国保増税のエスカレーターに乗るな!
第16号議案 府中町国民健康保険税条例の一部改正について」反対討論いたします。
昨年の第2回定例会、第3回定例会の一般質問で、国民健康保険の県単位化に伴って、保険税が大幅に上がる可能性があり、危惧の念を表明してきました。
今回提案されている国民健康保険税条例の一部改正案は、この危惧の通りの結果となっています。
この条例改正に反対する理由は4つです。
(1)所得が減るなかでの負担増
第1に今回の条例改正によって、保険税が上がり国保世帯の負担が重くなることです。 2月1日付「中国新聞」にも載りましたが、平均保険料では現行の13万2372円から12万7414円、激変緩和終了後で12万9021円となる。この新聞記事を読まれた方は「3000円ぐらい安くなる」と思われたでしょう。
しかし、実際にはそうでない。安くなる世帯もあるけれども、6割の方が増税になります。 町の示した資料には、「92%の世帯が1万円以内の上昇となり、影響額も少なくな」ると書かれています。
はたしてそうでしょうか。消費税が8%になる直前(2014年)と比べて勤労者世帯の実質可処分所得は月平均45万円から43万円に、実質消費支出は月33万円から31万円に減っています。
公務員は5年前に400万円も減らされた退職金がさらに80万円減らされる。公務員も退職すれば国保になります。
収入は減る方向で動いている。その一方で食料品など物価が上がっている。介護保険もこの4月から上がる。来年には消費税10%増税も待ちかまえている。入るものは減り、出て行くものは増えていくわけです。
比較の方法にもよりますが、府中町の国保税は広島県内で決して安いとはいえない水準にあります。だから私たちは一世帯当たり1万円の引き下げをすべきだと主張してきたわけです。しかし、今回、引き下げどころか引き上げにカジを切ったわけです。
所得が減るなかで負担を増やことには賛成できません。
(2)今回の引き上げは出発点にすぎない
第2に、今回の保険税引き上げは、平成30年度限りではなく、スタート地点に立ったに過ぎないことです。今回の税率の改定は、国保の県単位化に伴うものであり、そのゴールは平成36年(2024年)です。
このゴール地点の標準保険税率においても6割の方が大幅に保険税が上がります。
年額10万円も上がる世帯もあります。5万から10万円上がるのが226世帯、4万から5万円上がるのが164世帯、3万円から4万円が252世帯、2万円から3万円が一番多く、504世帯となっています(下の資料の2ページ)。
町の示したモデルケース2、世帯主(42歳)、妻(40歳)子ども2人、給与収入350万円の場合、H30年で上昇額は8900円ですが、6年後には5万円近くなり、年間保険料は40万円近い。協会けんぽで給与収入350万円(月収25万円掛ける14か月)の場合の保険料は労使折半ですので21万円ほどです。
また、健保にはない均等割が国保にはありますので、世帯人員が多いほど負担が重くのしかかるわけです。
「激変緩和」の名の下にこのゴールにむけて段階的に税率の構成を変えてゆく。私は、全員協議会で「保険税引き上げのエスカレーターにのるものだ」と批判しました。
町長は「そうではない。そのつど判断していく」と言いましたが、ゴールが決まっている以上、あとはゴールに向けてどのように登るか、いつどのようなタイミングで引き上げていくかということでしかありません。
(3)「激変緩和」というまやかし
第3に今回の値上げが「激変緩和」という人を欺く手段を使っていることです。
1月30日に厚労省が開いた「全国高齢者医療・国保課長会議」においても、「各市町で改革を円滑に実施する観点から、30年度の負担水準に激変が生じないよう、財政調整基金の活用なども含めて丁寧な検討を是非お願いしたい」(鈴木俊彦保険局長)「制度施行時の激変緩和のための新たな保険料減免の基準を設けて対応することも含め、各市町村の十分な検討をお願いしたい」(鳥井陽一国保課長)
「円滑な実施」とは、苦情や文句がでないということでしょう。1度に5万円上げると悲鳴があがるから、6年かけて徐々に負担を増やすことによって「円滑に実施」する。負担の軽減ではなく、円滑に実施するための徐々に上げる。きわめて姑息なやり方です。
(4)市町の判断は奪われる
第4にこれまで市町は、一般財源から繰り入れて国保税を引き下げることができました。
しかし、県単位化によって市町の政策的判断・裁量は奪われていきます。県は、県単位化のもとで繰入は一切しないと述べていますので、国保税は今後青天井で伸びていくことになるでしょう。
市町からの繰入をなくすための県単位化ということも言われていますが、繰入をなくすことによって町民の暮らしが苦境に立たされることがあってはなりません。制度変更によって保険税が上がる世帯に対して、その暮らしを守る手段を市町はもたなくなる。
このことの持つ意味についてもぜひ考えていただきたい。
以上、4点を述べ反対の討論といたします。
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