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2020-03-24

自治体戦略2040構想と府中町

2020年3月定例会 一般質問

2020/3/13

はじめに

「自治体戦略2040構想研究会」は2017年10月、総務省に設置をされた研究会で、2018年4月に第1次報告、7月に第2次報告が出ました。また、この二つの報告を受けて「第32次地方制度調査会」がスタートし具体化が図られようとしています*1。

「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題」は何かを提起し、対応策を打ちだすのが「自治体戦略2040構想」「第32次地方制度調査会」の課題です*2。
府中町にとっても「第5次総合計画」など、今後の行政に大きな影響を及ぼすものであることをまず強調しておきたいと思います。

第1次報告は、2040年頃にかけて、「我が国の内政上の危機」が迫り来るとしています。その危機とは、少子化に歯止めがかからず東京も地方も陥没する。賃金は下がりつづけ、生活できない。若者が減って働き手もいない。教育の質も下がる。大都市も中小都市もスポンジ化=密度が下がって虫食い状態になる*3。まことに悲観的な灰色の2040年=未来像です。

そういう灰色の2040年を設定し、そこから逆算して、以下で申し述べるような処方箋によって自治体のあり方を変える。これが「2040構想」です。

また「2040構想」は、人口減少対策について触れておりません。第2次報告の副題が「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか」となっており、人口減少を緩和することを諦め、人口減少を前提にそれにどう対応するのかという問題設定にシフトしているのです。

報告のいう処方箋とは、①スマート自治体、②公共私による行政、③圏域マネジメント、④東京圏のプラットフォームの4点です。東京圏の問題はさしあたり関係ありませんので、他の3つについて質問いたします。


*1)地方制度調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、地方制度に関する重要事項を調査審議するため、総理府(現:内閣府)の附属機関として設置。
*2)「第32回地方制度調査会」諮問事項
*3)第1次報告は、①若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏、②標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全、③スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ、という4点にまとめている。

1.圏域による行政

(1)「圏域」に自治体の事務の一翼を担わせる

①圏域を行政のスタンダードにすること、②公共私の連携、③AIなどによるスマート自治体、という3つの柱は相互に関連していますが、土台をなしているのは圏域ですので、これから取りあげます。

圏域とは、単独の行政区画を越えた複数の基礎自治体を包括する地域を意味すると言われています。圏域を設定してそれを制度化する。すでに「連携中枢都市圏」と「定住自立圏」というかたちで取り組みが始まっており、府中町は、広島市と2016年に連携協約をし、「広島広域都市圏」に属しています。この圏域は広島県と山口県にまたがり11市13町が参加しています。

連携協約にもとづく具体的な取り組みは、

①経済面…ヒト・モノ・カネ・情報が巡る都市圏を創る(36事業)、

②生活面…どこに住んでも安心で暮らしやすい都市圏を創る(7事業)、

③行政面…住民の満足度が高い行政サービスを創る(44事業)、

 の三つに整理されており、

低床低公害バス車両購入費補助、病児・病後児保育事業の広域利用、生活困窮世帯学習支援事業など、重要な役割を果たしていると思います。

現在行われているような具体的な課題で連携し共同の取り組みをすることは否定しません。大いに進めるべきだと思います。しかし、今後進められようとしている「圏域」づくりはそれとは質を異にするものです。 第2次報告は「あらゆる行政サービスを単独の市町村が個々に提供する発想」(17頁)を捨てよ、「個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、圏域単位で、あるいは圏域を超えた都市・地方の自治体間で、有機的に連携することで都市機能等を維持確保」(2頁)せよという*4。

それぞれの市町村がやっている行政施策や公共施設など、圏域にあればよいということになり、周辺市町の行政が絞り込まれていくことになります。

これは、マイルドな自治体合併、ゆるやかな自治体消滅です。「平成の合併」は失敗し、地域の力はどんどん奪われている。もう合併をこれ以上強引に進めることは不可能になっているなかで、圏域という新たな行政単位をつくってそこに権限を移すことが考えられているわけです。


*4)「個々の自治体が短期的な個別最適を追求し、過剰な施設の維持や圏域内での資源の奪い合いを続ければ、縮減する資源を有効に活かせないまま、圏域全体、ひいては我が国全体が衰退のスパイラルになる」と現在の市町村行政の存続を否定している。(「第2次報告」30頁)

 

(2)公選される首長も議会もない「圏域」

「圏域」には、選挙によって選ばれる首長も議会も想定されていません。ではどうやって「圏域」行政を運営していくのか。広域都市圏の代表者が集まって協議するということになると思いますが、現在、当町が参加している広島県後期高齢者医療広域連合、安芸地区衛生施設管理組合などとは様相を異にすると思われます。圏域が法制化されれば連携中枢都市である広島市の権限が今以上に強くなるからです。

「都市機能(公共施設、医療・福祉、商業等)の役割分担など、負担の分かち合いや利害調整を伴う合意形成は容易ではないが、圏域単位での対応」ができるような「仕組みをつくらなければならない」と第2次報告書は述べていますが、合意形成が容易でない課題をどうやって進めるのか。それは「中心都市のマネジメント力」です。中心都市に強い権限を与えるということであり、連携市町村の権限が弱められるということに他なりません*5。


*5)対等平等が建前とされる現時点においても、広島市と府中町の力関係ははっきりしており、JRの高架化事業――広島市東部地区連続立体交差事業が都市計画決定から20年以上たってようやく工事着工のメドがたったこと一つとってみても分かる。遅延の原因は当町にはなく、もっぱら広島市の事情によるものである。

 
(3)圏域への交付税支給と連携市町村に対する交付税減額

法制化は中心都市の権限強化とともに財源措置もともなうことになるでしょう。「圏域」が法制化され、「圏域」の行政事務に対して国が直接に地方交付税などの財源措置を行うこととなると、首長もいない、議会もない団体に国から直接の財源措置が行われることが法律上認められることになり、「住民自治」の観点から問題があるといわざるをえません。

また、「圏域」のために使われる予算はどこからやってくるのでしょうか。国は地方財政を増やすつもりはありませんので、「圏域」に属する周辺市町村への地方交付税を減らして、それにあてる可能性が高い。府中町の財源が奪われることになり、今以上の厳しい財政運営を迫られることになります。

(4)連携市町村――府中町の衰退を招く

以上のように、「圏域」の法制化によって、市町村の事務の一部は「圏域」に取り込まれ、中心都市以外の周辺市町村の権限が限定され、地方自治の根幹を支える市町村のあり方は大きく変わります。「圏域」によって中心都市以外の周辺市町村は衰退し、自治の力を弱めていく。ゆるやかな自治体消滅、府中町は広島市の出張所のような扱いになり、いずれ広島市に溶けていくことになるでしょう。

全国町村会、荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)は、「圏域」の推進について次のように批判しております*6。

自治体戦略2040構想研究会のいう圏域行政の推進は、周縁部町村の自立とは反対に、町村を衰退させ、消滅させかねない危険性をはらんでいます。憲法が保障する地方自治の本旨である「住民自治」、「団体自治」の観点からも極めて問題があり、断じて容認できるものではありません。

全国町村議長会、松尾文則会長(佐賀県有田町議会議長)も、次のように述べております。
 
国があらかじめ一定の枠組みを決め、そこに自治体を誘導し、強制的に圏域行政に追い込むような仕組みは絶対につくるべきではないと考えております。さらに、もし仮に今後、市町村間の連携を強化するため、中心市への財政措置、調整権限を強化することになれば、中心市以外の周辺市町村の活力は失われ、衰退してしまうことは、平成の大合併の教訓からも明らかでございまして、私どもとしては到底受け入れることはできません。

そこで、質問します。

①報告は「圏域単位での行政のスタンダード化」「都道府県・市町村の二層制の柔軟化」をはかると述べ、「圏域」の法制化が狙われています。「圏域」の法制化は、財政も含め、町の権限を弱めることに繋がるのではないでしょうか。


*6)「第32回地方制度調査会」第3回総会(2019年7月31日)での発言。全国町村議長会、松尾文則会長の発言もこの総会のものである。同総会において全国市長会会長も、全国市議会議長会の会長も反対を表明している。

 

総務企画部長 

今回の報告において、国が複数の自治体で構成する行政組織「圈域」を新たな行政単位に位置づける議論を本格化したことが述べられています。人口減少と高齢化が加速する中、圈域市町村が一体となって行政サービスを担う態勢を整えるのが狙いと思われます。

この圈域行政制度は、地方自治法第252条の2第1項の規定に基づく連携中枢都市圈制度である広島広域都市圈が、構成市町による共通課題に対する施策の共同実施や、市町間の行政資源の相互利用、行政サービスの相互補完といった、行政サービスに係る地域全体の住民満足度向上といった取り組みとは異なり、基礎自治体の統合に類するものでございます。

この圈域行政制度については、当町も参画し、昨年11月に開催された全国町村長大会において、「新たな圈域行政の推進は、連携やネットワーク化の名のもと、都市部を中心とした行政の集約化・効率化につながることが強く懸念され、周縁部の町村を衰退に追い込む危険性をはらんでいる」、「広域行政の在り方は多くの選択肢があるにもかかわらず、十分な検証が行われないまま、新たな圈域行政の法制度化が行われるならば、町村の自治権を大きく損なうものであり、このような圈域行政の推進に断固反対する」との特別決議を行っています。

本町としても財政一権限の弱体化につながりかねない地域の衰退は懸念事項であることから、本制度の動向は今後も注視する必要があると考えております。


 

 

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