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2026-09-22

市になることはシティプロモーションになるのか?

住民サービスはよくならない

9月議会の一般質問で、府中町のシティプロモーションについて取り上げました。

寺尾町長は、府中町が「市」になることを、一大イベントであり、町の知名度を高める機会になる、シティプロモーションだと説明しています。

私は、町の名前を売り込むことよりも、まず住民の暮らしをよくすることの方が大切だと考えています。今回の市制移行によって住民サービスがよくなるわけではないことは、町長も認めています。

住民サービスがよくなるわけではないのに市にする。ここが最大の問題です。

さらに、町長のいう「市になることがシティプロモーション」というのも疑わしい。

そもそもシティプロモーションとはいかなるものなのか、ということを考えてみましょう。

シティプロモーションとは簡単に言えば、町の魅力をつくり、それを必要とする人に伝えることです。

大切なのは、まず「何を売りにするのか」があること。そして、「誰に伝えるのか」「何をめざすのか」がはっきりしていることです。

さらに、町民自身が「この町はいいところだ」と思えることも大切です。

外向けの宣伝だけでは長続きしません。暮らしている人の愛着や誇りがあってこそ、外への発信にも説得力が生まれます。

全国で成功例として紹介される自治体を見ると、この点がよく分かります。

千葉県流山市は、共働きの子育て世帯を対象に絞り、「母になるなら、流山市。父になるなら、流山市。」と発信しました。

しかし、広告だけで人が増えたのではありません。鉄道の開通、住宅開発に加えて、保育所や送迎保育ステーションなど、子育てしやすい実態をつくったうえで、それを発信したのです。

兵庫県明石市も、子どもの医療費や保育料、給食費など、暮らしの中で実感できる施策が評判になり、口コミや報道で広がりました。

北海道東川町は、40年以上にわたって「写真の町」を育て、写真文化だけでなく、景観を守るまちづくりにもつなげています。

つまり、成功している自治体には、発信する前に、発信するだけの中身があります。

 

市になると魅力は生まれるのか

では、府中町が市になったら、どんな新しい魅力が生まれるのでしょうか。

一般質問で町に聞きました。

答弁は、市制施行そのものによって、直ちに新たな価値が生まれたり、人口の維持や企業誘致につながったりするものではない、というものでした。

これは大事な答弁です。

市になれば知名度が上がる。知名度が上がれば人口が増え、企業も来る。そんな単純な話ではないことを、町自身が認めたからです。

市になることをきっかけに情報発信して、その中長期的な効果が出るのを待つというのが町の考えです。

しかし、誰に何を伝えるのか。市になることで何を売り込むのか。そして、それがなぜ人口の維持や企業誘致につながるのか。そこが、はっきりしない。

私は、市制移行はシティプロモーションとしても失格だと思います。

宣伝するために市になるのではなく、まず町の魅力を育て、その魅力を発信する。それが順番ではないでしょうか。

 

「人口日本一の町」と「人口日本一の村」の交流

そこで私は、府中町だからこそできるシティプロモーションを提案しました。

府中町は「人口日本一の町」です。

そして沖縄県読谷村は「人口日本一の村」です。

「人口日本一の町」と「人口日本一の村」が交流する。これだけでも、分かりやすく、面白い組み合わせではないでしょうか。

しかも府中町と読谷村には、もう一つ深いつながりがあります。

1982年、府中町は非核町宣言を行い、読谷村も同じ年に非核宣言をしました。

府中町の呼びかけで開かれた非核自治体のシンポジウムには読谷村長も参加し、その後、全国組織をつくる準備にも、両自治体の職員が関わりました。

40年以上前から、平和を願って一緒に歩いた仲間だったのです。

この縁を、いまの子どもたちにつなぐ。

府中町の子どもたちは沖縄戦を学び、読谷村の子どもたちは広島の被爆の実相を学ぶ。オンライン交流なら、大きなお金はかかりません。

さらに、スポーツ、文化、食へ広げることもできます。

中高生のサッカー交流、将棋交流、エイサー、府中町の日本酒「安芸椿」と読谷村の泡盛「残波」。全部を一度にやる必要はありません。できるところから、小さく始めればいいのです。

町は、この提案について、姉妹自治体のような内向きの交流が中心になるという見方を示しました。

しかし、私が提案したのは、二つの自治体が仲良く交流して終わり、という内向きの話ではありません。

 「人口日本一の町」と「人口日本一の村」という分かりやすい組み合わせを生かし、交流するたびに、その様子を町外、村外へ発信していく。これは十分に外向きのシティプロモーションです。

首長どうし――読谷村長と府中町長のオンライン対談、広報紙やSNSでの相互紹介なら、ほとんどお金をかけずに始められます。

そして毎年交流を続ければ、そのたびに新しい話題が生まれます。市制施行は一度きりの出来事ですが、交流は何年にもわたって育てることができます。

 

府中町のままで、府中町のよさを育てる

町は、市制移行には2億円以上の経費がかかるとしています。

しかも、市になれば「人口日本一の町」という、府中町がいま持っている全国で唯一の看板はなくなります。

わざわざ大金をかけて看板を捨てるのか。

それとも、いまある看板を生かして、人口日本一の村と手を結び、平和、文化、スポーツを通じて交流し、その姿を全国へ発信するのか。

私は後者の方が、はるかに府中町らしく、しかも効果的なシティプロモーションだと思います。

シティプロモーションは、市にならなければできないものではありません。

町のままでも、暮らしをよくし、町の魅力を育て、面白い企画を考えて発信することはできます。

市になることにお金を使うより、府中町のままで、府中町のよさをもっと育てていく。

私は、その道を選びたいと思います。

府中町は府中町のままがいい。

やっぱ府中町じゃね。私はそう思います。

⇒一般質問 府中町のシティプロモーションについて(2026年9月議会)

ふたみ伸吾 ほっとらいん

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