務となります。

また緊急事態を宣言すると、国会を開かなくていい。今以上に内閣だけで物事を決めていくことができます。

国民投票法の改定は、菅総理が言うように改憲への「第1歩」です。

海外での武力行使を無制限に進める「戦争国家」をつくり、緊急事態への対応の名目で基本的人権を停止する「独裁国家」をつくる。こんな恐ろしい憲法改定を、コロナ危機のどさくさに紛れて行う。決して許してはなりません。

みなさん
 日本国憲法は変えなければならない。自民党は繰り返しそう言いますが、本当にそうでしょうか。私は21世紀の今日こそ、この憲法の掲げている理想を現実のものとするときだと思います。最後に、日本国憲法前文を読み上げ、この場での訴えを終わります。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

ご清聴ありがとうございました。

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