府中町の待機児童解消のために(5) 12月議会 一般質問

 

5.公立保育園の復活を

廃止の際に持ち出した数字は誇大

いままで述べてきましたように、府中町は保育園の定員が子どもの数に比べてあまりにも少なすぎ、町が進めている待機児童対策では現時点での待機児ですら、なくすことはできません。焼け石に水です。ましてや年々増えていく需要にも応えられない。

いま、就学前のお子さんを持つ親たちが一番望んでいるのは保育園に子どもを預けられることです。その願いに応える努力をしなければ府中町は「広島都市圏で子育てしにくい町」と呼ばれることになるでしょう。

私はやはり、町立保育園を再びつくるべきだと思うのです。南保育所の跡地は公園になってしまいましたので、他の場所を探さなければなりませんが、南保育所と同規模のものをつくれば待機児の大半はなくなります。足らずを小規模保育などで補うこともできる。

先ほども紹介しましたが、保育園の建設費用1億9,000万円は全額町負担だと当時の福祉保健部長は全員協議会で述べています。しかし、これは事実と違います。

一般財源化で、公立保育園整備のための補助金がなくなったという誤解があるんですが、実は、国庫補助金分にあたる事業費の1/2は全額地方債を充当でき、100%交付税措置がされるのです。ですから、町の負担は9,500万円で、残り半分については、その8割を「社会福祉施設事業債」をあてることができます。交付税措置はありませんが、単年度に負担がかかるということがない。

運営費についても「国庫負担金の一般財源化に伴い、地方交付税の算定に当たって、従来の国庫負担金分も含めた地方負担の全額について基準財政需要額に適切に措置されるよう、各市町村の実際の公立保育園の入所児童数に応じた補正を行っております」と高市早苗総務大臣(当時)が国会で答弁しています(2015年3月24日総務委員会)。

ですから、南保育所廃止の経緯のところで紹介した、当時の福祉保健部長による説明は、明らかに誇大宣伝なんです。

町立保育園の復活を

名古屋市で公立保育園が廃園民営化になったとき、それを受託した園の園長さんが次のように書かれています。

「公立保育園の保育を見れば、そこの自治体の、保育に対する姿勢や思いが見て取れると思います。自分たちの子どもを大事に守ろうとしている自治体なのかどうか、働く親世代を支援しようとしているのかどうか、公立保育園の保育を見ればわかるのです。そんな自分たちの表現の場であり、大事な核となる保育所を『全廃』しようとさえしている自治体』があることに、『いったいどっちを向いて仕事をしているの?』と大きな疑問を感じます」

「困ったときには、『わが街に公立保育園がある』という安心感。それこそが公立保育所が担ってきた責任なのではないでしょうか」

(平松知子『保育は人 保育は文化』ひとなる書房)

さて、最後の質問です。わが町はすでに町立保育園を全廃してしまいました。と言っても一つしかなかったわけですけれども、たった一つの町立保育園さえなくし、待機児童が増えています。

そこでお尋ねします。

⑥待機児をなくすためにも、子どもたちのよりよい未来のためにも、子育てしやすいまちにするためにも、町立保育園を復活させるべきだと考えますが、町にはそのような考えはありませんか。

福祉保健部長
平成16年に行われました三位一体改革等の影響により公立保育所の運営費や施設の整備に係る国の負担が廃止され、その全額が地方交付税の基準財政需要額に算入されることとなりました。一方、民間保育所については、市町村が設置する公の施設とは異なり、その運営費の国庫負担は引き続き国が責任を持つとされました。これにより、公立保育所の運営や整備に対する経費は、町の一般財源からの支出となり、町の財政負担が増える厳しい状況となりました。

行政は、限られた財源の中で最大の効果をあげるために、効率化を図っており、より少ない経費で同じサービスを提供できる方法があれば、その方法を検討し取り組んでいくことが必要であります。町においては、育児と就労の両立支援を行なうとともに、今後見込まれる保育所の定員超過、潜在的な待機児童の解消、また、老朽化した南保育所施設の今後のあり方が大きな課題となりました。

これらの状況に対処していくには、効率的・効果的な保育所運営を図って行くとともに、待機児童を出さないため、また多様化する保育需要に対応した保育施策の一層の充実が必要であります。南保育所を廃止し、その代替施設として民間の認定こども園を活用することによって、施設の維持費また建築費及び保育所運営にかかる経費を削減し、削減した経費を待って定員超過の解消や保育サービス及び子育て支援の充実を図っているところでごさいます。

また、町内2ケ所の私立保育所は、南保育所より歴史が長く、先行して保育事業を行なっておられました。私立保育所においては保育業務のみならす、延長保育・休日保育・一時預かり事業、地域子育て拠点事業など、新たな特別保育メニューが開始された際も率先し取り組まれるなと、本町の保育行政に多大な貢献をされております。

このように保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応できる民間保育所の役割は大きいものと考えており、町立保育所の復活については、考えておりません。

 

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