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2019-12-17

「平成の合併」、地方消滅論・地方創生と府中町

2.地方消滅論と地方創生

増田レポートの衝撃

 

二見議員

つぎは現在進行中の、地方消滅論を土台にした地方創生論について伺います。

2014年5月、大変ショッキングな文書とリストが発表されました。増田寛也元総務大臣が座長をつとめる日本創生会議による「ストップ少子化・地方元気戦略」――いわゆる「増田レポート」――と、それとセットになった、消滅する可能性の危機にある896の自治体リストであります。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は「日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じ、2050年に約9708万人になると推計」(「日本の将来推計人口」)しています。

この推計をベースにして「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性がある」と増田レポートは結論づける。①男女とも3割程度が人口流出する、②合計特殊出生率(*)1.4が今後も続くという前提で、自治体ごとに試算し、2010年から2040年にかけて、20~39歳の女性人口が5割以下に減少する896市区町村(全体の約50%)を「消滅可能性都市」、2040年時点で人口が1万人を切る523市町村(全体の約30%)を「消滅可能性が高い」と判定しました。

(*)合計特殊出生率は15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。

広島県内で「消滅可能性都市」とされたのは、神石高原町、安芸太田町、江田島市、竹原市、大竹市、府中市、庄原市、安芸高田市、大崎上島町、廿日市市、北広島町、広島市安佐北区。広島県の面積の53%が消滅地域になる。これに20~39歳の女性人口減少率が49~47%台の、世羅町、三次市、熊野町、呉市、三原市を加えると実に76%もの地域が消滅することになるという実に恐ろしい推計です。

しかし、本当に自治体は消滅するのでしょうか?

大森彌(わたる)東大名誉教授は全国町村会発行の「町村週報」(2014年5月19日)で「市町村の最小人口規模が決まっていないにもかかわらず、 自治体消滅の可能性が高まるというが、人口が減少すればするほど市町村の存在価値は高まるから消滅など起こらない」と明言しており、私もそう思います。人口が減っているからこそ自治体が果たすべき役割がある。それなのに「増田レポート」は人口減=自治体消滅と短絡させています。このままいけば人口が減り、自治体もなくなると脅して、少子化対策に励めというわけです。

「平成の大合併」で消滅した自治体は1514にもなります。自治体を消滅させたのは人口減ではなく政府の施策である「平成の大合併」だったことを改めて強調しておきたいと思います。

「まち・ひと・しごと創生本部」

このような衝撃的かつ問題のある「増田レポート」を受けて2014年9月に「まち・ひと・しごと創生本部」が発足し、石破茂氏が地方創生担当大臣になりました。11月には「まち・ひと・しごと創生法」ほか地方創生関連二法案が成立。12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」「同総合戦略」が閣議決定されて、具体的な事業が始まりました。
まち・ひと・しごと創生本部は14年9月に決定した「基本方針」は、基本目標を次のように定めました。

地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する。
そのために、国民が安心して働き、希望通り結婚し子育てができ、将来に夢や希望を持つことができるような、魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくる。人口減少・超高齢化という危機的な現実を直視しつつ、景気回復を全国津々浦々で実感できるようにすることを目指し、従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行していく。

まことに勇ましい目標と決意であります。この目標を実現するために3つの課題を掲げました。

(1)若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現
(2)「東京一極集中」の歯止め
(3)地域の特性に即した地域課題の解決

また、これら課題の実現のために、

①「地方への新しいひとの流れをつくる」
②「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」
③「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
④「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守る」
⑤「地域と地域を連携する」

という5つの基本目標を設定しました。

それから5年がたち、今年(2019年)5月31日、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定に関する有識者会議が「中間取りまとめ報告書」を公表しました。

第1期、2014年からの取り組みの成果はどうだったのか。あれこれ書かれていますが、結局(1)人口減少と少子高齢化も(2)東京一極集中も歯止めがかからず、(3)地域経済もよくならなかった。

12月7日付「中国新聞」は、2019年の出生数が推計より2年も早く90万人を割り、過去最少の86万人程度にとどまることが確実になったと伝えました。惨敗であります。5年やって成果なし。好転する兆しもありません。

そこで質問です。

②「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいた取り組みから5年目の「中間取りまとめ報告書」は、さしたる成果もないことを明らかにしました。町としてどのように受け止めているでしょうか。

総務企画部長

まち・ひと・しごと創生法は、少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圈への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する(法第1条)ことを目的とされています。

人口減少対策は長期的な視点で切れ目のない取り組みを進めてい<必要があり、国も第1期総合戦略に引き続き、第2期総合戦略を策定している最中でございます。

内閣府官房/まち・ひと・しごと創生本部によりますと、「第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略」に関する検証として、4つの基本目標と131のKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定しており、「目標達成に向けて進捗している」が全体の76%を占めております。地方創生は短期的に簡単に結果が出るものと考えられず、また、一概に地方創生に取り組まなかった場合の結果比較を測り知るのは困難です。

しかしながら、国が第1期の取り組み結果の検証をしっかりと生かし第2期として進めていくことは、本町としても必要不可欠であると考えております。

なお国は、策定を進めている第2期総合戦略を勘案し、地方自治体へ次期地方版総合戦略の策定を要請しており、広島県も国の計画を踏まえて、来年度において県計画を策定するものとされており、町としても引き続き人口減少対策を進めていく必要があると考えています。

(5へ続く)

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ふたみ伸吾 ほっとらいん

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