県民に冷たい広島県政 対県交渉・県議会傍聴
もくじ
●なぜこんなに違う子どもの医療費助成
11月17日、県内の共産党市町議員による対県交渉がありました。健康福祉局関係3,教育委員会関係5、警察本部4、土木建設局関係6、農林水産局関係6、企業局関係1の計25問をあらかじめ県に渡し、文書回答の上、質疑応答しました。
「子どもの医療費助成制度を中学校卒業までに拡大し、無料にすること」という要望事項に対して「この制度は全ての子どもを対象とした全国一律のサービスとして提供すべきものと考えており、引き続き、積極的に国に働きかける」と全くの他人事です。
私は、「隣の岡山県ではほとんどの市町村が〈①通院が中学校3年生まで、②一部負担金なし、③所得制限なし〉となっている。広島県ではどうしてこうも違うのか、県の姿勢にあるのでは」と問うても返事はありません。
上の表は岡山県がつくったものです。2009(平成21)年から4月1日と10月1日の状況を調査し、県のホームページに掲載しています。広島県にはそのようなものはない。ここにも広島県が子どもの医療費助成に消極的な姿勢があらわれています。
下の表は広島市議団事務局がつくったものです。
広島県内では、それぞれの市町の努力で少しずつ前進していますが、通院で、18歳の年度末までが6、中3までが5、小6までが4(府中町はここ)、小3までが4、就学前までが4です。所得制限が「ない」のが5、自己負担なしは熊野町だけです。
●35人学級も後ろ向き
広島県で35人学級なのは1,2年生だけです。「中学校3年生まで拡大を」という要望に対しては「多額の経費を伴うことから、国の特段の措置がなく拡大することは困難」だといいます。23億円だそうです。しかし、全国47都道府県で小学校2年生までなのは大阪府、熊本県、そして広島県の3つだけです。中国地方では、鳥取県、島根県、山口県が中学校3年生まで35人学級、岡山県は小学校4年生まで35人学級になっています。さらに上乗せで、鳥取県と島根県は小学校1,2年生が、山口県は小学校1年生が30人学級。鳥取県は中学校1年生が33人学級です。広島県はまったく遅れています。
「広島県以外の4県はすべて独自に拡大措置をしている。〈多額の経費〉というが、他の県ができて、広島県にできない特段の事情があるのか」と問いましたがこれもまた返事がありません。
●「保育料の軽減はさらなる待機児童を生む」
12月12日、広島県議会において辻つねお議員(日本共産党)の一般質問を傍聴しました。2年に一度の一般質問。辻議員がさぼっているわけではありません。広島県議会はきわめて遅れていて、一般質問に制限をかけ、県議が一人しかいない日本共産党は2年に1度しか一般質問することができないのです。
県交渉と重複している問題はさけ、それ以外で注目した質問と答弁を紹介しましょう。
一つは「認可保育園の保育料軽減」についてです。辻議員によると助成は現在30道府県に広がり、広島県以外の中国地方4県も実施しています。広島県も保育料減免制度を導入すべきだと迫った辻議員に対して県は「軽減はさらなる需要増を生む」という驚くべき認識を示しました。保育料が安くなればそれだけ保育園に預けるようになるということですが、何が悪いのでしょうか。
しかし、ここで考えねばならないのは「待機児問題」です。待機児をなくさないと保育園に入れる人と入れない人の格差が広がります。広島市、東広島市、福山市、廿日市市、三次市、そしてわが府中町にはたくさんの待機児童がいます。片方には保育園に入れ、保育料も軽減される人たちがいて、片方にはなんの恩恵も受けない人たちがいる。そういうことがあってはならないと思います。待機児童の解消を優先させて進めることが大切です。
●国保の県単位化によって市町の「法定外繰入」をなくす
現在は、高すぎる国保税(料)を下げるために独自に、一般会計から国保会計に繰り入れ(法定外繰入)している市町があります。府中町は一人当たり10,902円繰り入れしています(2016年)。
県単位化のねらいの一つがこの法定外繰入の廃止にあるのですが、当面は繰入れすることを認めています。辻議員が「県としても繰入措置をすべきではないか」と質問すると、「県から助成するつもりはない」と述べるとともに「市町が行っている法定外繰入も6年かけて廃止する」と明言しました。
市町ごとに違いがありますが、ほとんどのところが値上げになります。府中町は資産割の廃止にともなって、大幅に上がる世帯がでてきます。町の示したモデルケースでも、世帯主の収入350万円で妻と子ども2人の場合、年間5万1,200円も上がります。
法定外繰入がなくなれば、国保負担を軽減するための手段を市町は奪われることになります。
単位化に伴う負担増をやめさせなければなりません。
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