「世界政治に責任を持つ政治家は広島に来るべきだ」(パルメ)

G7サミットが開かれています。

平和資料館の見学時間は40分ほど(オバマは10分)。
本館には行かず、東館だけでお茶を濁したようです。
「序の口」しか見ていないわけですが、それをきっかけに改めて資料館を訪れ、被爆の実相を知ろうとする政治家が出てくることを望みます。
首脳でなくお付きの人でもよい。世界の政治家たちが一人でも多く資料館を見てほしい。
それは以前、共産党の副委員長だった上田耕一郎さんが講演で語った以下のエピソードを知ったからです。
軍縮の専門家たちもヒロシマを知らない。
無知は悪魔のような力をもつ。

「世界政治に責任を持つ政治家は広島に来るべきだ」(パルメ)

 
〔19〕83年の第38回国連総会で採択されたパルメ委具会の報告書の序文でパルメも「とりわけ、ヒロシマを訪問して得た感動的で衝撃的な経験に負うところが多い」(『パルメ委員会報告書 共通の安全保障――核軍縮への道標』日本放送出版協会、82年刊、19ページ)と書いている。

パルメは広島の資料館を見学したあとの記者会見で「世界政治に責任を持つ政治家は広島に来るべきだ」と語った。84年2月22日、参議院の外交・総合安全保障調査特別委員会で、参考人として出席した永井道雄・国連大学学長特別顧問(元文相)は、パルメ委員会の資料館見学に同行した当時の状況を質問した私に次のように答えた。

同委員会の議事録から引用しておこう。

「大体総理大臣クラスのような方が14,5人来ました。皆さん実は世界の政治家の中では軍縮を考えてきた人なんですけれども、非常におもしろいことが起こりました。

 
おもしろいことというのは、私はお供して行ったんですけれども、資料館に入りまして、政治家というのはどこの国でも割りにおしゃべりですから大きい声を出してしゃべった。
 
それで、入りまして2、3分たったらみんな急に黙り出して、見終わるまでずっと沈黙が続いたわけです。外へ出まして全部を代表してパルメさんが記者会見をしました。
 
なぜ黙ったかというと、要するに、物を云うことができなくなった。それで、世界的に一番専門家と言われる人間たちが一緒に来たんだけれども、大変なショックである。
 
それがその翌年の第二次特別総会に出ました報告書の冒頭に書いてございますから、その 程度のことは伝かったわけです」。
これは、核戦争の被害について万全の知識をもった、核軍縮の一番の専門家をもって任じている国際的な著名な政治家たちでさえ、広島に行くまでは核戦争の実態を抽象的に認識していただけで、資料館で現実の一部に接してショックのあまりの大きさに全員沈黙せざるをえなかったという貴重な証言である広島に来ることもなく、先制核戦争の必要を平然と語っているアメリカのブッシュ政権の高官たちは、世界政治を語る資格はまったくもっていないというべきであろう。

(上田耕一郎『ブッシュ新帝国主義論』新日本出版社、2002年、210-211ページ)

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