台風19号 迅速で手厚い救援と自然災害への備えを
10月14日 朝の定例宣伝〔議員当選後256回目〕 演説原稿
(台風19号の大雨によって氾濫した阿武隈川、宮城県丸森町。時事)
大型で強い台風19号は、東北、関東・甲信越、東海をはじめ広範囲に甚大な被害を引き起こしました。
21河川24カ所で堤防が決壊し、住宅地などに濁流が押し寄せる大規模な洪水被害となりました。神奈川や宮城など10県で35人が死亡、6県で17人が行方不明になっています。
日本共産党は、台風19号が近づく中で対策本部を設け、情報を集め必要な対策を取る体制を取りました。さらに体制を強め、政府や自治体に対策を求めていくとともに、現場に入って、実情をしっかり把握し、被災者支援などに全力を挙げています。
テレビでご覧になったと思います。茶色く濁った水につかった家屋の屋根の上から助けを求める人。えぐられた堤防。川に崩れ落ちた鉄橋。水に漬かる北陸新幹線――。各地から伝えられる光景は、この台風がもたらした記録的な大雨のすさまじさを示しています。長野県の千曲川、福島県と宮城県を流れる阿武隈川などでは複数箇所が氾濫したり決壊したりしました。
東日本の多くの河川で重大な水害が次々に発生しています。逃げ遅れて命を落とした人もいます。土砂崩れで住宅が倒壊し、犠牲者も出ています。1ヵ月余り前の台風15号で大きな被害を出した千葉県内では、屋根を覆っていたブルーシートが吹き飛ばされた家屋もあります。停電や断水も多く発生しました。
◆みなさん
今回の災害は広い地域にわたって、同時多発に発生しており、全体像はなかなかつかめません。取り残されている人はいないか。助けを求めている人はいないか。命を救うことを優先して、きめ細かで迅速な対策が求められます。
被災者は長い避難生活が予想されます。九死に一生を得た人が避難の中で、健康を害し命が脅かされるようなことがあってはなりません。温かい食べ物の提供や安心して眠れる環境の確保などが不可欠です。これまで築き上げてきた被災者支援の仕組みをフル活用するとともに、実態に合わせ改善・拡充をはかることが重要です。
◆みなさん
気象庁は、岩手、宮城、福島、茨城、群馬、栃木、東京、埼玉、神奈川、山梨、新潟、長野、静岡の13都県に大雨特別警報を出しました。同警報は、数十年に1度のような、経験したことのない危険な大雨に際して発表される最高レベルのものです。昨年7月の西日本豪雨では11府県に出されました。今回の台風19号は、これを上回り過去最高となりました。
多くの地域で観測された24時間雨量は、観測史上最多記録を塗り替えました。台風が強い勢力のまま接近・上陸した要因として、日本近海の海水温の高さなどが指摘されています。地球規模ですすむ気候変動の影響を背景に、台風などの風水害が激甚化していることは深刻です。
◆みなさん
腹立たしいのは安倍総理、安倍政権、自民党の対応です。新聞によると安倍総理の12日は、
午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
午前中は来客なく、公邸で過ごす。
午後も来客なく、公邸で過ごす。
午後10時現在、公邸。来客なし。
要するに何もしていないのです。
昨年の西日本豪雨災害で、記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が発表した7月5日夜に安倍総理は自民党議員約50名と東京・赤坂の議員宿舎で宴会をしていました。
2014年の広島市安佐南区、安佐北区を襲った土砂災害の時は山梨県の別荘近くでゴルフ。連絡が入ったあと一時間もプレーし、いったん官邸に行くものの夜には別荘に戻って引き続き休暇をとる。
いったい国民の命と安全をどう考えているのでしょうか。
昨日、ラグビーの試合が終わると安倍総理はすぐさまTwitterに
「東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています」
と投稿しました。
この大変なときにゆうゆうとラグビーを観ている。台風で大きな被害を受けた被災者に元気と希望を与える救済策を考えるのが総理の仕事ではないですか。のんきなことを言っている場合ではない。
自民党の二階俊博幹事長は13日、台風19号の被害を受けて開いた党の緊急役員会のあいさつで、「予測されて色々言われていたことから比べると、まずまずで収まったという感じだ」と語った。会議の開かれている段階でも死者が20人を超えているのにもかかわらず「まずまず」とはいったいどういうことでしょう。
◆みなさん
私は、昨年7月の豪雨災害のあと、町議会で一般質問し、次のように問題を投げかけました。
「今回の災害について湯崎英彦広島県知事は、新聞各紙のインタビューに答えていますが、話の焦点はいずれも「県民にどうすれば避難してもらえるのか」(中国新聞)、「避難せぬ理由検証を」(毎日新聞)となっています。避難も確かに重要ですが、その前に避難しなくてもよい状況をつくることができなかったのかどうかの検証が必要と思われます」
今回もこのことを強く思いました。
暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火――。日本は災害列島と言ってもいいほど自然災害が多い国です。ですからその備えをしないといけない。
しかしながら、広島県も国全体も2000年あたりから砂防予算、森林整備予算、河川改修予算など、自然災害への備えとなる予算をどんどん削っていった。
公共事業全体では40兆円から26兆円までへっています(下のグラフ)。
※公的固定資本形成とは、政府が行う社会資本整備などの投資をいいます。いわゆる公共事業です。
昨年の榎川の氾濫も河川改修や森林整備などがされていたら起きなかったかもしれないのです。
◆みなさん
このように必要な対策を怠ってきたことが災害を引き起こし、被害を大きなものにしている。
自然災害には対策をとらず、ミサイルを撃ち落とすのだといってイージスアショアに最低でも6000億円、F35戦闘機は147機も買って6兆2000億円も使う。
これらを買うことをやめ、自然災害への備え、復旧復興のために使うべきではないでしょうか。
昨年は6月に大阪北部地震、7月に西日本豪雨災害、9月には台風21号が関西地方を直撃し関西国際空港が猛烈な高潮と高波に襲われました。9月は北海道地震も起きました。
今年は台風15号が千葉を襲い、そしてこの19号です。
◆みなさん
災害が従来と異なる様相になる下で、防災・減災、被災者支援の仕組みもこれまでの枠を超えた見直しが必要です。大規模災害がもたらした被害からの復旧・復興には政府の全面的な応援が欠かせません。
住宅再建への公的支援を抜本的に拡充すべきです。現場でがんばる自治体が思い切った対策がとれる財政的な支えも急がれます。被災者支援と被災地の復旧・復興に向け、知恵と力を集めることは、災害大国日本の政治の責任です。
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