親バカですが… 月曜会「ブレーメンの音楽隊」
2001年に劇団月曜会の「ブレーメンの音楽隊」を見ました。以下はそのとき書いた感想です。食い入るように舞台をみつめ、帰り道にはスキップしていた5歳の次女は21歳になり、今回「ブレーメンの音楽隊」で初舞台を踏みます。
ともに歩く人生は楽しくもあり、
また、つらくもある。そしてどこか悲しい。
それでも、飼われる人生よりすてきなのだ
劇団月曜会 「ブレーメンの音楽隊」 (2001年11月)を観て
演出の原洋子さんが、「ちょっと、そこもう少しつめて」「かばんは預からせて」と、観客に指示をだす。広島市中区榎町の小劇場アッカーはすし詰め。どこからどこまでが舞台でどこからが客席なのか、芝居が始まるまでわからない。たくさんのカバンをかかえながら「ここは泥棒が通るから座らないでね」という原さんの指示に笑いが起こる。そして、なんとかみんなが座れて「ああよかった」と観客の心が一つになる。そう、もう芝居は始まっているのだ。
ストーリーはよく知られているグリム童話であり、そうひねった脚色がしてあるわけではない。
しかし、シンプルであるだけに、大人たちはそこに老人問題やリストラの悲哀を重ねる。
ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの四匹の動物は、いずれも主人からうち捨てられる。四匹の動物は出会い、それぞれの人生(?)を引きずりながらも、ともに歩くことを選択する。ここに飼われる人生から、主体として生きる人生への転換点がある。
ともに歩く人生は楽しくもあり、また、つらくもある。そしてどこか悲しい。
しかし、飼われる人生よりだんぜん素敵なのだ。
腹をすかせた四匹は、泥棒のすみかへとたどりつき、おびえながらも、四匹のそれぞれの得意技を使って泥棒を追い出してしまう。期せずして勝利をつかむ。
こういうことがあるから人生は面白い。
そうそう。それぞれの人生が滲みでた四匹の好演はもちろん、泥棒たちも魅力的だった。親分が実は臆病だったり、子分が知恵が足らぬばかりに親分に分け前を多く取られてしまうなど、会場は笑いにつつまれた。
うたとおどりと生演奏。五歳の娘は食い入るように舞台をみつめ、帰り道にはスキップしていた。
いま、月曜会がおもしろい。そして、元気だ。
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