進路指導による痛ましい事件を繰り返さないために

損害賠償請求訴訟の和解に当たって

日本共産党府中町議 二見伸吾
2020年03月23日

 

「万引きをした」という誤った記録に基づく「進路指導」によって、当町立中学3年の生徒が2015年12月に自殺するという、まことに痛ましい事件が起きました。

遺族が町に損害賠償を求めた訴訟について、町議会は2020年3月16日の本会議で、和解金約2900万円を支払う和解案を全会一致で可決承認しました。

改めて、哀悼の意を表するとともにご遺族の方に心からお悔やみを申し上げます。

事件から1年後の2016年12月、私は当選後初の一般質問でこの問題を取りあげました。

第1に、中学校側に選抜をいわば「丸投げ」する入試(専願)制度の問題点、第2に教員の意識、資質の問題に還元されていく「再発防止改善策」、第3に、事件の背景にある「教員の多忙化」、を指摘しましたが、これらの問題点は依然として変わらないままです。

濡れ衣を着せられ希望する学校の推薦が受けられなかった、生徒の無念の思い、かけがえのない子ども、兄弟を失ったご遺族の悲しみは察するに余りあります。

受験の重圧を日本の中学生は背負っています。高校入試は多様化し複雑化しながら、その圧力はますます重くのしかかっています。

二度と同じことを繰り返してはならない。15の春が迎えられないことがあってはならない。

そのために、受験のあり方そのものの根本的な見直しと学校現場から奪われている「ゆとり」を取り戻すことが求められています。これは府中町、広島県の課題であるとともに日本全体の問題です。

和解の成立によって、これらの問題が解決したわけではありません。

この事件を記憶し続け、つねに立ち返り、問題の根本解決のために努力することが私たちに求められています。私自身も町議の一人としてなしうる限りの努力をしていく所存です。

 

 

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