府中町の待機児童解消のために(6) 12月議会 一般質問

 

《2回目の質問》

(1)まず、府中町の待機児童数の現状に対して「町として対策が必要」であり、今後についても「新しい需要数に沿った保育環境の整備を計画し、保育事業を実施していきたい」という認識を示されました。ぜひ、一刻も早く具体化するようお願いいたします。

(2)プラチナ保育手当事業は、待機児童対策に直接つながるものでないと明言され、安心いたしました。今後とも、無資格者による保育を公的保育に代わる措置と位置づけることがないようにお願いします。

(3)南保育所の廃止についてですが、「南保育所が存続していた場合、代替施設である認定こども園が存在しない」。だから「潜在的な待機児童と南保育所の閉園は、直接的な関係がない」と言われました。

「認定こども園」を新設する際に既存の保育園を廃止しなければならないといような決まりはどこにもありません。「直接的な関係がない」のは南保育所の廃止と認定こども園の開園の認定です。

老朽化した南保育所の建替えや運営に「多額の経費が必要」だから、町立保育園を廃止し、その代わりに名乗りを上げた法人に「認定こども園」にまかせた。南保育所の定員120人を超える定員に現在なっていますが、160人ですので、1回目の質問でも言いましたように純増は40人です。

全国で待機児童が増え始めたのは1990年代半ばからです。広島市はどうだったのか広島市の保育指導課に問い合わせたところ次のような回答を得ました。

「本市においての市議会の議事録等を調べてみたところ、「待機児童」という言葉が初めて出始めたのが平成8年(1996年)頃となっており、全国的な時期とも一致しますので、本市でも同様に1990年代半ばと言えるのではないかと思います」

広島市で起きていることが、広島市に取り囲まれている府中町で起きないはずがないではありませんか。そして事実、このように問題になっているわけです。府中町で2010年には目立った待機児童がいなくても将来的には起こると考えるのが当然です。

(4)三位一体改革は、地方への税源移譲をはるかに上回る国庫補助負担金と地方交付税を削減するもので、地方自治体の財源不足を生みだし、地方財政に打撃を与えていることは事実です。しかし、だからといって公立保育園が維持できないとか、新たな園舎を建てることができないわけではありません。「国の負担が廃止された」というのは正確ではありません。答弁にもありましたが全額が地方交付税の基準財政需要額に算入されているわけです。

使い道は特定されなくなったが、そのためのお金は引き続き交付税として支給されている。あとは町の判断で算入されている額を公立保育園のために使うかどうかなのです。

1回目の質問でも申しましたように、①保育園を建てる費用も半分、交付税措置があるわけです。運営費も公立保育園の入所児童数に応じた補正があるんです。私のこの説明は間違っているんでしょうか。

福祉保健部長
議員ご指摘のとおり、保育所整備費においても、運営費においても、当時も現在も交付税措置がございます。整備費については、現在は、地方債の70%が措置されております。また、運営費についても、基準財政需要額で措置されておりますので、議員の説明は間違いではございません。

②県内の市町のほとんどが公立保育園を運営しているのに、府中町が町立保育園を維持できない、財政上の特段の事情があったのでしょうか。ただ単に「民間の方が安く済むから」という理由だったのではないですか。

福祉保健部長
保育は、行政の責務であり、児童の健全育成のための保育の質の向上に努めているところです。南保育所の閉園につきましては、議員ご指摘のように「単に民間の方が安く済むから」という理由ではなく、町の保育の質の維持・向上のためにも、老朽化した南保育所の建て替え問題は避けて通れない問題であり、その検討について、平成17年の府中町集中改革プランの中で、公立保育所の民営化について検討を開始して以来、平成27年席末に閉園するまで、10年かけて、在園児保護者の説明会等も含め議論を重ね、真摯に対応して参りました。

民間にできることは民間に委ねることで、行政として対応しなければならない新しい政策課題などに重点的に対応した効率的な行政体制を実現することも可能となります。財政的な問題だけでなく、総合的に判断した結果でごさいます。

(5)私は町立保育園の復活、新設を提案しているわけですが、部長は「より少ない経費で同じサービスを提供できる方法」として町立園の廃止と民間の認定こども園の活用を選んだと答弁されました。この点についても私は1回目の質問で述べましたが、保育園における経費の差をつくり出しているのは保育士・職員の処遇、とりわけ賃金格差にあるわけです。賃金が低ければ経費が安くすむのは当然です。

考えなければならないのは待遇の悪さが保育士不足をつくり出しているということです。民間保育園の保育士・職員の待遇改善を進めていけば、官民保育所の経費は縮小されていきます。人件費を除けば「公立だから経費がかかる。私立だから安い」ということはないんです。
そこで質問です。

③公立保育園の廃止、民営化は処遇改善に逆行していると思いますが、この点についての見解をお聞かせ下さい。

福祉保健部長

議員が指摘されました、処遇の悪さは保育士不足をつくり出している一因と思います。
処遇改善は民間の保育士の処遇を改善するもので、待機児童の解消に向けて保育の受け皿を進めていく中で保育の担い手をどう確保していくかは重要な課題であります。

保育土の処遇を改善することは人材確保を図る上で必要な手立てであり、民間保育士の給与アップにつながるものです。町としても、国の施策に従い、しっかりと処遇改善に取りくんでまいります。

(6)「保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応できる民間保育所の役割は大きい」と答弁されました。民間保育所の役割は大きいということを否定するつもりはありません。しかし、「保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応できる民間保育所」という表現に私は違和感を感じました。ひっくり返せば、公立保育園は柔軟さや弾力性を持つことができないということなのでしょうか。これは公務の敗北宣言に等しい。

今年、第193通常国会において地方独立法人法が改悪されました。地方独立行政法人が行うことのできる業務を列挙した21条(業務の範囲)に、新たに窓口業務で「定型的なもの」を加え、対象となる業務を別表に示しました。別表には、戸籍、住民基本台帳、マイナンバー、国民健康保険、高齢者医療、国民年金、介護保険、障害者福祉、母子保健、児童手当をはじめとした広範な業務をあげています。これらを町の「直営」から独立行政法人へと民間委託しようということです。

法律はすでに変わりました。これ以上の「官から民へ」の流れを止めることができなければ、現業だけでなく一般事務の職員のみなさんも、公務員ではなくなります。独立行政法人で現在の処遇が確保されるかどうかも分かりません。効率化が求められるのですから削減の方向に動くことになるでしょう。

私は、保育園はもちろん、その他の仕事も公務だからこそできることがあると考えています。公立だから、公務だから、硬直している、高くつく、効率が悪いと自らいってしまっては身も蓋もないではありませんか。

そこで質問です。

④公立園では保育ニーズに柔軟かつ弾力的に対応できないと考えられているのでしょうか。

福祉保健部長
公立保育所が効率的、弾力的な対応ができないとは考えておりません。しかし、公立保育所は町の行政組織の1つであるため、予算の制限がありますし、事業の実施については法令等に基づいた手続きを経ることも必要になり、迅速な対応にかける面もございました。それに対して、私立保育所は柔軟に迅速に対応できるものでございます。

→第3回目の質問と町長答弁

 

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