府中町における密集市街地整備と「街づくり」について(2) 2018年6月議会一般質問

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第2回めの質問

ふたみ議員 密集市街地の整備に関わって、さらに3点ほどお尋ねします。

住宅の耐震リフォーム助成の拡充

建替え資金確保の一助として、「住宅リフォーム・耐震診断・耐震改修に対する補助を昨年度(2017年度)から実施しており、積極的に活用してほしい」、ということでした。しかし、耐震改修への助成は額も件数も少ないと聞きました。

耐震改修費ですが、宮城県の資料がありましたので紹介しますと、100万円から200万円が一番多く50%、ついで201万円から300万円が26%となっています。このように耐震改修には多額の費用がかかります。

当町の場合、耐震改修への助成は費用の23%、限度額は40万円です。

県内でみますと、工事費用の2分の1を補助する自治体が4つ(竹原市、大竹市、府中市、江田島市)、3分の1を補助する自治体が6つ、23%が当町を含め7つ、補助なしが6つとなっています。このように23%という国基準(国と市町村で折半)の補助率に独自に積み増しして、3分の1、2分の1を補助いる市町が県内でもあるのです。

宮城県は、1978年の宮城県沖地震で死者27名、重軽傷者10,962人、建物の全半壊7500戸という被害がありました。そのこともあったからだと思いますが、市町村の補助額の一部を県が負担しています。岡山県も県の助成があるようです。しかし、広島県は補助がありません。県の助成があってしかるべきだと思います。

住宅密集地における家屋倒壊は、避難通路を塞ぐことにもつながります。地域全体の安全性向上のためには耐震改修の対象件数・助成率・上限額を抜本的に引き上げることが必要だと考えます。

耐震リフォームを促進するために、予算を増額し、対象件数・助成率・上限額を引き上げるお考えはありませんか。また、県に対して助成を求めるおつもりはありませんか。

(2016年熊本地震で倒壊した家屋。益城町にボランティアにいったときに撮影)

都市整備課長 二見議員のご質問について、答弁させていただきます前に、本町で行っている住宅に問する補助制度について、説明させていただきます。

本町では、住宅に関する補助制度は5件ございます。

既存住宅の耐震性能向上を目的としたものが2件、土砂災害特別警戒区域の住宅移転等に関するものが2件、子育て世帯のリフォームに関するものが1件です。

耐震性能向上を目的としたものは、耐震診断に関して2/3上限2万円を補助するものと、診断に基づいて行う改修に関して23%上限40万円を補助するものの2件です。

本年度予算では、耐震診断5件10万円、耐震改修1件40万円を見込んでおります。

現在のところ、4月からの約3ヵ月間で、耐震に関して寄せられた相談件数は、耐震診断1件、耐震改修2件で、交付実績はどちらもまだ0件です。

なお、昨年度の相談件数は、耐震診断了件、耐震改修了件で、交付実績は耐震診断1件、耐震改修0件となっています。

リフォーム補助に関しましては、3件90万円の予算を計上させていただいておりますが、これは子育て世帯の住環境の向上を目的としており、対象となる住宅は、すでに耐震性能が確保されている木造住宅に限っておりますので、耐震改修とリフォームの両方で利用できる補助制度は、現在のところございません(リフォームH29相談6件実績0件、H30相談5件実績3件)。

国への追加要望や翌年度予算を確保

それでは、ご質問の耐震リフォームを促進するために、予算を増額し、対象件数・助成率・上限を引き上げる考えはありませんか。また、県に対して助成を求めるつもりはありませんか」について、答弁させていただきます。

耐震診断及び耐震改修に問しては、議員ご指摘のとおり、国の補助制度の範囲内で、補助を行っております。

予算で想定している件数は、耐震診断5件、耐震改修1件ですが、申し込み状況がこれを上回った場合は、国への追加要望や翌年度予算の確保等によって対応することを考えております。

助成率・補助上限につきましては、現在のところ国の補助制度により設定しておりますが、今後、利用者のニーズを把握していく中で、要望等が多ければ、県の助成制度に対する要望を含めて、検討してまいりたいと考えています。

ブロック塀をなくしていくことへの助成

ふたみ議員 18日の大阪北部の地震で、高槻市の小学校のプールのブロック塀が約40メートルに渡って倒れ、小学校4年生がその下敷きになって亡くなりました。まことに痛ましいことです。あのブロック塀は建築基準法に反したものだったようですが、違法建築でなくても大地震の際にはブロック塀による被害が起きています。1978年の宮城県沖地震では18人の方が亡くなりました。1995年の阪神淡路大震災のときも倒壊が相次ぎました。ブロック塀の下敷きになる被害が比較的少なかったのは地震発生時刻がたまたま早朝だったからにすぎません。

 

当町の密集市街地において、狭い道路の両側がブロック塀というところも少なくありません。大震災が起き、ブロック塀が倒壊すれば逃げ道を失います。ただでさえ消防車や救急車が入りにくいのに、ブロック塀によって道を塞がれては、なすすべもありません。

危険なブロック塀をなくしたり、生け垣にすることに対して助成している自治体があります。2009年の調査で、55自治体です(環境省「ヒートアイランド対策の計画的実施に関する調査報告」)。10年前の調査ですので今はもっと増えていると思われます。密集市街地が少なくない当町で、危険なブロック塀をなくして、塀のないオープンな外構あるいは生け垣に変えていくことはきわめて有効な街の安全対策です。第1回目の質問で、美しい街並みの条件として「敷地を塀などで囲むのではなく、街路と敷地を区切らない開放的な外構」を挙げましたが、ブロックなどによる高い塀をなくしていくことは、大震災から街を守る条件でもあります。

当町でもブロック塀の除去に対して助成制度をつくるべきだと考えますが、町としての見解をお聞かせ下さい。

都市整備課長 当町でもブロック塀の除去に対して助成制度をつくることについては、県や周辺市町の動向をみるなど、今後の課題としていきたいと思います。

公営住宅を増やす計画

ふたみ議員 密集市街地整備の困難のひとつとして「低家賃の借家を必要とする高齢者などに対して、公営住宅の提供などの居住の安定を確保することが難しい」ということが一般的には言われているが、当町としてはどうかという先ほどの質問に対して「民間及び広域的な行政間の連携の強化」と「公営住宅の情報提供」によって住まいの不安を軽減するということで、残念ながら町営住宅を増やすという回答はありませんでした。

昨年(2017年)9月の第4回定例会において、私は町営住宅について一般質問いたしました。町営住宅は現在6住宅ありますが、そのうちの4つは老朽化によって募集停止。入居可能なのは青崎東住宅と本町住宅の2つ、56戸にすぎません。府中町2万1千世帯のわずか0.3%。県内市町の平均は4%ですので圧倒的に少ない。他市町並みなら1000戸はないといけない。しかし、町の計画はあと44戸つくって100戸にするというものです。

町民のみなさんから町営住宅に入りたいという要望は多い。密集市街地整備をするということは古い木造賃貸住宅を建替えていくことを伴います。建替えられた住宅の家賃は数倍に跳ね上がるので入居者は戻ることができない。

ですからその移転先としても公営住宅が求められます。

町の計画である100戸にみあう住宅建設を急ぐとともに、町営住宅建設の計画を見直すことが必要です。町として再検討するつもりはありませんか。

都市整備課長 町営住宅の建設計画につきましては、平成29年3月に改定した府中町住宅マスタープランに示しておりますが、策定からの経過年数も少ないこともあり、民間事業者の動きは、ほぼ変化なく非常に活発な状況が続いておりますので、現在も住宅の需要と供給のバランスが十分に取れている状況であると考えております。

このような中で、町営住宅につきましては、住宅マスタープランに示しておりますように、従前より整備されていた町営住宅供給規模100戸を維持していくこととし、計画的に町営住宅の長寿命化及び老朽化した町営住宅の集約化を、今後も進めていきたいと考えております。

第3回めの質問

ブロック塀の除去に対する助成制度についてですが、今回の大阪北部地震によってブロック塀に対する関心が高まり、不安が広がっています。ブロック塀の除去およびそれに対する補助についての関心も高まっています。

2016年の熊本地震でも、ブロック塀が倒壊し1人が死亡、もう1人の方が大けがし障害が残りました。

そもそもブロック塀は大変重い物です。厚さ10センチのブロック一つが10キログラム。高さ19センチ、タテ8段で高さ152センチ=80キログラム。幅は39センチですので、横5列で約2メートル。タテ8段横幅2メートルであれば400キロ、横幅4メートルなら800キロにもなります。それが倒れてくるのです。幅2メートルでも十分殺傷能力がある。

とくに1981年以前の古い耐震基準で作られた塀には危険な物があるわけです。今回の事故をきっかけに、不安に思い、ブロック塀の撤去を検討する方も出てくるでしょう。そんなとき、撤去費用の一部を町が負担するしくみがあれば、撤去へのバックアップになります。関心の高まっている今こそ、制度をつくり、制度を周知していくべきです。

答弁は「周辺市町の動向をみる」、様子見ということです。しかし、周辺市町は府中町と同じように密集市街地を抱えているわけではありません。先ほども述べましたように、ブロック塀の倒壊によって死傷者が出るばかりでなく、避難、消防、救急の障害になる可能性、危険性が他市町より高い。それはまた、他市町よりもブロック塀撤去の公共性・公益性が高いということです。

だからこそ、府中町は先んじて対策を打ち、トップランナーとなって周辺市町に広げていくことが必要です。

ブロック塀撤去への助成が一日も早く実現するよう重ねて要望して、私の質問を終わります。

 

 →第1回目の質問

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