府中町のまちづくりと立地適正化計画 2021年6月議会一般質問
2.コンパクトシティ誘導の手法
●線引きして誘導する
二見議員 つぎに、どのようにしてコンパクトシティにするのか、その手法について伺います。
さきほど立地適正化計画の最大のポイントは、「居住誘導区域」と「都市機能誘導区域」を設定することにあると申しました。
現在の市街化区域のなかに、この2つの区域を設定する。どこかで線を引き、線の内側は引き続き住むことの出来る地域で、その外側はいずれ出て行ってもらう地域にしなければなりません。
この線引きは一般的にもなかなか難しいと思われますが、町域が狭く住宅が密集している府中町では至難の業ではないでしょうか。論議がまとまらない可能性が高いですし、まとまるとしても相当長い時間がかかるのではないかと思います。
そして、区域を設定することができたら、そこへ居住と都市機能を誘導することになります。
「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」という名前が示すとおり、立地適正化計画に基づく移転は強制ではありません。「インセンティブを講じながら、時間をかけながら居住の集約化を推進」していくのだと国交省は言います。インセンティブを講じるとは、とどのつまり、お金を出し、手厚い財政措置によって転居を促すということなのでしょう。
「時間をかけながら」とありますが、どの程度の期間なのか。
「居住の誘導は短時間で実現するものではなく、計画的な時間軸の中で進めていくべきである。このことから、一つの将来像として、おおむね20年後の都市の姿を展望することが考えられるが、あわせてその先の将来も考慮することが必要である」*1と国交省は説明しています。
鉄道駅に近い業務、商業などが集積する地域等、都市機能が一定程度充実している区域や周辺からの公共交通によるアクセスの利便性が高い区域などに「都市機能誘導区域」を設定し、そこに病院・診療所、老人デイサービスセンター、地域包括支援センター、幼稚園や保育所、小中学校、役場、図書館や博物館などの公共施設、スーパーマーケットなどを誘導し集約していく。
「都市機能誘導区域」とその周囲に設定された「居住誘導区域」は便利で暮らしやすくなるけれども、「居住誘導区域」に指定されなかった地域は徐々にあるいは急速に不便で暮らしにくくなっていくわけです。
*1)国土交通省都市局都市計画課「改正都市再生特別措置法等について」2015年
●予算・金融上の支援措置
「インセンティブを講じる」と言っているわけですが、立地適正化計画に関係する予算・金融上の支援措置は多岐にわたっています。
居住誘導区域内に適用されるものとしては、
・公営住宅を除去し、居住誘導区域内に再建する場合には除去費用を支援。
・防災上危険な密集市街地及び空洞化が進行する中心市街地等都市基盤が脆弱で整備の必要な既成市街地の再生……低未利用地の集約化による誘導施設の整備等を推進するため施行する土地区画整理事業等の支援。
・多様な主体の連携・協働により、居住機能の集約化等とあわせた子育て支援施設や福祉施設等の整備を進め、地域の居住機能を再生する取組みを総合的に支援。
などがあります。
都市機能誘導区域内に適用されるものとしては、
・土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、敷地の統合、不燃共同建築物の建築及び公共施設の整備への支援。
・密集市街地の改善整備を図るため、老朽化した建築物を除却し、防災性能を備えた建築物及び公共施設の整備への支援。
・市街地環境の整備改善、良好な市街地住宅の供給等に資するため、土地の利用の共同化、高度化等に寄与する優良建築物等の整備を行う事業への支援。
などがあります。
「コンパクトシティの形成に関連する支援策集」は59頁もあり、実に167ものメニューが用意されていますが、2つの誘導区域内に対しては、これらの予算・金融上の支援が適用されるけれども、そうでない地域は、転居したり建物を除去する場合にしか適用されないわけです。著しく不公平ではないかと思います。
そこで伺います。
②この計画を作ることは義務ではありませんが、多様な支援策が準備されているようです。作らない場合には、町づくりにどのような支障がでるのでしょうか。
◆建設部長 国は、立地適正化区域内・居住誘導区域内・都市機能誘導区域内でそれぞれ活用可能な支援策や補助率の嵩上げを展開しており、府中町においては、向洋駅周辺土地区画整理事業に係る駅前エリアの再整備や公共施設のバリアフリー化等においてこれらの支援が活用できると考えております。
また、今後、防災指針に基づく、宅地耐震化などの防災対策に係る支援メニューが展開されることも想定されます。
よって、本計画を策定しない場合は、まちづくり、防災に関する国の補助金が少なくなったり、入らなくなり、町のまちづくり、行政運営にも影響が出てくると思われます。
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