バランスを欠く補正予算に反対
府中町6月議会(6月26日)で提案された「令和2年度府中町一般会計補正予算(第3号)に反対しましたが、賛成多数で可決されました。
以下は私の行った質疑と答弁、反対討論です(要旨)。
(1)質疑
二見議員 国の第一次補正予算からの地方創生臨時交付金ですが、府中町は約1億2000万円でした。
①第二次補正予算から府中町に入る交付金の額はいくらぐらいと見込んでいるでしょうか。
②今回の一般会計補正予算のうち、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てようと考えているものはどれでしょうか。その一般財源による歳出の合計はいくらでしょうか。
◆財務部長 まず、今回の補正予算では、約1億5千万円の一般財源を計上しています。これは国の第2次補正予算分の地方創生臨時交付金が、当町の補正予算策定段階では、金額等詳細が全く不明な状態であったため、このような形で策定いたしたものでございます。
①今回の補正のうち地方創生臨時交付金の充当を予定している事業ですが、民生費の大部分、衛生費、教育費の大部分が対象となります。
すなわち、民生費のうち、介護保険特別会計繰出金事業及び保育所等創生助成事業以外の事業、衛生費の妊婦特別定額給付金給付事業、教育費のうち教育一般事務事業の弁護士謝礼以外の事業、これらが臨時交付金の対象となる見込みの事業です。
今回の補正に係る一般財源の額と、ほぼ同額の約1億5千万円が交付金の対象となります。
②次に国の第2次補正予算分の交付金の額ですが、ちょうど昨日、県を通じて、交付の限度額として約3億円が提示されています。
二見議員 ICT環境整備事業は小学校、中学校あわせて2億4516万円、うち一般財源が1億1285万円ですが、このほぼ全てがタブレット購入に充てられるという理解でよろしいでしょうか。
◆学校教育課長 はい、そうです。
二見議員 タブレットの整備には当初5か年で行う計画だったと聞いています。なぜ、今年度中に全てを購入しないといけないのでしょう
◆学校教育課長 令和元年12月19日に文部科学省が、「令和の時代のスタンダードな学校へとして、GIGAスクール構想の実現パッケージ」を示しております。
この「GIGAスクール実現のロードマップ」では、小学校5年・6年・中学校1年生の端末整備からはじめ、令和5年度までに整備する計画になっておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、学校の臨時休業が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態に備え、文部科学省では、「GIGAスクール構想の加速による学びの保障」を確保するために、令和2年度に前倒しする令和2年度補正予算を4月に成立しました。
これらの国の動きを受けて、教育委員会としても、たとえ再度、臨時休業をせざるを得ない状況となったとしても、学びの保障をするために、全ての学年の児童生徒の端末を整備する必要があると判断し、予算計上しているものです。
二見議員 文科省の補助金が今年度限りで、来年度以降では3分の2の補助金が出ないと聞いたのですが、どうなんでしょう。
◆学校教育課長 その通りです。
二見議員 今回の補正予算の総額は約3億7000万円で、学校ICT環境整備事業、具体的には全児童生徒にタブレットを買うために2億4516万円を使う。補正予算の3分の2です。また、国の2次補正からの臨時交付金が約3億円ということですから、町の負担は、その約3分の1強になります。
そうすると、タブレット購入に充てる一般財源が1万1285万円ですので、コロナ対策のための予算の半分ないしそれ以上をタブレット購入に充てることになる。いま、仕事がなくなって倒れる寸前の事業者や仕事を失って途方に暮れている人がいる。地方創生臨時交付金はそういう人のために使われるものと思っていましたし、5月の臨時議会で決まった補正予算はそうなっていたと思います。
今回の補正予算はあまりにバランスを欠いていると思うのですが、町はどのように考えられているのでしょうか。
◆財務部長 まず、GIGAスクール構想による、児童生徒1人1台端末の整備についてですが、今後、コロナの第2波、第3波が到来し、学校の臨時休業が余儀なくされた場合、児童生徒の学習を支援するために、必要なツールであり、この地方創生臨時交付金の対象として妥当なものだと考えています。
地方創生臨時交付金の2次分については、金額など詳細が明らかになったのは、つい昨日のことでございますが、町としても更に、必要とされている方々、困っている方々への、支援を講じていく予定としており、町長の就任あいさつにもございましたが、国の二次補正に計上された施策も盛り込んだ、第3段、第4弾の支援策を必要に応じて、進めていきたいと思っております。
現在、検討を進めているところでありまして、内容等固まりましたら、補正予算等でお示ししたいと思います。また、必要であれば臨時議会をお願いすることになるかもしれませんが、その際には、よろしくお願いいたします。
(2)討論
二見議員 いま、「コロナ災害」とでもいうべき事態が進行しています。コロナ感染症の拡大によるいのちの危機とともに、経済が壊滅的な打撃を受け、雇用や営業、生活そのものの基盤が脅かされています。経済への打撃が、これからさらに拡大するのは確実です。
この事態に対して、どう立ち向かうのか。町民のいのちとくらしをどう守るのか。それがいま問われています。
タブレット端末購入予算は今回の補正予算の3分の2を占め、府中町が受け取る地方創生臨時交付金の3分の1以上を占めることになります。今年度中に購入すれば文科省が3分の2を助成する、臨時交付金も使えて、実質、町の負担がない。とても魅力的だとは思います。
しかし、地方創生臨時交付金は、町民のみなさんの暮らしと営業を守るための予算であり、そのためにもっと多くを割り当てるべきだと思います。
5月の補正予算には「小規模事業者支援金」という町独自の施策がありました。県の「感染症拡大防止協力支援金」を受給していないということ以外の条件を付けず、一律に5万円給付するというもので、私は高く評価しています。しかし業者の方に聞くと「わざわざ申請して5万円では」という反応です。増額ないし追加的措置がいるし、検討していただきたいと思いますが、臨時交付金はこういうことのためにあるのではないでしょうか。
町内の保護者からは「夏休みが短縮されるなか、理科教室など特別教室にエアコンがつくことにならないのか」という声を聞きました。学校の体育館は災害時には避難所になりますが、ここにもエアコンはありません。
これらのことを差し置いてまでタブレットを買う必要があるのか疑問であります。
文科省の助成が今年度限りと言われていますので、全国の市町村が「バスに乗り遅れるな」とばかり、タブレット購入に走っています。しかし、そんななかで、佐賀県鳥栖市は、「効果的な活用には段階的な導入が必要で、現時点では(GIGAスクール)構想に乗る考えはない」と天野昌明教育長が議会で答弁しています。こういう判断をしている自治体もあるわけです。
このタブレット端末購入は、GIGAスクール構想の柱として進められ、コロナウイルス感染症対策として一気に前倒しにされました。その問題点については一般質問で改めて指摘したいと思います。
本補正予算の他の部分については異議ありませんが、タブレット端末購入にあまりにも多くの予算を使うことには賛成できません。
以上をもって反対討論と致します。
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