「選挙に行こう!」 第1章 選挙とは何か

②政治(主権者)教育の欠如

投票率が低い要因の2つめは、日本では政治教育、主権者教育がなされていないことです。

選挙に行かない理由としてよくあげられるのが「めんどうくさい」「政治がわからない・興味がない」「自分が1票入れたところで何かが変わるとは思えない」といったものです。こういう意見が出るには理由があります。

日本では、政治や選挙について学ぶことが「全くない」とは言いませんが、ほとんどありません。

スウェーデンの投票率は高く、2002 年が80.1%、2006 年が82.0%、2010 年が84.6%、2014 年が85.8%、2018 年が87.2% と上昇傾向にあります。

なぜ、こんなにも高いのでしょうか。

ネットで調べていたら、「NHK  for School」というサイトに以下のような記事が出ていました。

なぜ、スウェーデンの投票率は高いのでしょうか。スウェーデンの小学校6年生、社会科の教科書を見てみると、投票に行くことや、自分の意見を社会に反映させるために集会やデモを行うことが大切だと書かれています。さらに、学校内では投票か行われることかたくさんあります。例えば、学校で新しい遊具を買うとき、限られた予算で、どんな遊具にすればいいのか、全校児童で投票して決めます。高校生になると、国会に集まることがあります。大臣と国の課題について議論します。その内容は、議事録にのり、実際の政策に反映されることもあります。スウェーデンの子ともたちは、自分の意見が学校や地域、そして国の政治にも反映されているという体験をしながら、政治への関心を高めています。

子どもの頃から、投票や集会、デモの大切さを教える。選挙がどういうものなのか、自分の意見と政治のつながりについても学習と体験によって理解できるようになっているわけです。

日本はどうでしょうか。教育基本法には次のように書かれています。

 教育基本法第14条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
 2.法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

「政治的教養は、教育上尊重されなければならない」とありますが、学校のなかで政治的な教養が身につくようなことがあったでしょうか。

中学生で『公民』、高校生は『政治・経済』『現代社会』などの科目がありましたが、「政治的教養」とはほど遠いものです。

さらに酷いのが第2項の扱いです。

特定の政党を支持したり、反対するような教育、政治活動をしてはならない、というのが条文の意味するところなのですが、この前半を取り除いて「政治教育その他政治的活動をしてはならない」というふうに歪めて一般化した。

そして「政治に関わるな」という教員や親がほとんどです。ずっと「関わるな」と言われて、有権者になったら「選挙に行きましょう」と言われても、基礎知識もなく戸惑うばかりです。

若者の投票率が低いと責めるのは、お門違い。スウェーデンのような政治教育――それは教育基本法どおりの政治教育と言っていいと思いますが、実行されれば間違いなく投票率は上がります。

 

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