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2019-09-18

府中町 平成30年度決算についての意見表明

2018/9/18
二見 伸吾

 第45号議案「平成30年度府中町歳入歳出決算の認定について」「1.一般会計歳入歳出決算」に賛成の立場から討論いたします。

歳入――一人ひとりに寄り添った徴税

歳入についてですが、一般会計の町税の収納率は昨年度より0.3ポイント増え98.6%(国保税は2.4ポイント増の85.6%)となりました。税務課長は控えめで、決算特別委員会の場では仰いませんでしたが、あとで聞きましたところ、県内23市町中、一般会計はベスト2、国保会計はベスト5だそうであります。

私がうれしく思うのは、高い収納率が、苛烈な徴税活動ではなく、親身な住民に寄り添った徴税活動の結果であることです。

「生活に応じた対応を心がけ、疾病や離職等により、納付困難な方に対して経済基盤を確立できるよう、関係部署との連携を図って」きた、その努力を高く評価したいと思います。

国保においても生活保護、障害年金の受給を勧めたり、家族に厚生年金に加入している人がいる場合はその扶養になるようにといった助言していると伺いました。

こういう努力の積み重ねが不納欠損を減らすことにも繋がっており、平成29年度一般会計、不納欠損の合計は2360万円でしたが、30年度は1532万円へと減っております

府中町の財政構造

歳入173億1,920万円、歳出171億8,335万円で、実質収支額は2,320万円の黒字です。

1に近いほど財政力が高いとされる財政力指数は前年度の0.906から0.917に上がりました。

標準財政規模に対する地方債の元利払いの比率を示す実質公債費比率は、平成28年度8.8%、平成29年度は7.9%、平成30年度は7.1%へと下がっています。

一方、標準財政規模に対する将来負担すべき実質的な負債の比率を示す将来負担率は平成29年度に34.3%増えて130.7%となりましたが、30年度は113.6%へと下がっています。

昨年度の決算審査特別委員会で、繰替え運用金が平成30年5月31日に収入済みになり全額基金に繰り戻しているので数字は130.7%となっているが実質的には114%であり、平成27年の111%とほぼ同じであるとの説明を受けたとおりになっています。

この10年間、イレギュラーだった平成29年度を除けば、将来負担率は着実に下がっています。

財政構造の弾力性を表す経常収支比率――毎年度常に支出しなければならない経費に使われている一般財源が、自由に使える一般財源の総額比べてどの程度の割合を占めているか――は平成29年度の102.9%から30年度は97.5%に下がりました。29年度は業績不振による法人住民税の低迷が大きく影響し、経常一般財源が前年度比11億6000万円も減少したことによるものです。

以上のことから、当町の財政力は高く、実質公債費比率や将来負担率という指標から見る、いわゆる「借金」の支払い見通しも悪くないといえます。しかし、残念ながら当町は法人町民税収の変動が激しく、そのことが柔軟な財政支出を難しくさせている。こういう財政構造になっているわけです。

歳出の評価と要望

つぎに歳出です。

総務

証明書等コンビニ交付事業ですが、平成30年度の利用は住民票220件(1.15%)、印鑑証明144件(1.69%)、戸籍3件(0.05%)、附票1件(0.16%)となっています。今年度は伸びているようですが、コンビニでの交付率は住民票で1.7%です。このコンビニでの証明書交付はマイナンバーの普及策の一つとして実施されています。当町でのマイナンバーカードそのものの普及率は14.3%にすぎません。

マイナンバーカードが普及しないのは個人情報が漏れるおそれがあるからであり、持っていなくても不自由を感じないからでもあります。コンビニで24時間住民票などの交付を受けるのは確かに便利でしょうけれども、ついうっかりマイナンバーカードを置いてきてしまうことだってある。

住民票、印鑑証明、戸籍が必要になるのは、結婚、引っ越し、進学、就職、住居の購入など、人生の転機のときで、日常的にこれらのものの交付が必要になるわけではありません。私も56年生きてきましたが、これらの証明書の交付を受けたのは数えるほどです。毎月住民票が、いや年に1回住民票がいるなどという人はいません。

また、証明書は庁舎、南交流センター、つばき館の3カ所で交付しています。年間938万円もかけてコンビニ交付事業をする必要があるのか。見直しを求めたいと思います。

コミュニティバス運行事業ですが、つばきバスの年間乗降数18万5000人と住民の足として役立っていると思います。同時に、ルートの延伸などさまざまな要望が寄せられています。マスタープランを作成されるということですので、利用実態や要望を踏まえたものをつくり、プランに沿った改善を進めて頂きたいと思います。赤字が5000万円という言い方もされますが、民間では採算ベースに乗らないものを「住民生活の利便性の確保」のために町が実施するわけですので、必要なコストだと考えるものです。

③ホームページなど広報公聴事業についてですが、一般的な閲覧回数は29年度並みの176万5500件でしたが、豪雨災害関連の閲覧が88万もあったと説明を受けました。いざというときに役立つホームページだということです。

当町のホームページは、必要なことを比較的見つけやすく、この点も評価したいと思います。ただ質実剛健で、見栄えという点では他市町に比べてやや見劣りしています。必要なことがきちんと探せる、見つかる。これがなによりで、この点で十分合格ですが、ぜひ見栄えの点でも努力して頂きたいと思います。

教育委員会

学校運営改善推進事業についてですが、教員の負担軽減のためにさまざまな手立てが取られていることが分かりました。スクールカウンセラーを継続的に配置し、給食指導支援員を配置する.業務改善としては、部活動休養日、定時退庁日の設定、夏季一斉閉庁日の実施、町からの調査、紹介文書の軽減、教育研究レポートの休止などをされたと伺いました。

引き続き、負担軽減に取り組み、先生が子どもたちと十分向き合うことができるようにしていただきたい。

⑤残念なのは小中連携教育充実事業で、予算約1600万円のうち約600万円も残りました。執行率63.6%(H29年度の執行率は86%)です。予算は若干増えましたが、執行率は大幅に下がりました。その理由は「非常勤講師を人員不足により雇用できなかった」とのことです。

この事業は「非常勤講師の採用によって効果的な指導方法等を工夫・改善し、児童生徒の「基礎・基本」の学力の定着を図る」(平成30年度主要事業一覧)ものであり、子どもたちに行き届いた授業と教員の多忙化解消が目的だといえます。

なぜ人員不足なのかと聞きますと応募がなかったそうです。わずかなコマ数のために来てくれる人がいないということです。町としてせっかく確保した予算がこのような理由で使われないことは大変悲しむべきことです。

やはり正規職での人員増が必要であり、町単独で教員の正規職採用が難しいのならば、県に対して今以上に強く、正規職教員の大幅増員を求めて下さい。

府中南小学校のトイレ改修工事は、子どもたちや保護者の強い要望が実ったもので、とてもよかったと思います。工事もほぼ完了と伺っています。北小、東小のトイレ改修も順次実施するとのことですので早期の着手・完了を期待しております。

 ▼厚生

児童センター事業ですが、府中南交流センターにあります「児童センターバンビーズ」の年間利用者は40,600人、府中北交流センターにあります「児童センターハッピーズ」の利用者は59,000人となっています。ハッピーズをつくったことによって利用者は4万人前後だったものが両施設あわせて10万人になったことは大変嬉しいことです。

ただ、中高生の利用者数が乳幼児とその保護者、小学生と比べて少なく、中高生の利用促進をさらに図ってください。

子どもの医療費助成事業は、平成30年度で3年となりました。この3年間で事業にかかわる費用は約1億3千万円でほぼ変わりません。

全国では中学校卒業まで一部負担金なし、所得制限なしが標準です。昨年度決算の際にも要望しましたが、中学生の通院に対する助成を始めるべきではないでしょうか。

障害者通院医療費助成事業ですが、予算324万円に対して支出済額193万円、不用額131万円となっています。自立支援医療は本人1割負担です。町の制度は自立支援における自己負担分の2分の1を申請により助成するものです。償還払いであるため、せっかくの負担軽減策なのに使われていません。

県も助成を検討されているようですので、できるだけ早く、広島市と同様に窓口での本人負担をなくすようにしていただきたい。

災害復旧・防災

災害復旧関係予算は一般会計7億4,679万円、下水道会計1,274万円合計約7億6千万円です。これに災害救助費1,851万円が加わって8億円近くになる。もちろん必要な予算です。復旧周辺の町よりも被害は少なかったわけですが、それでもこれだけのお金が必要になるわけです。やはりできるだけの対策を取ることであり、豪雨災害への備えは森林整備と河川改修です。

監査委員による審査意見は「昨年の7月豪雨災害については、一級河川自体、町が直接管理しているものではありませんが、町民の災害復旧に対する行政への期待は大きいものがありました」と指摘してます。榎川の改修は県の仕事ではありますが、なかなか進捗しない。そのことが昨年の河川氾濫の原因の一つだったわけです。ここをどう打開するのか。

もう一つの手立ては森林整備ですが、町有林は町の責任で管理、整備するものです。森林整備が進めば、森が雨を受け止め、雨は一度に流れず、洪水が起きにくくなります。

度々要望してきましたが、森林整備予算が極めて少ない。改めて抜本的な増額を求めるものです。すでに崩れてしまってその復旧工事にもお金がかかるわけですけれども、大きな災害を起こさないためにぜひ森林整備を進めて頂きたい。それが人命を救い、被害を大きくしない道です。

マンホールトイレ(災害トイレ)は10カ所への整備が完了しました。 電気、ガス、水道といったライフラインとともにトイレもまた必要不可欠です。

地震、台風、河川の氾濫、浸水など自然災害はさまざまであり、どのような災害がどの程度の規模で町民の暮らしを襲うのかはなかなか想定しにくいところがあります。マンホールトイレだけで町民のトイレ需要が賄えるわけではありませんし、台風や豪雨では使えません。

内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」は、「トイレの課題は、多くの健康被害と衛生環境の悪化をもたらし、同時に不快な思いをする被災者を増やすことになり、人としての尊厳が傷つけられることにもつながる。被災者支援の中で、避難生活におけるトイレの課題は、今まで以上に強い問題意識をもって捉えられるべきである」と述べています。

災害用にさまざまな仮設トイレ、簡易トイレがあり、これらを組み合わせ、完了したマンホールトイレとともに、町内にどう整備、配備していくのか。簡易トイレは現時点で800を備蓄しているそうですが、とても足りません。今後、配備計画を立てていくと伺っておりますので、町内会自主防災会とも連携してぜひとりくんでいただきたいと思います。

以上の意見を付して、決算に賛成いたします。

ふたみ伸吾 ほっとらいん

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