とってもおいしい学校給食 現地踏査報告②

10月18日、総務文教委員会で現地踏査をしました。府中南小学校でトイレの視察をしたあと、府中中央小学校で学校給食を試食。府中町の学校給食は、自校方式(調理は民間委託)です。

学校給食は、大別して学校内の施設でつくる自校方式、大規模な給食調理施設で複数校の給食を一括して調理し各校に配達するセンター方式、民間業者のつくる弁当を配達するデリバリー方式の3つがあります。

デリバリー方式とセンター方式の問題点

この3つのなかでもっとも評判が悪いのがでデリバリー方式です。まずい、冷たい、異物の混入が多い。

次のような記事をみつけました。

「早く(給食が)なくなってほしいです。人間の食べ物じゃないです」と、中1の男子生徒は切実な表情で訴え、「味がうすい、ないんですよ。まずいから全然食べられない。お腹はすいて授業に集中できないし、部活もあるから本当につらいんです。みんな、お腹すいたって言っています」と、中2の女子生徒はひもじい学校生活を力なく吐露する。

小学校でも中学校でもみんなが大好きなカレーでさえも、「固くなっていたし、野菜も固かった」と、中1の男子生徒は絶望的な表情でダメ出しする。3月まで通っていた小学校の給食がおいしかっただけに、よけいにつらい。

給食がまずい学校として、不名誉な名を全国に轟かせてしまったのは、神奈川県大磯町にある町立大磯中学校と国府中学校。2016年1月から、外部の民間業者に委託するデリバリー方式を採用し、工場で製造した給食を配送して生徒に提供しているが、これがまずいと悪評だらけ。

生徒たちの絶望的な気持ちは数字にも。全国の小中学校の残食率は平均6・9%だが、大磯町の町立中学2校の残食率は約26%。つまり毎日、給食の4分の1が残され、廃棄される。

まずいだけではない。導入当日から髪の毛やビニール片などの異物混入が報告され、大磯町によれば今年7月までに確認されただけで84件。そのうち15件が、業者の工場で混入していたとされる。

保護者からは「給食費を払っているのがバカバカしいですよね」(30代母親)、「育ち盛りだから食べないっていうのが心配です。容器が臭いって話していましたね」(40代母親)、「お弁当にするか給食にするか選択できる余地があってもいいと思う」(30代母親)など。子どもの身体、健康に直結するだけに関心は高い。

『週刊女性』2017年10月10日号

 

デリバリー方式では、食中毒を防ぐため、10℃以下の温度で運ばなければいけないことになっています。これが冷たい原因です。

加えて、食中毒が発生した場合には、被害が大きくなります。2014年1月にノロウイルスを原因とするデリバリー給食による大規模食中毒が発生しました。デリバリー給食を食べた広島市内の複数の中学校の生徒が、嘔吐、下痢等を発症。弁当製造施設Aで22日(水)に製造したデリバリー給食を食べた市内中学校10校2,229名のうち10校301名(生徒280名、教職員21名)が、発熱、嘔吐、下痢、腹痛等の症状をうったえました。
デリバリー給食は広島市でも大変に評判が悪く、申込み率が年々下がっています。

そういうなかで、デリバリー弁当を申し込まず、弁当も持ってこないという子どもたちがおり、菓子パンを買ったりジュースで済ましているという別の問題もおきています。

センター方式も食中毒が起きたときに被害が大きくなります。上の表は今年1月に和歌山県で800人がノロウイルスによる食中毒が起きたときの産経新聞の記事(ノロウイルス猛威…苦悩する給食センター 和歌山800人食中毒で浮かんだ「一括調理のリスク」2017.2.28)にあったものですが、これは「主な」ものにすぎません。全国各地のセンター方式給食で食中毒が起きています。

給食を学校に届けるまでに時間がかかり、それが食中毒の原因となります。「週刊女性」の記事の場合、調理施設がある綾瀬市から学校のある大磯町に行くのに、間には海老名市、厚木市、伊勢原市、平塚市と4市もあるのです。

また、センター方式は同じ食材を大量に一括購入・一括調理するため、国産食材だけでは安定的な調達が難しいことと、委託業者が利益をだすために、外国産の食材を使うことが多いといわれれいます。

府中町は自校方式で安全&おいしい

ですから、学校給食はなんといっても自校方式がよく、府中町は町内すべての小中学校で自校方式の給食を提供しています。

この日の献立は写真にあるとおり。きれいなメニューをつくって下さいました。

えっ、じゃこじゃこバーガー?じゃことバンズ(パン)意外な取り合わせです。

おそるおそる口にいれる。うまい!合うじゃない。「熱く燃えろ!Cスープ」は今年度「ひろしま給食100万食」最優秀レシピ賞を受賞。呉市立安浦中学校2年生の松本那々海さんが考案しました。CスープのCは、うちのC(志位)委員長ではなくもちろんカープのCです。

熱く燃えろ!!Cスープの作り方(1人分)

材料
ベーコン10g(短冊切り),しらす干し1g,玉ねぎ30g(スライス),ジャガイモ30g(1cm 角の角切り),キャベツ20g(1cm 角の角切り),生シイタケ3g(せん切り),トマトジュース15g,ケチャップ5g,コンソメ1g,水70g,塩0.2g,こしょう0.02g,炒め油0.5g

作り方
①油を熱し,ベーコン,しらす干しを炒め,塩・こしょうをふる。
②玉ねぎを入れて炒め,水を加えて煮る。
③ジャガイモを入れ,表面に火が通ったら,キャベツ,生シイタケを入れる。
④ジャガイモが八分通り煮えたら,トマトジュース,ケチャップ,コンソメを加える。

 

(レシピにはないABCマカロニが入っていました)

 

 

府中町立府中緑ケ丘中学校1年の岡野俊介さんは「広島名物たっぷり塩レモン焼きそば」で優秀レシピ賞、府中南小学校6年の田村風愛さんが「広島菜のやさ塩チャンプル」で特別賞を受賞しました。受賞者は全部で15人しかいないのにそのうちの2人が府中町の子どもたちです。素晴らしい。これも自校方式の成果かもしれません。

 

(右が佐藤信治町長、左が岡野浩子副町長)

 

この日の試食には、私たち総務文教委員ととも教育委員会のみなさんと、佐藤町長、岡野副町長も参加しました。

「おいしい」と聞いておりましたが、食べたことが今までありません。自校方式で「おいしいらしい」という言い方しかできませんでしたが、これからは「府中町の給食はおいしい」と胸を張っていうことができます。ちなみに給食代は各自280円を払いました。タダ食いではございません。

給食費補助を

給食費の単価が2学期から値上げされました。値上げの理由は材料費の高騰です。小学校が250円から280円へ、中学校が280円から310円へ、それぞれ値上げ額は30円です。給食費は自己負担になっていますので、議会で値上げに反対することができません。就学援助を受ける家庭は給食費が免除になります。6月議会で値上げに対応するため補正予算を組みました。補正額は小学校が387万円、中学校が361万円です。

学校給食は教育の一環であり、日本国憲法26条が「義務教育は、これを無償とする」とはっきりと述べているわけですから、給食費は無償であるべきです。

「しんぶん赤旗」(9月21日付)は独自調査によって、今年9月20日現在で公立小・中学校の給食費(食材費)の保護者負担を全額補助して無償にする市町村が少なくとも83に増えていると伝えました。

しかしながら、無償化しているところの多くは、人口が少なく、小中学生も少ない町村がほとんどです。

人口5万2千人の府中町ではどうでしょうか。

試算してみましたところ、府中町は小学生が約2500人、中学生が約1200人で、完全無償化するためには2億円ほど必要。これを町単独でまかなうのは、なかなか難しいと思われます。

しかし、今回値上げをした1食につき30円を町負担で軽減する場合は年間約2100万円となり、十分可能でしょう。さらに20円を追加し1食50円を町が負担すると年間約3500万円です。保護者は1食30円の軽減措置で年間6000円、50円で年間1万円の負担が減ります。自校方式でおいしい給食。しかも負担軽減措置もあるとなれば「子育てしやすい町」が一歩前進します。

 

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