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2019-12-17

「平成の合併」、地方消滅論・地方創生と府中町

 

1.「平成の合併」の失敗

それではまず、自治体の合併について質問致します。

21世紀の初頭、自治体合併、いわゆる「平成の大合併」の嵐が吹き荒れました。広島県は86市町村が23市町となり、自治体減少率73.3%で全国一位です(1999年3月末と2008年10月1日との比較)。

実に7割を超す市町村が消滅しました。全国では1999年には3232あった市町村が2010年には1727となり、2019年現在では1718まで減っています。1514もの自治体が消えてなくなり、減少率は47%です。

この合併による自治体消滅は国の方針、施策によるものです。

自治省(2001年に省庁再編により郵政省、総務庁と統合され総務省に)が1999年8月に「市町村合併の推進についての指針」を出しました。

そこには、「21世紀の到来を目前に控え、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化など、市町村行政を取り巻く情勢は大きく変化しています。こうした中にあって、基礎的地方公共団体として総合的に住民サービスの提供の責務を負う市町村は、その行財政基盤の強化や広域的対応が強く求められており、市町村合併の推進が大きな課題となっています」としたうえで、「市町村合併の効果」として3点あげています。

第1に、「地域づくり・まちづくり」ができる。

「広域的な観点からのまちづくりの展開、重点的な投資による基盤整備の推進、総合的な活力の強化、地域のイメージアップ、環境問題、観光振興など広域的な調整が必要な施策の展開などが可能となる」

第2に「住民サービスの維持、向上」となる。

「住民にとってサービスの選択の幅が広がるとともに、現在のサービス水準を確保しつつ、より高い水準のサービスを安定的に受けられるようになる」

第3に「行財政の運営の効率化と基盤の強化」ができる。

「行財政運営の効率化により、少ない経費でより高い水準の行政サービスが可能になるとともに、総合的な行政が展開できる」

広島県内の合併はどうだったのか

この3つのうち達成できたものがあるのでしょうか。かろうじて「少ない経費」があてはまるぐらいです。

 

県内の市町の合併前と昨年(2018年)の歳出総額を調べてみましたところ、合併した17市町のうち11市町が合併前の7割から8割に歳出が減っていました。「より高い水準の行政サービス」ができたかどうかはかなり疑わしい。第32次地方制度調査会(第25回専門小委員会2019年10月10日))に提出された資料には、合併によって「多くの市町村において行財政基盤が強化」されたと書かれていますが、実態と全く違います。

人口はどうか。合併前の2000年と2015年の人口を国勢調査で比べると県内で増えたのは広島市、福山市、東広島市、府中町、坂町の5つ。あとはみんな減っています。一番減少率が高いのが安芸太田町でかつての加計町、筒賀村、戸河内町の合計が2000年には9181人でしたが2015年には6472人となり、30%も減ったのです。安芸太田町を含め7割台が4市町、8割台が10市町。9割台が4市町です。合併してもしなくても全体として減っている。

昨年、西日本豪雨災害が起きましたが、庄原市は職員が少なくなって対応が困難だったと聞きました。合併前、2004年の東城町、西城町、口和町、高野町、比和町、総領町、そして庄原市の職員数の合計は630人でした。それが2017年には3割近く170人も減らされて460人です。

広島市に合併した旧湯来町の住民は「合併して除雪車の回数が減った。佐伯区役所に電話しても、湯来町には雪が積もっていることを知らない職員が多い」と言っています。

湯来町が合併する目的の一つに観光振興がありました。「新たな観光施策の展開が可能となり、道路交通網の整備や広範な宣伝・誘客活動などにより、来訪者のより一層の増加が期待できます」と広島市・湯来町合併建設計画に書かれています。

しかし実際はどうだったか。地元の人たちの努力にもかかわらず、合併による効果はほとんどありません。2013年には老舗旅館が湯治客、観光客の減少によって「赤字が続き今後の売上回復の目処が立たなく」なり事業を停止したことがその証左であります。

県内はもちろん、全国でも「合併をしてよかった」「合併によって町が発展した」というような話は一つも聞いたことがありません。むしろ合併によって衰退した。ですから、聞こえてくるのは「合併しなければよかった」という後悔の言葉ばかりです。

今年11月に日弁連が「平成の大合併を検証し、地方自治のあり方について考える」シンポジウムを開催しました。調査結果によると「合併した町村は、人口減少率が高い傾向にある」「旧町村地域の役場機能の縮小が原因の一つ」と分析し、「役場機能の縮小は、周囲の飲食店や宿泊業の需要減にもつながり、旧町村の就業者数が減るようにもなっている」としています(「朝日」2019年11月7日)。

(3へ続く)

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ふたみ伸吾 ほっとらいん

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