西議員の「非国民」発言は許されない
1.反省するどころか開き直る
3月8日開会の2019年度府中町第1回定例会で、私は議会運営委員会委員長報告をしました。
そこで昨年12月議会であった西友幸議員(副議長)の「非国民」発言について次のように述べました。
四つ目として、議場での発言(議会の品位の保持)について審議しております。これは、昨年12月議会の発言を受け、議場での発言の際、遵守すべきことを確認しました。その確認した内容を申しますと、議会は「言論の府」と言われ、さまざまな政策課題に対して、熟議をもって判断する議事機関であります。そのため、住民から負託を受けた議員の、議会や委員会での発言は、最大限尊重されるべきものでありますが、一方で、会議等での発言は一定の制限もあります。地方自治法では、「議会の会議又は委員会においては、議員は無礼な言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」とされており、府中町会議規則においても、「議員は、議会の品位を重んじなければならない。」とされています。これらのことは、十分理解されていると思いますが、改めて、確認しますといった内容であります。
すると、西議員から、①何を持って「無礼な発言」というのか基準を示して欲しい、②議場での発言をホームページ等で公表する方がよほど無礼ではないか、との質問が出ました。
私は、いちいち例示することはふさわしくないが「非国民」がそれに当たることは間違いない。議場での発言は公の場での発言であり、ホームページなどで公表することはなんら問題ないと答弁しました。西議員は再び発言に立ち、「非国民という発言は無礼に当たらない」と開き直ったのです。
2.「非国民」発言の問題性
地方自治法第132条において「無礼な言葉を使用してはならない」とあります。 無礼な発言とは「自己の意見や批判の発表に必要な限度を超えて、議員その他の関係者の正常な感情を反発する言葉をいうものとされている」と『議員必携』(全国町村議会議長会編集)に述べられています。
「非国民」という言葉が「無礼な言葉」に当たることは説明するまでもないことですが、「国民に非ず」ということであり、存在そのものを否定する悪罵であり、最大級の侮蔑の言葉であることは論を待ちません。
「《非国民》とは戦前の日本社会において、反国体的・反戦的な活動・言論を行う者や、政府の方針に従わない者などに対して……用いられてきた、強い憎悪・非難・侮辱などを含意する表現」(ウィキペディア)です。
それゆえ、「非国民」という言葉は、戦後社会では誰も使わない、使うべきではない「死語」となりました。
「非国民」という悪罵を他の議員に対して発することは、「無礼な発言」であり、決して許されないものです。無礼な発言は「場合によれば取り消しを命じられることもあり、さらにことの次第によっては、懲罰に付される場合もあり得る」と『議員必携』も述べています。「発言の内容によっては自己の政治的、道義的責任を問われることもあり、さらに法令や会議規則に違反した発言は懲罰の対象となることもある」のです。
無礼な発言は議会でもこのように厳しく戒められていますが、「非国民」のような侮蔑の言葉を他人に対して向けることは、議会外の一般社会でも当然許されません。他人を「非国民」呼ばわりして精神的苦痛を与えることは刑法231条「侮辱罪」・刑法230条1項「名誉毀損罪」(3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金)等に問われる可能性があります。
「他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」(民法第723条)とあるように名誉毀損された場合には原状回復を裁判所に求めることができます。
議会運営委員会委員長報告でも述べましたが、議員は、住民全体の代表者として品位を保持する義務があります。この義務に違反した場合には懲罰が科せられ、あるいは議員としての身分を失うことがあるのです。
議員としてはもちろん、ときに議長に代わって「議会の秩序を保持」する副議長が、このような発言を平然とし、注意を受けて反省するどころか開き直ることは決して許されないことです。
3.議事公開の原則
ホームページで非国民発言を取りあげたことの方が失礼だと西議員が発言したことを冒頭紹介しました。1月4日に私へ電話してきたときには、「なぜあげなことをする。言論でやれえや」と言ってきました。
地方自治法第115条は「議会の会議は、これを公開する」とあり、これを議会公開の原則と言います。『議員必携』は、議会公開の原則について次のように述べています。
「議事の公開は、議会が住民の代表機関であることからして、住民の意思がいかに議会に反映しているかを広く住民に知らせるとともに、議会を監視させて、常に議会運営が公正に行われるようにすることを目的とするもので、①傍聴の自由、②報道の自由、③会議録の公表の三つの要素からなっている」
当町でも会議録は町のホームページに公開されていますし、インターネットやケーブルテレビでの中継も広島県内23市町中17市町となっています。議会は広く開かれたものであり、議会内の発言は公的発言です。議員や傍聴者などがホームページ上に公開することになんの問題もありません。また、ホームページに記事を書くことは言論活動であることは改めて言うまでもないでしょう。
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