2025年度決算についての意見表明
2026/09/15
第48号議案「2025年度府中町歳入歳出決算の認定について」に賛成の立場から討論いたします。
1.歳入
不安定な法人町民税収入
2025年度、一般会計の決算額は、歳入約229億円、歳出226億円で、前年度と比べ、歳入が8億円(3.3%)、歳出が1億8千万円(0.8%)減っています。
その要因は、府中町独特のものです。
2025年度の法人町民税収は、2024年度の約18億6千万円から11億9千万円減って、6億7千万円になりました。
そのうえ、地方交付税も27億2千万円から16億5千万円に減っています。

出典:決算カード各年度版、2025年は府中町決算資料より。
普通交付税は、基準財政需要額から基準財政収入額を引いた財源不足額をもとに算定されます。法人町民税は前年度実績を基準財政収入額の算定に用いられ、大幅に増えた翌年度は普通交付税が減ります。
つまり、単年度だけ法人町民税が大きく増えると、その翌年度は法人町民税も地方交付税も減り、厳しい財政運営にならざるをえません。
今回は減収補填債を4億円借り入れました。結果的には4億円で済みましたが、2025年度当初予算では10億円近い借り入れを計上していました。
それだけ大きな歳入不足に備えていた、ということです。
2016年度から2017年度にかけても、同じことが起きています。
法人町民税は18億6千万円から6億7千万円へ激減し、地方交付税も11億5千万円から4億円に減りました。
このときは財政調整基金を約5億円取り崩し、減収補填債4億円を発行して、しのいでいます。
2024年度の大幅な税収増を「ウハウハ」と表現した人もいました。
しかし、財務部・財政課は浮かれていなかったと思うんです。
翌年度に法人町民税も普通交付税も大きく減ることは、過去の経験から十分わかっていたからです。
実際、2024年度の大幅な増収をその年度に使い切らず、財政調整基金に約12億円を積み立てるとともに、繰越金として財源を残しています。
2023年度、2024年度の繰越金は3億円から4億円程度でしたが、2025年度には9億3千万円に増えました。
その結果、2025年度は法人町民税と地方交付税が大きく減ったにもかかわらず、財政調整基金を取り崩さずに年度を終えることができました。
法人町民税の変動が大きい府中町ならではの、難しい財政運営であり、上手く乗り切ったと思います。
「M社があるから税収が豊か」とは言えない
このように、当町には法人町民税の大きな変動という問題がありますが、府中町にはM社があるため、毎年莫大な法人町民税が入っているというような言説がまことしやかに広がっています。
ここでは隣町、海田町と比べてみたいと思います。

出典:決算カード各年度版、2025年は海田町、府中町の決算資料より。
2017年度から2023年度までの法人町民税は、府中町が2億8千万円から6億4千万円、海田町が2億6千万円から3億4千万円程度です。
さらに2019年度から2023年度に絞ると、府中町は2億8千万円から3億7千万円、海田町は2億7千万円から3億4千万円です。
大きな増収がない、いわば平時を見れば、両町にそれほど大きな差はありません。
M社があるから、府中町には毎年多額の法人町民税が入ってくる、というのは事実ではない。
いわゆる都市伝説の類いです。
注 M社=マツダ株式会社
人口5万2千人を支える財源
もう一つ、府中町の財政を見るうえで考えておきたいのが、地方交付税です。
2023年度について神石高原町と比較しました。

出典:2023年度版決算カード
住民一人あたりの地方税収は、府中町が14万6千円、神石高原町が11万7千円です。それほど大きな差はありません。
ところが、普通交付税は大きく違います。府中町は一人あたり4万2千円、神石高原町は59万3千円です。
地方税と普通交付税を合わせると、府中町は一人あたり18万8千円、神石高原町は71万円。
一般財源全体では、府中町22万3千円に対して、神石高原町は83万2千円になります。
神石高原町は人口は少ないものの町域が広く、高齢化も進んでいます。道路や公共交通をはじめ、行政サービスに必要な経費も府中町とは違います。
また、その違いを調整するのが地方交付税の目的でもある。
ですから、単純に神石高原町が「豊か」で、府中町が「貧しい」とはいえません。
ただ、人口5万2千人を抱える府中町が、住民一人あたりで見ると、決して豊富な一般財源を持つ自治体とはいえないことは明らかです。
これは、子どもの医療費助成など、当町の施策が県内の他市町より遅れがちになる客観的な要因の一つとなっています。
しかし、だからといって、他市町と見劣りしない町独自の施策ができないのかといえば、そうとも言い切れないでしょう。
限られた財源ではありますが、ぜひ住民の暮らしを支える施策を一つでも多く実施していただきたい。
30億円を超えた財政調整基金
さて、こういう府中町独特の財政構造のなかで、現在の財政調整基金をどう見るか、です。
府中町は法人町民税が大きく変動するため、その対応のためにも財政調整基金を持っておく必要があります。
実際、2017年度には約5億円を取り崩して財源不足に対応しました。
当町の財政調整基金の残高は、この間、おおむね13億円から18億円程度で推移してきました。
それが2024年度末には約26億円となり、2025年度末には30億円を超えました。
町はこれまで、財政調整基金について10億円という目安を示してきました。
基金に積み立てるということは、将来への備えである一方、その年度に使わず、将来に回すということでもあります。
当町の場合、どこまで積み立てておくのが適当なのか、なかなか見極めは難しいと思います。
しかし、10億円という目安の3倍を超えました。これまで「15億円あれば安心」という発言もありましたが、その2倍です。
貯めることを否定するものではありません。
しかし、現在の基金残高を考えれば、その一部を町民の暮らしを支える施策に使うことは十分検討できるのではないでしょうか。
町民から寄せられた要望をもとに、多くの議員が一般質問でさまざまな提言をしています。
一つひとつを検討し、実現できるものから、財政調整基金を活用して実施していただきたいと思います。
住民に寄り添った徴税
一般会計の町税収納率は、引き続き高い水準を維持しています。
私は2016年度の決算審査で、当町が納税困難な方の生活状況をていねいに把握し、福祉部門などとも連携しながら、住民の暮らしに配慮した徴税を行っていることを評価し、その評価を毎年続けてきました。
しかし、債権管理課が設置されると、こうした取り組みは弱まったようです。
この状況が変わったのが昨年4月です。債権管理課は廃止され、徴税業務は税務課に戻りました。
住民に寄り添った徴税という、本来あるべき姿に戻ったことを評価したいと思います。
今後も、納税が困難な方の生活状況を十分に把握し、福祉部門などとも連携しながら、住民の暮らしを支える徴税を続けていただきたいと思います。
2.歳出の評価と要望
歳出ですが、2025年度予算は全体として適正に執行され、大きな瑕疵(かし=キズ)はなかったと考えます。
その上で具体的な個々の事業について6点ほど指摘します。
①向洋駅南口に駐輪場設置
まず、向洋駅南口への駐輪場の設置です。2024年11月に南口の民間駐輪場が閉鎖され、利用していた人たちが不便な思いをしていました。
町はその声を受けて駐輪場を整備し、2025年12月から利用が始まりました。
区画整理事業の最中でもあり、設置はなかなか難しいのではないかと思っていましたが、住民の声を受け止め、整備したことを評価したいと思います。
②重層的支援体制の整備
二つめに、重層的支援体制整備事業で、2025年度の新規事業です。
近年は、高齢、障害、子ども、生活困窮など、複数の問題を抱える世帯や、既存の制度だけでは十分に対応できないケースが増えています。
こうした複雑化・複合化した課題に対応するため、分野をまたいで支援するのが重層的支援です。
従来の縦割りを超え、高齢者、障害者、子ども、生活困窮に関わる部署が、必要に応じて協議する場が正式に設けられました。
この協議の場には、福祉の部署だけでなく、ケースによっては税務課も加わると伺っています。
連携の力によって、困難を抱えている人たちの問題が少しでも良い方向に向かうよう、頑張っていただきたい。今後の取り組みに注目しています。
③森林整備をさらに進める
三つめに、森林整備です。
府中の森づくり事業は1499万円で、2007年度から導入されている「ひろしまの森づくり県民税」を財源としています。
また、森林環境譲与税は林道整備に活用されています。
近年、こうした財源が増え、森林整備が進んでいることを評価したいと思います。
当町も2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けました。今年も全国各地で短時間の激しい雨による被害が相次いでいます。
豪雨による被害を軽減するうえで、森林整備は重要な手段の一つです。
私はこれまでも「治水は治山にあり」と、森林整備の必要性を繰り返し訴えてきました。
国や県から交付される財源の範囲だけで進めるのではなく、町の一般財源も投入し、森林整備のテンポをさらに上げていただきたいと思います。
④安全な町づくりのための住宅改修
四つめに、住宅改修への補助です。
2025年度は、子育てリフォーム6件、ブロック塀改修4件、耐震改修等4件に補助が行われました。
かつては申請がほとんどない制度もありましたが、現在は申請件数と予算枠に大きな開きはなく、申請が多い場合には補助額を調整して対応しているとのことです。
限られた予算のなかで工夫されていると思いますが、いずれも十分とはいえません。
なかでも、町民の安全に直接かかわるブロック塀については、町内にまだ危険と思われるものが目につきます。
大地震で倒壊すれば、人身被害だけでなく、密集市街地では避難路を塞ぐおそれもあります。年に数件の改修では十分とはいえません。
ブロック塀の危険性について、さらに周知を進めていただきたいと思います。
また、現在の補助は道路に面した部分が対象ですが、実際には隣地との境界まで一体となった塀も少なくありません。
こうした実態に合った補助制度についても、研究・検討していただきたいと思います。
⑤被爆80周年事業
五つめに、被爆80周年事業です。爆心地に近く、「きのこ雲を見た町」府中町として、大切な取り組みだったと思います。
原爆ドームは、終戦直後には壊した方がよいという意見も根強く、保存するのか撤去するのか、なかなか結論が出ませんでした。
なんの補修もされないまま、被爆から15年が過ぎます。
そんななか、府中小学校、府中中学校を卒業した楮山ヒロ子さんが、亡くなる前年に書いた日記の一節が、原爆ドーム保存の大きな力となりました。
「あの痛々しい産業奨励館(原爆ドーム)だけが、いつまでもおそるべき原爆を世に訴えてくれるだろう」
この言葉に心を動かされた「広島折鶴の会」の小中高生が、署名や募金に取り組みました。
その粘り強い運動が保存を求める声を広げ、原爆ドームは残されることになったのです。
ヒロ子さんのことも紹介した「府中町ゆかりの原爆資料展」は町内3会場で開かれ、マスコミにも取り上げられています。
今年の夏には「ヒロ子の日記~原爆ドーム保存秘話~」の上映もありました。
楮山ヒロ子さんは、府中町の宝です。さらに多くの人にヒロ子さんのことを知ってもらえるよう、息長い取り組みを期待します。
⑥物価高騰交付金
六つめ、これで最後ですが、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金です。
小中学校や保育園などの給食費の補助、高齢者施設や障害者施設への支援金など、2025年度については、全体として妥当な使い道だったと思います。
ところが2026年度は、全町民への一人8千円分のクーポン配布によって、こうした支援が廃止されます。
その後、町は補正予算を組み、支援をある程度復活させました。
さらに、新たな交付金が来たことで、一般財源で予定していた分を振り替えることができ、結果として町の持ち出しもなくなったのです。
結果オーライとも言えますが、支援を受ける側は大変だったと思います。
現在の物価高騰は一時的なものではありません。
それに対して、国の交付金は金額も、いつ来るのかも見通せません。
推奨事業メニューもその都度変わります。市町村は、そのたびに実施計画を作り、対応を迫られます。
そうしたなかで、クーポン配布に伴い、それまであった支援が削られる事態が起きたわけです。
国からの交付金について、ある程度の見通しが立っていれば、おそらくこういうことはなかったでしょう。
そうした事情を踏まえつつも、住民や事業者への支援を削減する際には、もう少し慎重であるべきだったと考えます。
以上の点に留意し、今後の予算編成や行財政執行に生かしていただくことを要望し、賛成討論といたします。
2024年度決算についての意見表明
2023年度決算についての意見表明












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