府中町の待機児童解消のために(8) 質問をおえて

(1)答弁は、府中町には少なからぬ待機児童が存在し、「町として対策が必要」という認識を示したうえ、「新しい需要数に沿った保育環境の整備を計画し保育事業を実施」し、「公募による保育所整備についても検討し、見直しました保育需要数の確保を図」ると明言したことは評価すべき重要な答弁だと思う。

(2)南保育所廃止を決める際、私立園なら国の補助があるが、公立園なら全額町の負担で賄うかのような説明は事実とは異なるのではないか、公立園であっても建てかえの費用について保育園の運営費についても私立園と変わらない補助があると指摘したが、2回目の答弁でそのことを町は認めた。これは、財政面で南保育所を廃止する合理的な理由がないことを認めたに等しい。にもかかわらず「当時の町の見通しについては間違いではなかった」と強弁した。

(3)建設費も運営費も公立私立ともに同様の補助があるということは、「公立は高コスト」というのも事実とは異なるということだ。違いがあるのは、人件費が公立は相対的に高く、私立は低いという点である。このことも町長は認めた。

(4)そして、この官民格差こそ、保育士不足を生みだしている元凶である。保育士不足をなくしていくために、保育士・職員の処遇改善を急がねばならず、今後は私立保育園でも人件費を上げていくことになるだろう。そうすれば運営費の差は縮まっていくことになる。コストにおける官民格差は縮小するということだ。

(5)にもかかわらず、「公立園は高コスト」という誤った前提で、それでもなお「公立園を維持する必要があるのか」という問いを立て、私立園の方がよりよいという結論を導き出している。

(6)私立保育園が、重要な役割を果たしていることはその通りだが、公立保育もまた、①地域の表人的な保育水準の維持・底上げ、②地域の子どもの状況を町直営の施設として把握する、などの私立にはない役割を担っている。そのことを質問で述べたが、この点についてはいっさい触れることなく、「高コストの公立保育園を維持する積極的な理由はない」と廃止したことを合理化している。

(7)「公立園では保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応できないのか」という質問に対して「公立保育所が効率的、弾力的な対応ができないとは考えておりません」と受けつつ、「私立保育所は柔軟に迅速に対応できる」という。やはりこれは、公立保育園は硬直していて、迅速な対応ができない」と述べているに等しい。質問のなかで「公務の敗北宣言」だと私は述べた。

町長は、休日保育や延長保育の対応が「後塵を拝した」、遅れをとったという。しかし、なぜ後れを取ったのかについての説明はなかった。

休日保育や延長保育は保育士の労働条件の変更を伴う。そこに慎重な論議があったとしても不思議ではない。一方、私立保育園は労働組合の存在するところも少ない。職員の意見を聞かずトップダウンで、これらの措置を決めることが可能であり、「迅速な対応」ができる理由である。この「迅速な対応」の裏面は職員の労働条件の一方的な不利益変更であり、こういうことの積み重ねが、賃金とともに保育士不足を生みだしている要因だということに留意しなければならない。

(8)町長は「広島都市圏で一番の子育てしやすいまち」の実現について、「一つひとつの施策・事業がすべて1番ということではなく、結婚、妊娠、出産、育児、子育てを切れ目なく施策を展開し、それを「志を育む教育のまち」をつなげてトータルでナンバーワンの町にしたい」と述べた。

すべて1番でなくてもいい。しかし、県内ワーストワンという現実は一刻も早くなくさなければならない。

町長も「大変な作業になるので少し時間がかかるが、そうはいってものんびりするような話ではないので、具体的なスケジュールを含めて最大限の努力をしたい」と答弁した。

待機児解消は急務である。ぜひ答弁通り最大限の努力を持って待機児解消をはかっていただきたい。

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