AI時代の会議録公開

AIが苦手な検索システム
先日、ある議会について、過去の会議録から特定のテーマに関する議員の発言を集めようとしました。
その議会には、会議録検索システムがあります。年代を指定し、人名やテーマなどのキーワードを入力すれば、該当する会議録が出てきます。
そこで私は、AIに「このテーマについて、何年から何年までの発言を全部拾ってほしい」と頼んでみました。
ところが、うまくいきません。
会議録そのものは公開されているのですが、専用の検索システムを介して閲覧する仕組みになっているため、AIから個々の会議録本文にたどり着くことが難しいようなのです。
AIならPDFを検索できる
では、府中町議会はどうでしょうか。
府中町議会には、まだ会議録検索システムがありません。会議録はPDFデータとして議会のホームページに掲載されています。
この方式では、必要な発言を探すのが大変です。一つずつPDFを開き、どこに何が書いてあるのか探さなければなりません。
たとえば「子どもの医療費」について調べようと思っても、いつ、どの議会で、誰が発言したのか見当さえつかなければ、片端から会議録を読んでいくしかありません。
ところが、この不便だったPDFをAIに読ませると事情が変わります。
特定の言葉やテーマを探し、複数年にわたって発言を集めることができる。AIが、いわば会議録検索システムの役割を果たすわけです。
「この10年間、学校給食について議会ではどんな議論があったのか」
「この制度について、最初に質問した議員は誰なのか」
「町の答弁は10年前と現在でどう変わったのか」
そんな問いを投げかけ、膨大な会議録の中から必要な部分を探し出すことができます。
一つずつPDFを開いて調べるのでは、とても時間がかかります。
AIなら複数のPDFを横断して探すことができ、調べ方によっては会議録検索システムより便利な場合さえあります。
検索システムとPDFの併用
インターネットの普及によって、会議録の公開も変わってきました。
「紙」の会議録からPDFによる公開へ、さらに会議録検索システムによる公開へ。検索しやすく、使いやすい方向へ進んできたといえるでしょう。
その流れから見ると、PDFをホームページに並べるだけの方式は、少し時代遅れに見えます。
ところがAIの時代になってみると、そのPDFに再び光が当たることになりました。
どの議会にも長い歴史があり、膨大な会議録が蓄積されています。そのすべてに目を通すことは、ほとんど不可能です。
しかし、それぞれの課題意識に基づいてAIに問いかけ、必要な情報を探し出せるようになれば、過去の会議録はこれまで以上に活用できる資料になります。
会議録は公開すること自体に意味があります。同時に、そこに記録された議論を探し出し、現在の議員活動や住民の調査に生かすことも大切でしょう。
だからといって、PDFを置いて「あとはAIで検索してください」というわけにはいきません。
誰もがAIを使って会議録を調べるわけではなく、住民が自分で言葉を入力し、必要な発言を探せる会議録検索システムの役割は、これからも重要な役割を果たすでしょう。
一方、これまで検索にはほとんど向かなかったPDFの会議録が、AIによって横断的に探せる資料になりました。
時代遅れに見えたPDF公開に、新しい価値が生まれたわけです。
会議録検索システムとPDF。それぞれの長所を生かして併用する。AI時代の会議録公開は、そんな形がふさわしいのではないでしょうか。
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