寺尾町政の「だろう運転」

免許更新の際に受講した講習で、一つだけよく覚えていて、今でも心がけていることがあります。
それは「だろう運転」を避け、「かもしれない運転」を心がけることです。
「だろう運転」とは、周囲の状況や他人の行動を自分の都合よく決めつけてしまう危険な運転のこと。
たとえば、横断歩道の近くにいる歩行者は渡らない「だろう」、対向車は曲がらない「だろう」、黄信号でもまだ行ける「だろう」と考えて自動車を走らせる。
東名自動車学校のホームページには、「だろう運転」は「自分に都合のいい未来」を想定して走るため、予想が外れると事故につながる危険があると書かれています。
一方、「かもしれない運転」は、歩行者が渡ってくるかもしれない、対向車が突然曲がるかもしれないと、さまざまな危険を予測しながら運転することです。
同校のホームページは、相手を尊重し、危険を予測することで事故を防ぐことができると説明し、「少しの想像力が、大きな安全につながるのです」と述べています。
府中町の市制移行について考えると、この「だろう運転」の積み重ねで、ここまで来てしまったように思います。
その1 市制移行に2億円以上の経費がかかっても、特別交付税で措置されるだろう。
その2 市になるための県条例の要件は、条例を改正しなくても、解釈を広げれば何とかなるだろう。
その3 2002年に県と町が交わした、JR高架化事業の負担割合引き上げについての確認書は、もう無効だろう。
では、実際はどうだったのでしょうか。
その1については、議員有志で総務省に出向き、直接確認しました。
総務省の説明では、市制移行に伴って新たに福祉事務所を設置する場合には特別交付税の措置がありますが、府中町はすでに福祉事務所を設置しているため、該当しません。システム改修や看板の変更など、市制移行に直接かかる経費は特別交付税の対象にはならないということでした。
その2については、広島県の担当部局から、これも議員有志で直接説明を受けました。
県の担当者は、「これからのことは府中町との協議になりますが」と前置きしたうえで、「解釈で幅をもたせて条例を適用したことは過去に一度もありません」と説明しました。
そして、その3です。
2002年に県と町が交わした確認書には、府中町が市になった場合、JR高架化事業の負担割合を現在の13.3%から22.5%に引き上げることが記されています。
寺尾光司町長は、この確認書はすでに無効だと考えていました。
ところが今回、県はこの確認書を負担割合引き上げの根拠として提示しているのです。
「自分に都合のいい未来」を想定して走り、予想が外れると、事故は一瞬で現実になります。
市制移行についても、国の財政措置、県条例の要件、JR高架化事業の負担割合と、重要な問題について見通しの甘さが次々と明らかになっています。
なぜ、「かもしれない」と想定し、国や県にきちんと確認しなかったのでしょうか。
町政の舵取りを担う町長には、さまざまな可能性を想定し、事実を確かめたうえで判断することが求められます。
今回の市制移行問題を通じて、町長としての資質が問われていると思います。












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