憲法のこころを聴く(1) 日本国憲法の〝こころ〟とは
イマジンと日本国憲法
ジョン・レノンのイマジン。
「想像してごらん みんな平和に暮らしているのを」
「殺したり死んだりする理由もないんだ」
「想像してごらん みんなで世界を共有しているのを」
この歌の心と日本国憲法の心はとても似ています。翻訳家の池田香代子さんも、この詞を訳しています。池田さんのイマジンの訳を読んだある青年が「憲法もこんなに読みやすかったらいいのに」と言ったことが一つのきっかになって、新しい憲法の本ができました。それが『やさしいことばで日本国憲法』(マガジンハウス)です。
この『やさしいことばで日本国憲法』は、英文による日本国憲法から池田さんが新たに「やさしい(易しい&優しい)」ことばに訳し直したもの。池田訳を読んで、「なるほど」と思い、さらに英文を読むと「うーむ」と唸(うな)ってしまいます。
この英文憲法と日本国憲法の関係は双子の関係だと、この本の「解説」でダグラス・ラミスさんが次のように書いています。
憲法の英語版を、「憲法英文」として載せている『六法』もあるが、多くの人は、「憲法の英訳」だと思っているのではないだろうか。しかし、これは歴史的にみて正しくない。憲法の条文には、もともとGHQのスタッフによって書かれ、日本語に翻訳されたものが多い。といっても、日本語の憲法を和訳と呼ぶこともまた、正確ではない。英語からの翻訳作業中に書き直されたものも多く、初めに日本語で書かれ、英語に訳されたものもある。したがって、どちらもお互いにとって「翻訳」ではない。二つのテクストは「対話」の結果であり、同時に生まれた双子なのだ。(『やさしいことばで日本国憲法』64ページ)
この池田香代子さんが訳した『やさしいことばで日本国憲法』を一つの手がかりにしながら、日本国憲法の「こころ」を探っていこうと思います。
さて、日本国憲法の〝こころ〟はどうしたら分かるのでしょうか。
「全体をよく読む」
それも大切なことです。そして、全体をよく読むうえでも、その導きの糸になるのが、実は「前文」なのです。そう、日本国憲法の〝こころ〟は「前文」にあり。
それでは、さっそく「前文」を読んでみましょう。
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