自治体戦略2040構想と府中町
《第2回目の発言》
まず、圏域についてですが、「基礎自治体の統合に類するもの」であり、府中町も参画した全国町村長大会が「町村の自治権を大きく損なうものであり、このような圈域行政の推進に断固反対する」という特別決議をしている。圏域によって財政一権限の弱体化につながりかねず、また地域の衰退をも招きかねないという答弁でした。この点について認識は一致しています。
あとの二つ、「公共私の連携」と「行政のデジタル化」について見解は異なりました。私も、この二つが額面通りなら反対は致しません。連携も必要であり、行政のデジタル化もこれまでも進んできたし今後も進んでいくだろうと思います。問題はなかみと目的です。
細かい点については1度目の質問のなかで触れましたので繰り返しません。大切なのは、「公共私の連携」も「行政のデジタル化」も圏域という広域行政と一体のものとして、「圏域」を進めるための手段として出てきている。三位一体だということであります。
「圏域」というヌエのような行政組織をつくり、権限、予算、人は中心部に集中する。その分、合併した市町村と同じように周縁部は行政が行き届かなくなる。まさに「地域衰退の懸念」があるわけです。
それを町内会や老人会、「シェアリングエコノミー」によって補う。AIとロボットで補う。今からその準備を進めなさい。これが2040報告のねらいです。
「府中町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改定版も2月に出来ました。全国の市町村はどこも人口減少にどうやって歯止めをかけるのか苦労し努力をしています。しかし、2040報告は、この道を放棄し、人口減少はもうくい止められないという前提にたって「2040構想」を打ちだしているのです。全く無責任な話です。
答弁の最後に「『住民の福祉の増進を図る』という地方自治の原点を念頭に最善の方策を求めて取り組んでいきたい」と仰いました。私も同じ思いです。
地方自治法(第1条の2)は続いて「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と述べています。
自主的かつ総合的に、行政を広く担う。2040戦略はこの地方自治法の考え方を真っ向から否定するものだということを指摘し、府中町らしい発展、町民のみなさんの福祉の増進のために私自身、力を尽くす決意を表明して、私の質問を終わります。
《参考文献》
白藤博行・岡田知弘・平岡和久著『「自治体戦略2040構想」と地方自治』自治体研究社、2019年
岡田知弘『公共サービスの産業化と地方自治』自治体研究社、2019年
同「新たな段階に入った公共サービスの『産業化』政策」、『季刊 自治と分権』№76(2019年夏号)
中山徹『人口減少と地域の再編』自治体研究社、2016年
今井照『2040年自治体の未来はこう変わる!』学用書房、
新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社、2018年
新垣二郎「『連携・補完』の時代?」『自治のゆくえ ~「連携・補完」を問う』公人社、2018年
白藤博行「総務省『自治体戦略2040構想』の検討」『住民と自治』2019年2月号
久保貴裕「自治体におけるAI化の現状と問題点」『KOKKO』2020年2月号
永山利和ほか「〈座談会〉国・自治体AI化の計り知れない危険性」同
山崎重孝「地方統治構造の変遷とこれから」『地方自治法施行70周年記念自治論文集』2018年、総務省HP
『ガバナンス』2018年9月号「特集『基礎自治体の行方』」の諸論考
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