名ばかり期末手当は法の潜脱行為

第58号議案「府中町会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定の一部改正について」反対いたします。

名ばかりボーナスという本質は変わらない

今回の一部改正案は9月議会に出され、賛成多数で可決された条例の手直しでありますが、月給を削ってそれを期末手当=ボーナスに充てるという本質は、なにも変わっておりません。

私は、9月議会の反対討論において、月給を削って期末手当を支給することは、①処遇改善とならず、かえって職員の生活を苦しくさせること、②適正な勤務条件と常勤職員との均衡を目的とする「地方公務員法及び地方自治法の一部改正法」の趣旨に反していること、③職員の労働意欲が下がること、④職員応募が減ること、⑤退職者が出ること、といった問題があることを指摘し、このような「名ばかり期末手当」は嘱託職員を愚弄するものだと批判しました。

今回の一部改正は、期末手当の支給月数を年2.6か月から1.45か月へと引き下げることによって月給の減り幅を抑えるというものです。月給を2万円も3万円も減らされたらとても生活できないという声を受けたものといえます。

この改正案で何が違うのか。期末手当を含む年間の賃金総額は同じで、期末手当と月給の比率が変わるだけのことです。

処遇改善に繋がらず、常勤職員との不均衡も是正されません。今回の改正案も、名ばかり、形ばかりのボーナス支給であります。

計り知れない社会的影響

月給を削って一時金にあてるというやり方が当町で実施されるとどういう社会的影響がでるでしょうか。

会計年度任用職員制度と同じく2020年4月1日から、民間労働者を対象にした「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されます。会計年度任用職員制度と同じ観点から非正規社員の不合理な待遇格差を禁止し、「正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止」されます。

不合理な待遇差を是正することの一つに賞与、ボーナス支給がある。民間企業でも非正規労働者へのボーナス支給が義務づけられることになったわけです。労働組合の全国組織である「連合」の調査によりますと非正規労働者の64.6%がボーナスゼロ。この人たちは「パートタイム・有期雇用労働法」の施行により、ボーナスが出ることを期待しています。

しかし、月給を削って期末手当を支給する府中町方式が認められれば、民間企業で働く非正規労働者もまた、ボーナスの支給と引き換えに基本給を引き下げることは可能だという実例となる。

最新の労働力調査によると非正規で働く労働者は2189万人、雇用者全体の4割近い。そしてその6割以上約1400万人が期末手当がありません。こういう状況を変えるために総務省も厚労省も期末手当も出すようにしようと法改正したのに、府中町方式でボーナス分が月給から削られるようなことになれば、何のための法改正だったのかということになります。

(2へ続く)

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