国民主権をないがしろにする賀詞決議に反対しました
府中町9月議会に出された「天皇陛下御即位を祝す賀詞の決議」に反対しました。
議員提出議案「天皇陛下御即位を祝す賀詞の決議」に反対の立場から討論いたします。
賀詞はお祝いの言葉ですから、そう目くじらを立てることもないだろうという意見もあると思います。しかし、個人がお祝いの言葉を述べるのと住民の代表である議会がその意思を表明し決議するのは明らかに異なる行為です。
決議の問題は二つあります。
一つは国民主権というこの国の根本的なあり方に反しています。
――「天皇陛下におかれましては」「ご即位になりました」「令和の御代」――
まるで国民は主権者ではなく、戦前のような臣民、天皇の家来になったかのようです。「御代」とは、天皇が統治者として世を治めることを意味しています。大日本帝国憲法下での天皇は「国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬」する存在でしたので、大日本帝国憲法ができた1889年から敗戦の1945年までは、まさに天皇の御代であったと言えますが、今は違います。
日本国憲法のもとでの天皇は「国政に関する権能を有しない」(第4条)存在であり、現代は、天皇が政治を執り行う「御代」ではありません。
しかし、決議は国民主権をないがしろにし、天皇ならびに天皇制を崇め奉っています。
もう一つは、個人の自由、一人ひとりの意思を尊重するという点で問題があります。
決議には、「ここに府中町議会は、町民を代表して謹んで慶祝の意を表します」とあり、天皇の即位を「まことに慶賀にたえない」と述べています。
「慶賀にたえない」とは、喜びの感情に溢れ、その思いを抑えることができないという意味であります。
町民のなかには天皇や天皇制、今回の即位についてさまざまな意見、態度があると思います。
「慶賀にたえない」と思っている人もいるでしょうし、私のように反対のものもいる。特に関心がない人もいるでしょう。それなのに、「慶祝の意」という特定の意思を議会が町民を代表して表明することには問題があると言わざるをえません。
以上の理由をもって、この決議(案)に反対します。
天皇陛下御即位を祝す賀詞の決議
天皇陛下におかれましては、風薫る佳き日にご即位になりましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。世界の平和と我が国の繁栄、そして令和の御代が幾久しく続きますようお祈り申し上げ、ここに府中町議会は、町民を代表して謹んで慶祝の意を表します。
以上、決議する。令和元年9月 日
広島県安芸郡府中町議会
コメント2件
おっしゃる通り。町民一人一人の意見を勝手に決めないでほしい。大体、議員は住民の代表であって天皇の家来ではありません。
>町民のなかには天皇や天皇制、今回の即位についてさまざまな意見、態度があると思います。
>「慶賀にたえない」と思っている人もいるでしょうし、私のように反対のものもいる。特に関心がない人もいるでしょう。それなのに、「慶祝の意」という特定の意思を議会が町民を代表して表明することには問題があると言わざるをえません。
「賀詞決議に反対した」とのこと、他の人のツイッターで知りました。理由も明快で全面的に支持します。
二見さんとは、いつしか音信不通になってしまいましたが、今回の件を知り、懐かしさとともに嬉しく思いました。退職後の現在、地域の九条の会で活動しています。また、毎年、地域の有志とともに秦野市内の県立高校や県教委に出向き、「国旗、国歌への敬意表明は強制ではない」旨、儀式に際し参加者に告知するよう要請してきました。退位法に共産党が賛成して以来、不信を抱いていましたが、今回の二見さんの見解表明に少し救われた思いがします。ご活躍を祈っております。